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異世界での冒険融合士  作者: 欄海
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第四話

 流が王都に入ろうと門をくぐりかけたとき、チャラララーンという気の抜けた音が頭の中に響いた。


 それと同時に自分の目の前にステータスが広がり、中身を見てみると。


大山 流

Lv 12

EXP 3,000

NEXT 1,045


(おぉ! 一気にレベルが上がってる!?)


 レベル1だった自分がいきなり10まで上がったことに驚愕する流――あのディアベクスというモンスターはよほど経験値を持っていたということなのだろう。


(儲け儲け♪ ハイドロ様様ってか)


 魔法も使うことが出来る上に、融合魔法で敵を初めて倒せたことに嬉しさを覚えた流はにやつきが止まらず足踏みしながら歩き始めた。


 そんな流を不審な目で見てくる住人達だったが、流はそれを期にすることなく、ギルドへと向かっていった。


* * * * *


 ギルドに到着時、流はすぐに依頼受付所に向かうと、受付所にいたのは流と同い年ぐらいの少女がいた。


 流がここを出る前は男性だったはずだったが、どうやら交代の時間のようで少女に変わったそうだ。

しかし、そんなことは流には関係なし。 ただむさい男から可憐な花に変わっただけとしか捉えていないから。


「依頼完了しましたんで、報告していいですか?」


「はい、構いませんよ。 それではこちらにカードを差し込んでいただけますか?」


 営業スマイルでテーブルの下から取り出したのは、水晶玉を乗せた台座を取り出した。

それを見た流はなんだこれといわんばかりに首を傾げると、少女はにこやかに説明を始めた。


「こちらは冒険者が依頼を達成された際に使用される【鑑定水晶】です。 もしも依頼達成されていなかった場合は赤くなり、もしも達成された場合は達成状況等が確認できます。 こちらの差込口にカードを挿入していただけますか?」


「はいはいっと」


 台座にある差込口にギルドカードを入れ、あとは受付の少女が確認を終えるのを待つだけだ。


 その間に流は何をしようかと考えだすと。


「え? なにこれ――ちょ、ちょっとよろしいでしょうか?」


「あん、なんですか?」


「デ、ディアベクスと戦ったのですか? よく生きて帰ってこられましたね」


 ……まぁ見た目が中背中肉の、武器も何も持っていない、いたって普通の少年なのでそう云われても仕方がない。しかし、やはり言われると微妙に傷つく。


「だってレベル一の人が中型モンスターのディアベクスと戦った挙句、勝利するなんてありえないことなんですよ! レアスキルを使わない限り!」


「レアスキル? そのレアスキルっていうのはいったい何ですか?」


 少女の放った『レアスキル』という単語に流は興味が湧いて淡々と問いかけると、少女は先程まで取り乱した自分が恥ずかしくなったのか顔を赤く染めてコホンとごまかすように咳をした。


「レアスキルはこの世界でも貴重な、個人だけの特殊な魔法・能力のことです。 例外なく強力なものばかりで、コントロールが難しく、レアスキルを操れなくて反動死リバウンドデスをしてしまうんです」


(うげぇ……)


 まさかの言葉に思わず呻くのと同時にゾッとしてしまった……それほどまで危険な力だとは思わなかった。

先程の自分はむしろ新しい力を身に着けたことで楽しさを覚えてしまい、玩具のように遊んでしまった。

そしてディーガル草原で炎と水の融合魔法をしようと考えていたが、やめておいて成功だった。


 無防備すぎる、そして考えなしに使っていた自分に恐ろしくも感じた。命にかかわるものだから、今度は慎重に行うべきかと考える。


(レアスキルっていうのも考え物だな、少しは)


「話をしてくれてありがとうございます。それで、依頼は成功ですか?」


「あっ、えぇ。 依頼達成しているので、こちら1,000ギル。 それと指名モンスターのディアベクスの討伐も確認いたしましたので、追加の3,500ギルを足して、合計4,500ギルとなります」


 革製の袋を手渡され、流はその中身をのぞき込むと紙幣が四枚と金貨が五枚が入っていた。


(千は紙幣、金貨は五枚ってことは一枚百円か――まるで地球と同じみたいだな)


 袋を乱雑にポケットの中にねじ込み、ギルドから出ていった。





(金は手に入れたことだし、とりあえずは宿屋と武器屋に行くか……)


 【王都・ユリア】は商業区、居住区、工業区と区画に分かれており、幾つもの街が一斉に凝縮された造りになっているため、街人に聞いていきながら、宿屋を探していく。


 宿屋に到着後は簡単な食事――パン二つだけを注文して食べ終えた後はすぐにベットに横になった。


「……疲れた、今日はいろいろあったからな」


 異世界召喚と融合魔法、ギルド登録とディアベクスとの戦闘といった様々な出来事の所為でいろいろと疲れが出てきてしまった。

流は目を閉ざして、ベットの柔らかさと眠気に早々と眠りに入っていった。

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