変態が国に現れました *直子視点
??:「Hello Hello!! いやぁこぉんな人気のない所で男女交えてキャンプなんてYoungっていいねぇ! 殺すぞ!」
目の前で長身の女性がテンション高めに私に喋りかけてくる
どういう原理であの高い壁を飛び越してきたかは不明だが、どうやら問答無用で攻撃は仕掛けて来ないみたいね
殺すぞとか言ってるけど・・・
私:「いやあのぉ・・・・。現れて早々悪いのだけども、お引き取り願えないかしら?」
??:「あらあら、それはまた何でかしらお譲さん? メガネで髪型お下げ。ヒュー分かってるねぇ!!」
私:「あ、わかる? メガネでお下げっていう昔から変わらないイメージ?って言うのを私は大事にしていきたいってゆーかー・・・・。じゃねぇよ! この国は不審者立ち入り禁止なの!! 話しを逸らすな!」
くそ。うまく相手のペースに乗せられてしまった・・・
守:「メガネでお下げに昔のイメージはねぇよ」
??:「不審者禁止? じゃぁ僕はOKね。だって不審者じゃないもの」
私:「不審者は皆そう言うわ。あと変態もね」
??:「もういいじゃないか別に? 僕はただここにTalkをしに来ただけよ?」
私:「それじゃ、その光る物を地面に置いて両手を頭につけてくれないかしら?」
別にこの国に攻撃目的で入ってきてないのなら別にいいのだけれど、両手に刃物を持っている赤の他人を受け入れるほどこの国は防犯意識が薄い訳ではない
??:「えぇ? これは私のSymbolよ? 地面に置くなんてとんでもないわ」
女性は長い黒髪をなびかせながら言う
私:「シンボル? そんな攻撃的で自己主張の激しいものは女性のあなたには似合わないわよ」
??:「あら!? あらあらあら!! 女性も男性も関係ないわ! 自分がこれだと思ったものがその人のSymbolよ!」
テンション高けぇ・・・
私:「全く・・・。狂人と話してるみたいねこれじゃ」
??:「はえ!? What did you say just now!?」
なんて?
私:「おいいきなり日の丸言葉以外を使いだしたぞどうするよ」
私はこの赤い服を着た女性が現れてから一切動きがないもう一人の王、守に問いかける
・・・が、一切の反応がない
まさか・・・・、死んだのか?
綾:「おーい。一応のろし上げて来たんだけど・・・・え? 何この状況?」
守があまりに動かないのと、暇になったのか踊りだした赤い服を着た長い黒髪の長身のナイフを装備した女性に挟まれてどうしようか考えている私に綾という助け船が戻ってきた
私:「あぁちょうど良かったマジ助かった。さて問題です! この状況を説明してください!!」
綾:「ごめんそれちょっと私には難易度高すぎるわ!!」
私:「でっすよねー。じゃぁ、英語分かる?」
綾:「英語? 分かるわよ? 雀の涙ほどには」
私:「なるほど。全く分からないってことね」
??:「Oh! Beautiful woman!!」
綾:「あら嬉しい事言ってくれるじゃない」
私:「分かるんじゃねぇかい」
まぁ私もこれくらいの英語なら分かるけどね
てか発音が聞き取りやすい
学校のリスリングのテストではこの人を採用してもらいたかったな
綾:「なに? 私はこの外国人のために必死こいてのろしを上げたの?」
綾が怨みがこもった視線で守を見る
だが守は相変わらず踊っている女性から目を離そうとしない
あ、綾さん無視されたと思ってちょっとムスってしてる。可愛い
??:「私は外国人じゃないでーす」
綾:「うお!? 日本語喋れんのかよ!!」
私:「この人いきなり英語使いだすんだよん」
綾:「ダルいなそれ!」
たしかにダルイ
??:「あ! そういえば自己紹介がまだだったね! 僕は『道化師』って言うんだ! 女性同士仲良くしましょう!」
綾:「・・・・道化師? 何この女性、もしかして狂人みたいな人種なの?」
道化師:「そーそれそれ! 僕は今狂人を探してるんだけどさ、もしかしてなにか狂人について知ってるのかな!?」
私:「知ってるも何も・・・・ねぇ?」
私はなんて言えばいいか分からず綾さんを見る
綾:「まぁ、知っているっていうか一緒に暮らしてると言うか・・・」
綾さんはそう小さく呟く
道化師:「なんですとぉ!!?」
女性は地獄耳なのか綾さんの呟きに反応した
ずっとしてた踊りもやめて本当に驚いているみたいだ
伊藤:「あのぉ・・・一応子供たちは全員小屋に避難させましたが・・・・」
努:「おーい。春夜さん連れて来たぞ―。ついでにそこにいた奈央もついてきたが良かったよな?」
奈央:「なになにまた何か変なこと起きたの?」
春夜:「今から子供たちとおしくらまんじゅうという大イベントがあったのになんですかこの騒ぎは? しかもなんか煙いし・・・」
そこに伊藤と努、春夜に奈央が歩いてきた
・・・・そう言えば呼んだんだったな
私:「おーお疲れー」
道化師:「おぉおぉこれまたぞろぞろと。女の子4人。野郎3人。こんないたいけな女の子を7人で囲んで何をする気なのかなー?」
道化師はナイフをお手玉みたいに投げながら(ジャグリング?っていうんだったか)おどけて言う
私:「別に何もしないわよ? あなたがそのナイフを使って暴れたりしない限りね?」
奈央:「うおー凄いね。サーカスの人?」
努:「危なっかしい奴だな」
何でこの2人は危機感ないんだ?
