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そこで凍ってる男は放っておいて目の前の女の子に声をかける。
「大丈夫?怪我とかしてないか?」
「ええ、大丈夫ですわ。助けてくださってありがとうございます。私はイリア=ファネッサ=セリエールと申します。お礼をしたいところなのですがお金も持っておりませんし私は追われる身でございます。ですからお礼には程遠いですが私は一刻も早くこの国を立ち去りあなたの安全を邪魔しないことにいたします」
「事情はなんとなく察してる。ちょうど君を匿う心当たりがあるんだけど匿われてはくれないか?」
「そんなことをしたら迷惑に・・・」
「大丈夫、俺と俺ぐらい強いやつらがいる場所だから安全だよ」
むしろこっちが保護させてほしいくらいだ。
「ですが・・・!」
「それで俺はこれから2週間くらいはここに滞在する予定なんだけど一緒に行動してもらえないかな?用事が済んだら安全な場所に連れていく」
結構強引な感じで話を進めていく。こうでもしないと多分拒み続けられるだろうからな。
「本当にそれでよろしいんですか?私などと一緒にいると命がいくらあっても足りませんよ」
「大丈夫、俺だって多分命狙われてるからね。だから安心して」
「ふふっ、おかしいことをおっしゃる人ですね。自分が大変だというのに他人を助けようとするなんて」
「自己紹介がまだだったな。俺はアダンって言うんだ」
「アダンという名、それに召喚魔法というと一騎当千のアダンのようですが」
「やっぱり知ってるんだな。そのアダンだ。まぁつまり安全な場所ってのはユイットエール王国のことだな。ミカエルもソフィアもいるし安全だぞ」
「孤高に聖女の名を冗談で出す人物がいるわけがないですしあなたは本物の一騎当千のようですね」
「狩りに出てることが多いけどレオンハルトもいるからな。ちなみに今回は同行してきてるんだけどちょっと別行動をしてたんだ」
「あなたや妖精剣士が戻っているという話は聞いたことがありませんね。おそらく話が上がる前に家を出ていたからでしょうが」
とりあえずこれからの行動の指針としてはミカエルに連絡をとってからイリアの話を詳しく聞く、そして宿をもう1室とるってところか。
「じゃあちょっとミカエルに連絡するから少し待っててね」
「もしもしミカエルー」
『なんだい?』
「女の子保護したからそっちで匿って欲しいんだけど」
『いきなりどういうことだい』
「名前はイリア=ファネッサ=セリエール。とにかく闘技大会終わったらそっちに連れていくから」
『セリエールってまさか・・・』
「そうだ。無理やり親の跡を継がされそうになっててそこに遭遇して助け出した」
『さすがはアダンだね。わかった、僕に任せてくれ』
「俺が闘技大会に出ている間が少々不安なんだけど」
『レオンハルトの出場を取り止めて護衛してもらおうか。正直君たちが全力でぶつかったらそれ以降の試合に支障が出るんじゃないかと不安に思ってたし』
「もちろんあいつの意思が大事だけどな。一応そういう方向で話を進めておく」
『優勝よろしくね』
本当に大変だな・・・。
「待たせてごめんね。一旦俺たちの取ってる宿に行こう。部屋に空きがあれば君の部屋もちゃんと取れるから」
なかったら俺とレオンハルトで同じ部屋だな・・・。




