25
「と、いうわけで新技完成したぜ」
完成した技のお披露目のためにみんなで俺たちが使っていたトレーニングルームに集合している。
「っていうか本当に今ここで見せていいのか。闘技大会のお楽しみにしとくってのもいいと思うが」
「まぁ、とりあえず見たいなぁって思うんだよ」
「とか言って実はアダンたちと戦いたいだけなんでしょ?」
「ちぇーっ、バレてたのかぁ」
俺も楽しみではあるんだけど・・・
「俺たちが本気でバトルしたらこの城がやばいだろ」
「それもそだね~」
「まずはレオンハルトの新技を見てみろよ。俺のは一瞬で見せ終わるから後回しでいい」
「一瞬で終わるんなら先でもいいんじゃないかい?」
「先に俺の見たら集中できなくなるぞ」
「ほぅ、そういうことならまぁいいだろう。レオンハルト、さぁ始めよう」
俺とソフィアは十分な距離を取ってからレオンハルトとミカエルの戦いを見守る。
ミカエルが間合いを詰めレオンハルトの襟を掴んで投げ上げる。レオンハルトは風の魔法剣術で飛び上がるのを抑えてそのまま反撃をする。レオンハルトの攻撃を剣で弾いたミカエルは地面に剣を突き刺す。
ソードインパクト、地面に剣を突き刺して衝撃波を発生させるアーツだ。レオンハルトは衝撃波に剣撃をぶつけて相殺する。そしてフレイムラインでミカエルの左右を塞ぎライトニングブレイドでミカエルを攻撃する。
これも難なく防いだミカエルだったがその次のシャイニングセイバーは回避できなかったようだ。そりゃそうだろう、あの攻撃にはレオンハルトの新スキルであるトリックソードが併用されていたんだから。
その攻撃に一瞬動きが止まったミカエルをブレードダンスで追撃する。
その攻撃も避けられずに大ダメージを食らってしまう。
「そこまで!」
そろそろいいだろうと思った俺は声を張り上げる。
「なるほど、意識の穴を突いて攻撃する剣技か。なかなかいいんじゃないかい?」
「残念、ちょっと違うんですにゃ」
「あれ、違ったの?」
「私が見てた感じではそもそも隙を作らせた上でそこを突いてるようだったわ」
「正解だ。俺の案を元にそういう剣技を作り上げた。まぁ基本は手品と一緒だ」
「アダンも大概手品師だよねー。何が飛び出てくるかわかんないしその仕掛けもわからないことが多いと思うんだよ。あとで聞くと案外簡単なんだけど戦ってる最中だと気付かないってあるよね」
「そうだな。じゃあまぁ今回の俺の手品を見てもらおうか」
俺とミカエルは相対する。
「疲れてるだろうから1発先に当てた方が勝ちにしないか?」
「そういうことならそれでいいよ。でもそのルールで来るってことは君の新技がだいたい分かってくるね」
『絶界の孤高』
まぁおそらくアーツの無効化だとか思ってるんだろうな。
安全圏からミカエルが斬撃を飛ばしてくる。それを避けてから影踏で急接近する。
『投擲:壱の型』
もっともシンプルな直線での攻撃。それは絶界の孤高に弾かれずに直進する。だがやはりこうなることを予測していたミカエルは慌てずに防御する。
まぁ・・・これで終わるわけがない。そもそも絶界の孤高を無視できることがバレたら普通の戦いになるんだから普通ここで決めようとするだろう。影踏で急接近する前、俺は後ろ手にクナイを投げていた。
そのクナイは大きな弧を描いて今はミカエルの背後にある。投擲:弐の型だ。もはや気が付いても回避は不能だろう。
そんなことを思っていたらミカエルもクナイに気付いたらしく俺に攻撃を加える。ミカエルの飛ばした斬撃は俺には届かず不自然に曲がる。そしてその瞬間にクナイがミカエルを直撃する。
「いやぁ、参った参った。あれは君の十八番だったね。絶界の孤高を破ることで意表を突くのかと思えば二段構えだったなんて」
「最後の攻撃はいい判断だぜ。あそこからなら絶対に無理な回避よりも俺に攻撃を当てる方が幾分か勝率が上がる。ま、それでも外れたみたいだけどな」
「あの曲がり方は不自然だよ。多分君の新技の一部だろう?ということは新技は単なるアーツの無効化ではないということだ。何なんだい、あれは?」
「まぁ、それは闘技大会のお楽しみってな」
それでも結局何なのか分からない可能性はあるけど。




