第十六話 兆しの輝きはいつも
──────闇だ。
──────ただ感じるのは闇だけであった。
感覚などは無い。手足の感触も、視覚も、聴覚も、嗅覚も。ただ、どういう理由か闇しか感じない。
────────死んだのだろうか。そうだ、死んだのだ。
何とも呆気なく二度目の人生は幕を閉じた。今思えば世界を救うなどとよくほざいたものだ。自分の身すら守れずこうして命を落としている。何が救うだ、死んでしまっては意味が無いではないか。
──────そう、意味が無いのだ。
───────────────────────。
なんだろうか、どこからか熱い何かがしたり落ちてくるを感じた。何も感じないはずなのに、何も。
『───────起きて、レイヤ』
ふと、声が響いた。聞き覚えのある柔らかく、優しい声音だ。
『──────私の弟子はそんなにも諦めの早いやつだったのかい?』
軽んじるような言葉ではない。信頼と願いのこもったそれだった。
『───────君が死ぬにはまだ早い』
一条の光が射し込む。───闇が、晴れていく。
『──────救えるのは君しかいない、だから』
──────光が、満ちていく。
『─────助けて、レイヤ』
──────時の歯車は、再び動き出す。




