18
薬品製作が終わったので王都をぶらぶらとして残った日々を過ごした。ちなみにクリーププラントの葉にはポーションの効果を上昇させる成分が含まれていたのでポーションの質の向上のために使っておいた。
今の格好は言い伝えに残っている俺の姿のままで注目されるので王都で気に入った服を数着買って普段着にすることにした。
『そろそろ行くけど準備はできてるのかい?』
「あぁ、念のために回復アイテムとか俺の家からとってきた」
昨日の夜思いついて家へ向かったので今は王都付近の上空にいる。問題はそろそろ飛竜を使用する制限時間に達するということだろうか。従魔を出せばいいだけなんだけど。
ミカエルたちが王都を出たところに立っているのが見えた。やはり王なだけあって変装はしているようだがレオンハルトとソフィアはそのままの姿だったので分かりやすい。飛竜を操り舞い降りる。
「一応確認、目的地は世界樹の園だ。必要な素材を採ってくるのが僕たちの任務だ」
ミカエル曰く、この国には世界樹の園で生き残れるような兵士はほとんどいないようだ。そもそも兵士は馬車で移動するのがせいぜいだが俺たりは飛竜が使えるからな。かかる時間が大きく違うわけだ。
「現地では全員で行動するの?」
「いや、僕たちは1人ずつでも十分だろう。ギルドチャットも使えるからパーティー組む必要なし。何より共闘なんてしたら僕が弱くなってしまうじゃないか!」
そうだったな。面倒なスキル持ってやがるからなぁ。
「じゃ、各自飛竜出して行こうか」
俺は制限時間がきついのでグリフォンを召喚する。
40分ほどの飛行で目的地である世界樹の園に到着する。木々が生い茂っていて日の光が地面に届くことはない。薄暗く程よい涼しさと湿度でとてもいい環境だ。この環境で育つことができるのは既に大きくなってしまった木と日陰を好む植物のみだ。
日光が遮られているから新しく木が育つなんてことはなかなかない・・・と、ゲーム時代のクエストで依頼主が言っていたはずだ。
「よし、それじゃあここからは分かれて行動しようか」
「集合時間はどうしますにゃ?」
「3時間後かなぁ。僕が南東、ソフィアが南西、アダンが北東、レオンハルトは北西で採取をしよう。マップが使えないからだいたいでいいよ」
「わかったわ。それにしてもヒーラーにソロで行動させるなんてひどいわ」
「ソフィアは腕がいいからね」
「あらそう?」
「さ、行こう」
『従魔召喚:フェンリル』
フェンリルを召喚し、北東を目指して走っていく。1kmほど進んだところで大きな音がして俺の足下が崩落した