ナイフを持つ正体不明の人物だよ?
道化師:「警戒しないでよも~。僕はただ狂人の事を聞きたいだけなのに~・・・」
道化師は私の分かりやすい警戒に文句を言う
努:「狂人さん? 狂人さんなら町に行ったぜ?」
道化師:「また意味不明なことして何してんだ狂人は!?」
努の何気ない一言に道化師はまた驚く
まぁ普通はそういう反応だよね
綾:「生き残ってる人間の救助に向かったのよ。全く、危ないったらありゃしないわよねぇ。あなたも狂人を知ってるって事はなにか狂人にされたの?」
道化師:「狂人はこんな世界になっても変わらないねぇ。ま、僕も変わらなかったしあたりまえか」
道化師は昔を懐かしむかのように言う
てか私の問いかけがん無視かよ
しかもなに? その『私は狂人の昔を知ってますよ』アピールは?
守:「ほ、欲しい情報はやったんだ。は、早く出てけよ!!」
一言私が文句言ってやろうとしたところで、意外なことにさっきまで死んでるかのように黙っていた守が声を上げる
道化師:「・・・・今、なんて?」
そんな守に絶対零度の視線をぶつけ低い声で道化師が聞く
守:「あなた様が要求されました情報はただ今ご提供させて頂きました。もし他に何かございませんのでしたらお引き取りをお願い致します」
そういいながら守は私の後ろに隠れる
こいつ、超カッコ悪い・・・
奈央:「こ、国王弱ぇ・・・・」
道化師:「ん? 国王? The・King?」
道化師はまた奈央の到底この距離では聞こえないであろう呟きに反応して聞き返してきた
私:「おー。イエスイエス。King King」
私は道化師と同じような調子で問いかけに答える
道化師:「へー、じゃぁここは国なのかな?」
綾:「まぁそうね」
道化師:「で、そこのSmallくなってるのがKingなの?」
道化師が私の後ろに隠れた守を見やる
私:「あー違う違う。NO、だね。いまは本当のKingである狂人が不在だから私とこいつの2人で臨時のKingやってるんだよ」
道化師:「へ~。にゃ~るほどね。じゃぁ君たちは普段は狂人を守る兵隊さんたちなのかな?」
努:「兵隊? う~ん・・・。まぁ、そうなるのかな?」
奈央:「私たち兵隊なんだー」
伊藤:「いや、ただの国民なんじゃ?」
道化師:「う~ん。・・・・・Noだね。NONONONONO!」
道化師が少し考えるそぶりをした後叫ぶ
私:「・・・何がNOなのかな?」
道化師:「な~んでKingである狂人が危険区域である街に行ってるのにSoldierが安全区域にいるのさ? 普通逆じゃないか?」
道化師がナイフのジャグリングをやめて言う
努:「はぁ? そんなの簡単なことだろ? 俺らが外に出たら死ぬ。だからここにいるんだよ」
道化師:「ハッ! 笑わせてくれるね。君らは守るべき相手に守られてるんだよ?」
努:「なんだと?」
道化師:「この腰ぬけ共が。狂人は優しいから何も言わないのだろうけど、君たちははっきり言って狂人の足手まといでしかない」
道化師は少量の怒気を含めた声で言う
春夜:「・・・君。もしかして私たちを挑発してるのかい?」
春夜さんが少し前に出て言う
さすがこの国で一番の年長者
守とは大違いだ
道化師:「ただの事実を言っただけさ」
綾:「あ、あんたねぇ・・! 急にここに来たと思ったらよくそんなこと言えるわねぇ・・・・!」
綾さんも春夜さんにならって前に出る
道化師:「あぁん怒らないで? 女の子はSmileが一番さ!」
道化師はとびっきりの笑顔で言う
だが、次の瞬間には道化師の表情が『無くなった』
道化師:「でも、このままじゃ君達は僕の愛する狂人の足手まといだ。
このままでは狂人に危険が及ぶ可能性もある
だからさ。しかたがないのでこの僕、『道化師』が
少しでも狂人の足手まといを減らそうと思うんだよ」
そういうと道化師は初めてここで一歩、私たちに近付いた