第十三話 東国アマノツキ
レイヤたちを乗せた翼馬車は東国アマノツキへと翼を運ばせていた。そして翼馬車内ではクラスの皆が会話を弾ませている。レイヤはそれに耳を傾ける。
「とりあえずアマノツキに着いたら飯食いてえよなー!」
「ヒノイズレのご飯は美味しい物ばっかだしなー!」
と、レイヴと親しげに話しているのは同じ第一戦士隊生徒のルウチス・アイルだ。彼もレイヤとは仲良くしてくれる友人の一人でクラスの盛り上げ役として確立しておりスケベ担当でもある。他にも第一戦士隊のリーダーを務めるルベリア・ティーゼン。真面目な優等生でクラスをまとめあげるしっかり者。彼には学園のことを隅々まで教えて貰いルベリアに救われたことは多い。
こうしてクラスに馴染めているのも皆のお陰だとレイヤはつくづく感謝していた。そんなクラスの皆もまた人間であり同じ戦う仲間に独りになって欲しくなかったのだ。彼らは決して見捨てたりしない。共に歩むと決めた仲間を、友人を。それが彼らにとっては当たり前のことなのだ。
時は流れ、レイヤたちは東国アマノツキへと無事到着した。軒並みに高層ビルが立ち並び、強く照り輝く日差しを建物が乱反射する。見渡す限り人が賑わい、出歩いている。そう、そこはまるで────────、
「日本の、都会みたいだ………………」
多くの店が客を招き入れるよう一杯に声を張っている。周囲からは何やら空腹感を唆るような匂いも漂う。
「にほん?何が二本なんだ?」
「本数じゃなくて俺が前に住んでた国の名前だよ。その日本とこのアマノツキがすごく似てるんだよ。なんだか懐かしいなぁ」
「へー、お前のとこの世界も一度は行ってみたいな」
そんな会話を他所にレイヤたちは翼馬車に別れを告げると停泊する宿にへと向かった。宿へと着いたレイヤはまたもや驚愕を顕にした。建物の周囲には竹林が生い茂り小さな池には錦鯉のような魚たちが遊々と泳いでいる。建物はどこか懐かしさを感じる木造建築でどこからどう見ても旅館の出で立ちであった。
「………………和風だ」
レイヤはあまりの驚きについ声を漏らした。アマノツキでは日本のような文化が多く見られる。どこか繋がりでもあると言うのだろうか。レイヤの混乱と驚きはこれからも増していくことだろう。
と、レイヤを他所にこちらに歩み寄る人影があった。色素が抜けたような薄い金髪を肩まで伸ばし空のような曇り無き青い瞳を妖しく揺らめかせ男は足を運ぶ。執事のような姿をした男はこちらの麓に寄るとぱあっと顔の表情を変えにこやかに口を開いた。
「ヴァルハリア学園の皆様、長旅の末ようこそお越し頂き下さいました。恐縮ながらこの私、アヅモが皆様のご来訪を祝福致しましょう」
そう言うと男は悠長に腰を曲げ見事な歓迎を見せた。




