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「では早速お話ししますね。おそらく協力者であるアダンさんには魅了の魔眼を持つシェルフィアがやってきます。魅了の魔眼とはそのままあらゆる者を魅了する力を持つ魔眼です。運が良ければアダンさんを魅了してそれで終わりますし、アダンさんが無理でも従魔を無力化できればアダンさんをほぼ無力化できますから」
「ふむ、魔族陣営に空間への干渉を制限できるような術師はいないのか?」
「ええ、いませんね。そういったものは最近になって人間が考案したものだったはずです。魔族も取り入れてはいますが人間ほどのレベルには至っていません」
「なるほど、魅了の魔眼も十分厄介だけどな。イリアたちを襲撃するやつに心当たりは?」
「こちらも推測ですが俊敏でなおかつ毒を使うオクトプが来るかと。本体は大して強くもないのでレオンハルトさんという協力者を知っていればまた別の人選だとは思いますがレオンハルトさんさえいなければあちらにとって最も確実に私を捕まえられるのはオクトプをおいて他にありませんね」
「うーん、いけそうか?」
「ええ、うちにはすばしっこい人なんて山ほどいましたしその全員にカウンターを食らわせてきた僕ですからにゃ。毒も斬り払ってしまえば問題ありませんにゃ」
「ああ、あれがあれば大丈夫か。でも全員にカウンターを食らわせてきたってのは嘘だろ。うちのフェンリルとヴァルキリーは食らってないぞ」
「あそこは別格ですにゃ・・・」
「うん、あのレベルってことはほぼありえないな」
襲撃者がおそらく俺たちに及ぶことがないと分かっただけでも十分な収穫だな。まぁ、イリアの想定を軽く飛び越えて相当強いのが来るおそれもないではないけど・・・それでも勝てるだろう。
「そういうことなのでアダンさんは安心して試合に集中してくださいにゃ。こちらは任せてくれて構わないにゃ」
「ああ、信頼してるぜ?んじゃ行ってくるわぁ」
本選1回戦もそろそろ始まる頃合いだ。本選出場が決定した際に渡された連絡用の道具に対戦相手の詳細が書いてあった。光魔法と複製魔法を操る魔法使いだそうだ。光魔法はビームの魔法、複製魔法はゲームにはなかった魔法で武器でも魔法でもブレスでもコピーしてしまう魔法らしい。しかも消費するmpは結構少なめで済むという理不尽さだ。
召喚武具とかもコピーされるのかねぇ。攻略が若干難しそうだけど初戦くらいは圧勝したいものだな。




