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彼の友人は彼女の敵  作者: 石月 ひさか
最初の友達
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3

メッセージは、最近の趣味の話から進み、近々海外旅行をして有名な美術館巡りをしたいという内容になっていた。


瑞穂の今のブームは絵画らしい。


絵には全く興味がない深雪だったが、ふと、公一も大学の頃、同じように海外の有名所の絵画にハマり、アメリカにある美術館に引っ張り回された事を思い出した。


さすがに絵を買う事はなかったが、変わりに画集を山ほど買い漁っており、書斎には洋タイトルの画集がたくさん並んでいる事を思い出した。


中には、今では絶版になっている古書も含まれているらしい。


『そういえば、うちにもたくさん画集があるんですよ。良かったら今度遊びに来ませんか?』


公一の立場上、社内の友人を自宅に招いてはいけない事は承知していた。


だが、どうしても共通の話題をもって、瑞穂と仲良くなりたかったのだ。


瑞穂からは直ぐに返信があった。


『本当!?ぜひ行きたいっ!あ、でも、旦那さんがいない日にね』


やはり瑞穂も、プライベートでまで公一に会いたくないのだろう。


深雪は苦笑いを浮かべてメッセージを読むと、カレンダーに視線をやる。


確か、明後日の土曜日は会食があると言っていたはずだ。


土曜日ならば、会社は休みだし、好都合だ。


返事をする前に、念のため予定を確かめる事にした。


「ねぇ」


「あ、何?」


公一は声をかけるか迷っていたらしく、ドアのすぐ前にいた。


「明後日は、確か会食があるのよね?」


「明後日?いや、どうだったかな……。て言うか、もう怒ってないのか?」


「元から怒ってないわよ。あんな馬鹿らしい理由で。取り敢えずこの話は一端保留にしましょう。それより、明後日の話」


「確か、何かあった様な……」


呟くと、テーブルの上に置いてあるパソコンのキーを叩いた。


恐らくスケジュールを確認しているのだろう。


「あー……うん、そうだ。正午から会食。何かあった?」


「夕飯はどうするのかなって」


「あぁ、いや、夕飯はいいよ。多分接待で遅くなるから。帰りは真夜中だろうし」


「そう。わかったわ」


「それと、さっきの話だけど──」


「だから、それは保留」


そそくさと部屋へ戻り、メッセージの続きを作る。


週末に旦那は夜まで不在。


絶好のタイミングだ。


『じゃあ明後日の土曜日はどうですか?旦那は仕事で夜までいないんです。だから、大丈夫ですよ』


もともと瑞穂も暇だったらしく、話はとんとん拍子に決まった。


初めて友人との遊びを取り付けた深雪は、なんだか無性にわくわくしていた。

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