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星を掴む花  作者: 宮湖
狐火の章
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❖ 狐火の章 登場人物紹介  他❖

 ❖ 狐火の章 登場人物紹介 他 ❖



 清安十六年狐火擬き事件解決時点の各人物についてです。狐火の章のネタバレも含みますので、ご注意下さい。



● 紅子(こうこ)

 三年前の奉職から、清竹で万年雑用係として無能な同僚の頤使に甘んじてきた初の女性警吏。

 だが実際は、耀青国の首都蕭洛一の格式と繁栄を誇る妓楼牡丹楼の、かつて筆頭妓女紅梅(こうばい)

 遥かな昔、魔を封じていた一族の聖女だったが、聖地を襲われた際に家族を皆殺しにされ、自分も死に瀕した時、封じていた魔と復讐を契約。しかし、紅子を乗っ取ろうとした魔を逆に取り込んだ事で不老となった。

 初めの頃は一族の聖宝を取り返そうと世界各地を旅していたが、やがて、出会った多くの不遇な女性達を救う様になる。

 今では、救われた女性達の多くが牡丹楼に集い、紅子を紅姐さんと慕い、紅子の手足となって動いている。

 外見上の年は二十一歳。背丈は五尺強。

 一見黒髪だが、光の加減で内側は燃える様な赤毛に見える。蛾眉の下の強い意志を宿した、紅玉の様な瞳。紅を引かずとも紅いふっくらとした唇は瑞々しく、柔らかで白く肌理細やかな肌。



● 夜光(やこう)

 瀕死の紅子を乗っ取ろうと契約を持ち掛けたが、逆に取り込まれた、聖地に封じられていた魔。所謂妖。

 紅子とは共生関係になる為、紅子はほぼ不老不死。

 取り込まれた際に主導権を紅子に握られた形になった為、紅子を主と認めている。




◆◆ 清竹(せいちく) ◆◆


● 立江(たつえ)

 本人以外が認める無能者。

 桐水の敬船に一方的に敵愾心を持ち、彼に対抗する為に、二年前、金で清竹の官位を買い、清竹の長の座に就いた。




◆◆ 桐水(とうすい) ◆◆


● 武早(たけはや)

 年の頃は二十五、六。六尺を超えんとする背に、一見細身な体躯。

 長めの黒に近い程の濃紫の髪、覇気を宿した青灰色の瞳。精悍と端整の間で微妙な均衡を保つ容姿。

 自他共に認める女好き。そこから紅子に興味を持ち、私的な面でも行動を共にするようになる。

 幼い頃に火事で親を亡くし、助けてくれた八津吉を親と慕い、桐水に入った。



● 大和(やまと)

 武早より拳二つ分程低い背丈だが、筋骨隆々たる体躯の持ち主。

 薄灰色の短髪り、とろりと不思議な艶の濃緑の瞳は常識人に見え、やや大きめな鼻と口が、他者に快活な印象を与える。が、心の中では何を考えているのか読めぬ人物。

 実は、初代狐火の孫にあたるが、認知されず、狐火一党からは完全に放置されて育ち、(本人的には)不遇をかこってきた。

 初代狐火への歪んだ憧憬と愛憎から、狐火擬き事件を裏で操ったが、紅子の策に嵌まり、捕縛。仕置きを受ける事となった。



● 八津吉(やつきち)

 桐水の次官。敬船を敬愛する根っからの火消し。小柄だが、長年現場で指揮を執ってきただけあり、昨年還暦を迎えたとは思えぬ屈強な体躯の持ち主。嗄れ声には威厳が有り、紅黒の猛者から慕われる。

 非公式な役職ながら火消しの「(かしら)」を長年務める。

 早くに妻を亡くし、以来独り身。子供がいなかった事もあり、武早が家族を失った火事の時、猛火の中から武早を救い出し、里子に出されてからも何かと武早を気に掛けていた。

 三十年前、紅子が紅梅を名乗っていた時、別名で動く紅子にそれとは知らず協力し、ある事件の解決に一役買っていた。

 紅子から詳細を聞いた訳ではないが、紅子の不老や夜光の存在を薄々とは察し、それを忌避しない豪胆さを持つ。



● 敬船(たかふね)

