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ミカエルを宿に連れてきた俺はラインヘルさんたちに紹介をする。
「こちらラインヘルさん、ロベルトさん、マリィさんだ」
3人が会釈しそれにミカエルも応じる。
「んで、こっちがさっき話した旧友のミカエル」
軽く頭を下げたミカエルを見たまま3人は固まる。
「白い髪に青い目、それに長身ときたらユイットエール王国の国王であるミカエル様しか思いつかないんだが・・・」
「うん、僕がそのミカエルだよ」
「さっきは言ってなかっただろそれ」
「うん、驚くかなぁと思って」
「驚くかなぁじゃねぇよ!王国作ったとは聞いたがお前が王とか驚くどころの話じゃねーよ!」
まじで驚いたわ。
「一国の王と普通に喋ってる・・・そして王であるってことを知らなかったってことは王になる以前の知り合い・・・まさか一騎当千のアダン!?」
なるほど、そういや100年くらいいるって言ってたな。そこらへんの設定についてはゆっくり聞こう。そしてバレた。
「まぁ僕がなるしかなかったっていうかね・・・ソフィアはめんどいって言ったしそれ以外に希望の八翼はいなかったんだよ」
「まぁ最大勢力だしなぁ。国の名前がユイットエールだし・・・ユイットは八、エールは翼だな」
「そ、つまり僕かソフィアが王になるのは確定だったのさ」
そう、俺たちのクラン、希望の八翼はクランの中でも最大勢力だったのだ。人数で言うともっと大きなクランもあったんだが1人1人が強いのが俺たちのクランだった。ちなみに八翼ってのはクラン結成時のメンバーの数で希望の、に関してはノリで決めた。ミカエルが一翼、俺が二翼、ソフィアが六翼というように強さごとに数字が当てられている。
「えっと、よく分からないんだがアダンさんは一騎当千のアダンってことでいいのか?」
「その名前相変わらず恥ずかしいんだがそうだな」
「ってことは300歳以上かぁ・・・」
「そうだね~。そろそろ本題に入りたいんだけどいいかな?」
そういや頼み事があるとか言ってたっけか。
「簡単に言うとレオンハルトの救出に向かって欲しい」
「あのレオンハルトか!?」
魔法剣士だったな。七翼という微妙そうに聞こえる位置ではあったがバリバリ強かった。俺の従魔も何体かは負けるだろう。
「レオンハルトっていうと妖精剣士レオンハルトですよね?」
「そう、妖精剣士のレオンハルトだ」
「そんな方の救出って一体どこに行くんですか・・・」
ちなみにさっきからロベルトさんは一切喋っていない。相当無口なんだろう。
「ほら、食の宝庫って俺たちが呼んでたゾンガルフ大洞穴があったろ。あそこのアンノウンエリアに行っちゃったとかで戻ってこれないらしいんだ」
料理人のあいつなら確かに大丈夫だろうが・・・そんな場所で睡眠とかとれるんだろうか。
「そこにどんくらいいるんだ?俺なら1ヵ月くらいで気が狂う」
「んー、5年だね。僕も忙しくてさ、王になっちゃってから昔みたいに暴れられないし」
こいつは言うならばバトルマスターとかバーサーカーって感じだったもんな。暴れさせちゃあだめだと思うので王になって正解だ。ちなみに職業はなくて選択したスキルから適当にプレイヤー間で呼んでいる。
「そのアンノウンエリアに行けばいいわけだ。脱出方法がわからなくて戻れないってことか?」
「マップ作れるほどには探索したらしいよ~。下の階に行く階段や魔方陣もなく上は階段なしで飛ぶくらいしか方法がないらしいね。ただ飛んでも上に何かあるのかは分からないけど」
「ちなみにどうやって行ったか聞いてるか?」
「隠し魔方陣って言うかね、壁に触ったら足下に魔方陣が出てきてそのまま転移したと。あ、最下層のね」
「うーん、まずそこに行くのも一苦労だな。それに多分脱出方法は用意されてないな、それ」
「あー、やっぱり?」
「うん、あいつが見つけられないってことはやっぱそうだろ。ってことで脱出の際は地形変えるかもしんねぇわ。いや、変えるわ」
「おっけー。最悪ダンジョンぶっ壊してくれても構わないよ。あのダンジョンが消えるのは惜しいけど仲間には変えられない」
「・・・すげぇ会話が繰り広げられてるな」
「だねー」
「とか言うわりに放置しすぎ」
「自力でどうにかなるかと思ってたんだよ~。あ、ゾンガルフ大洞穴に行くならCランクはいるね。手を回してちょっとそこはどうにかしとくね。あと君たち」
そこでいきなりラインヘルさんたちに話をふる。
「アダンに同行してもらえないだろうか。彼はこっちに来たばかりでね。分からないことも多いだろうし君たちがいると助かると思うんだ」
「「「はっ。ミカエル王の仰せのままに」」」
決まっちゃったな。




