第二十四話 狂気と勇気は表裏一体
「な、なんで、ラクア先、生…………!?」
「聞きたいのはこっちも山々なんだが説明は後だ。ここは私が食い止める、お前は早くこの城から脱出しろ」
「みんなは…………」
「クラスの皆は無事だ。旅館にて待機させている。…………それと、レイヤ。これを」
魔法陣を浮かべ、ラクアはなにかを取り出すとそれをレイヤに渡す。
「これって………………」
「ドラシルからもしものために、と渡されたものだ」
それはあの時、ドラシルの防壁を破る際に使った神剣だった。
「──────誰かを守りたいと願うのなら、まずは自分の命を守り抜け。それが今のお前にできる最善の行動だ」
レイヤの中で何かが吹っ切れたような感触を覚えた。今までにない、心の揺らぎが全身に刺激を走らせる。
願うことならば、誰にでもできる。ただ願うだけではその望みは叶えられない。そう願うのなら、行動で示さねばならない。たとえ無力で無謀な行いだとしても、愚かだと他者に愚弄されたとしても、成し遂げてみせよう。その些細な積み重ねこそが自分自身を成長させるための一歩なのだから。
「……………………行きます」
「ああ、健闘を祈る」
ラクアに背を向けるとレイヤは出口へと駆ける。しかしアスモデウスはその瞬間を逃さずたちまち跳躍しレイヤに刃をむく。レイヤが扉を突破するのとその凶器が振りかざされるのは比べるまでもなかった。
「………………………あとちょっとだったのにな」
刹那、繰り出された一太刀が凶器をはじき返しラクアは出口の前に立ち塞がった。
「………………悪いがここから先は行かせる訳にはいかない。大人しく寝てろ、猫」
───────今ここに、二つの刃が激突する。