 桐水の長。立江とは正反対の、実力でその地位に就いた実直な人物。

 腹心たる八津吉を信頼し、現場の事は委細任せ、本来の桐水の長の役目たる影の立場を、十二分に務めてきた能吏。

 狐火擬き事件以後、紅子の暗躍も有ったが、実績と人柄を買われて評定所の裁定次官に抜擢された。




◆◆ 牡丹楼(ぼたんろう) ◆◆


● 百良(ゆら)

 蕭洛一の妓楼牡丹楼の筆頭妓女、一の姫。白百合の様な清楚さから、百合姫と称えられる。二十三歳。

 射干玉の黒髪、柳眉の下、長い睫毛に縁取られた大きな紫紺の瞳、陶器の様に白い肌の、可憐な妓女。

 元は他国の政府高官の娘だったが、十三歳の時、父親の政敵が雇った凶手に目の前で家族全員を惨殺され、自身は奴隷として闇市場に売られる。買い手から命辛々逃亡したところを紅子に助けられ、仇討ちの為に妓女の道を選ぶ。

 狐火擬き事件と並行して家族の仇を討ち、満足の裡に自害。短い生涯を終えた。



● (きよ)

 細身の長身、黒髪、森の木漏れ日の様に明るく煌めく切れ長の瞳、白皙の頬、下がやや厚く官能的な唇、女性らしい曲線の肢体の艶麗な美女。二十六歳。

 八人姉弟の長女だが、虐待されて育ち、十六歳の時に実の両親から借金の形に奴隷市場に売られたところを紅子に助け出されて牡丹楼に来た。

 満足な食事も、十分な教育も与えられていなかったが、両親から弟妹を救い出し、真っ当な道を歩ませ、一人でも身を立てられる様にする為に、牡丹楼で妓女になる道を選んだ。

 弟妹全員が親と縁を切った現在は、弟妹の帰る家があるべきだと考え、労を惜しまない。

 百良の死後は一の姫の座を継ぎ、胡蝶姫と称えられる。



● 葛音(くずね)

 五十一年前、初代狐火が暗躍していた時、新興の妓楼だった牡丹楼に十八で君臨したかつての名妓白梅(はくばい)

 華奢な少女の体に、少年の美しさと娼婦の妖しさを併せ持ち、多くの男達を手玉に取った老獪な妓女は、客を盗られたと怒鳴り込んで来た他の見世の妓女を相手にしても、一歩も引かぬ胆力の主でもあったと言う。

 一の姫の座を十年守った後勇退、以降は後進の育成に回ったが、どういう経緯が有ったものか、現在は牡丹楼の楼主を務める。

 今の葛音は紅子の胸の辺りまでしかない矮躯の老婆だが、薄くなった白髪を、それでも綺麗に結って鼈甲の簪を挿し、焦げ茶の地に金縁の黒牡丹を配った着物と、艶消しの銀の帯を締めた姿からは、長年生きた花柳界の空気が滲み出る。

 妓女から下女に至るまでの厳しい躾が評判だが、それが牡丹楼のもてなしに繋がっている。


 


❖❖ 暦 「月」について ❖❖

 作中の暦は、現実と同じく一年を十二か月としておりますが、「月」の呼称は異名を用いております。

 陰暦をその儘用いますと、現在の四季とは感覚が合いませんので、作中の「月」は現在の十二か月を異名に言い換えたものとしております。

 登場していない月もありますが、順に

一月:謹月(きんげつ)

二月:令月(れいげつ)

三月:嘉月(よみしづき)

四月:花残月(はなのこりづき)

五月:佐月(さえづき)

六月:旦月(たんげつ)

七月:蘭月(らんげつ)

八月:雁来月(かりくづき)

九月:玄月(げんげつ)

十月:良月(りょうげつ)

十一月:神楽月(かぐらづき)

十二月:極月(ごくげつ)


と、しております。〈角川書店 角川類語新辞典・小学館 新選漢和辞典 第五版〉




お読みいただき有り難うございます。

ご感想等ありましたら是非お願いします。励みになります。☆☆☆☆☆の評価も頂けるとなお一層有難いです。


全く別の世界観ですが、お時間がございましたら、


竜の花 鳳の翼(連載中)

天に刃向かう月(完結済み)


も、ご覧下さると嬉しいです。

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