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リモーア王国で開かれる闘技大会に備えて俺は・・・リモーア王国を観光をしていた。だって工学が進歩してるってメイドさんの1人から聞いたものだからつい・・・。
「ほ~、これは面白いな。パワードスーツってやつか」
俺が見ているのは魔力を動力源とするパワードスーツだ。こっち風の言い方だとサポートアーマーというらしい。腕と足腰をサポートするタイプの物だが全身を覆う軍用のマジックアーマーという物もあるようだ。店頭のパネルのサポートアーマーの歴史ってのに書いてあった。
他の店では風魔法で食材を砕くミキサーとか水魔法を使った高圧洗浄機なんて物まであった。ここらへんのアイデアはプレイヤーが持ち込んだような気もするな。
ドン!
大きな音に顔をそちらに向けると銀髪の少女が鎧を着た戦士風の男と魔術師風の老人に風の魔法を放っていた。
「これ!待ちなされ姫!」
「私には関係ないって言ってるでしょう!!」
姫?どっかの国のお姫様ってところか?まぁ黙って見てはいられんよな。
『従魔召喚:シルフ』
シルフには袖の中に入ってもらい俺は普段着から戦闘用の紅いローブに着替える。
さて、どちらに助太刀すべきなんだろうかねぇ。ミカエルからは目立つなと言われているんだが赤髪が珍しいわけでもないので召喚魔法を使わなきゃバレないだろうと思いたい。その点シルフなら召喚したことにも気付かれまい。
「お父上の後を継いで立派な王となるのです!」
「だからお父様とは関係ないと言っていますわ!!」
死んだ王の跡を残った家臣が無理に娘であるあの娘に継がせようとしているってところか。
「どうしてもというなら儂らも実力行使させてもらいますぞ!」
「そ、そんなっ!?」
ステータスを見てみる限りではあの娘に勝つ見込みはなさそうだ。しかもあのステータスは・・・そういうことか。ここは助けておいた方が俺としても得をするだろうな。
「そこの2人、そんな女の子を追い回すんじゃない」
「ふんっ、お主に何が分かるというのだ。あの方はいずれ世界を支配する器だ」
「そういうのってお前らが勝手に思ってるわけだろ。そもそも世界を支配するなんてちゃんちゃらおかしいな。お前らみたいな小物から逃げ回ってる時点で実力はお察しだ」
「ほう、そこまで言うか。バルモよ、姫を追え!儂はこやつを少々懲らしめておくでな」
「よかろう、任せておけ」
予測してはいたけどこの流れはまずいなぁ。まぁ仕方ないだろう。
「主の名において真の姿を解放せよ」
【完全体解放】
シルフを完全体にさせ女の子を守らせる。
「さて、始めようか」
「召喚術師か。術師同士、どちらが上か確かめようではないか」
「お誘いはありがたいんだが今回はあまり召喚魔法を使う気はないんでな」
そんなことを言いつつ技能召喚を使用する。
『技能召喚:イフリートバーナー』
イフリートブレスを集束させ破壊力を上げた強化版だ。爺さんは魔法で対抗しようとするがうまく発動せずにイフリートバーナーの餌食となる。
『影剣 』
切り付けるほどに速度を低下させる影の剣を作り出し30回ほど切りつける。これで多分動けないはずだ。さて、あっちを追いかけますか。




