加賀商店 勇人視点だね
咲) 前回のあらすじ
狂人、いきなり抱きつかれ腰の痛みが再発する
加賀 弥生 (店長):「いやねぇ、生きてる生きてるとは思ってたがまさか無事な人間集めて国なんてもん作ってるなんてさすがバカだね」
加賀 皐月 (店員):「ふふふっ。お母さんずっと狂人の事心配してたのよぉ?『なんであのバカ来ないんだよ!無事に生きてるんでしょうね!!』って怒ってたんだよぉ?」
狂人:「あっ、本当にぃ? 嫌だなぁ照れるなぁあははははは店長にも可愛い所がとりあえずそのフォークから手を放そうか店長?」
今狂人は旧友との再会を楽しんでいる
俺たちはあれからすぐに『加賀商店』に入れてもらった
加賀商店はコンビニみたいな感じで、レジ打ちと商品棚がある。最も商品はもう片付けられているが
どうやら奥に2階へと続く階段があるらしく、そこには頑丈な扉がついてる
弥生さんが昔大きな地震を体験したから、保存食などを沢山売るお店を作ろうと開業したらしい
行動力が凄いな弥生さん・・・
そんで、さっき狂人にボディでアタックしてきたツインテールはここの店員で弥生さんの娘らしい
なんでも弥生さんの体験した地震で両親を亡くし、孤児になったところを弥生さんに引き取られたらしい
かっこいいな弥生さん・・・・
心和:「・・・・・・・・・」
あと、加賀商店に入ってから心和が無言なんだが
弥生さんと皐月を見る心和の目つきが恐ろしいんだが
そういえば弥生さんって何歳ぐらいだ?
この人見た目若いけど昔の地震を体験したってことは結構年いってんじゃ・・・
弥生:「えっと、勇人君と心和ちゃんだっけ?」
俺:「え、あ、はい。どうかしましたか?」
まさか考えてることがばれたか?
弥生:「このバカがあんたらに迷惑かけてるかも知れないけど大目に見てくれないかい? こいつも悪意と善意があってやってるわけじゃないからさ?」
俺:「あぁそのことですか? 大丈夫ですよ。すごい大目に見てますので。ただ善意もないのはちょっと・・・」
心和:「言われるまでもありません」
心和がすこし棘のある返答をする
・・・やはり心和は少し不機嫌か
ったく
俺:「おい心和」
心和:「なんですか?」
俺:「不機嫌になるなとまでは言わねぇが、あんま態度に出すんじゃねぇよ」
心和:「別に不機嫌じゃありません」
俺:「そうかい。まぁとりあえず、あの2人は狂人の旧友なんだからお前にとっては仲良くしていて損する相手じゃぁねだろ?」
心和:「どういうことですか?」
俺:「もしかしたら狂人の意外な一面を教えてもらえるかもよ?」
心和:「・・・・あっ」
よし、これくらい言っときゃ心和も変な暴走しないだろう
狂人:「あっ、そうそう。2人にここに入ってからずっと聞きたい事あったんだよね」
皐月:「聞きたい事ぉ?」
狂人が笑いながら2人に質問する
狂人:「こっちも自己紹介終わったし、そろそろ隠れてる2人を紹介してくれないかな?」
弥生:「・・・・・」
皐月:「・・・・・」
2人は狂人の言葉に口を開こうとしない
・・・・沈黙は、肯定か
狂人:「いやぁ、僕達を脅かそうとしてるのかな? さっきからチラチラ僕たちを見てるし。 あっ! もしかして友達になれるか不安でもじもじしてるのかにゃ~? 大丈夫! 友達の友達は友達って言うじゃん! だから、安心して出てきなよ。さぁ! 握手でもしようよ!」
そう言いながら狂人はレジの方に歩いていく
どうやらレジの影に隠れているみたいだな
弥生:「あ~、もう! お前は本当に凄いやつだな! 凄過ぎて腹が立つよ!」
皐月:「ほらぁストップストップぅ。止まってね狂人」
すると弥生さんと皐月が堅くなっていた口を開き、狂人を止める
狂人:「やめろ僕に触れるな! 僕はこれから全く知らない友達と初のコミュニケーションをとるんだ!!」
なんでキレてんだよ狂人
皐月:「はいはいそういうのはいいからこっちに来てねぇ」
狂人は皐月に腕を引っ張られレジから離される
狂人:「う~、何するんだよぉ・・・」
狂人が頬を膨らませて抗議する
心和:「あぁ、国王とても可愛らしいです・・・!! あの膨らんでる頬をぷにぷにしたいです・・・!! いえもう頬ずり! 国王の頬と私の頬を今1つに!!」
隣がうるせぇ・・・
弥生:「あんたねぇ、何で隠れてるのか少しは考えないの?」
狂人:「それは恥ずかしがり屋さんだからでしょ?」
弥生:「誰もそんなこと言ってないわよ」
弥生さんは頭を抱える
皐月:「お母さん。木下さんは『大丈夫』だってさぁ」
皐月がいつの間にかレジの方に移動していた
俺:「『木下』? レジ裏に隠れてる人か?」
皐月:「そうだよぉ」
心和:「大丈夫、とは?」
弥生:「・・・・木下は少し普通じゃぁないんだよ」
心和:「普通じゃない?」
俺:「大丈夫ですよ。 この世界、普通なんてものはもうないんですから。それに狂人と一緒に行動してるんですから心配しないでくださいよ」
狂人:「おい勇人それどういう意味だし」
皐月:「あははははぁ。それもそうだねぇ。普通なんてそもそも抽象的なものだしねぇ」
弥生:「フッ。確かに狂人がいる時点で普通なんてないわね。木下。出てきていいわよ」
弥生さんが1声上げると、レジの影から1人の少年が出てきた
??:「は、はい・・・。え、え~初めまし、て・・・・『木下 信吾』です・・・」
信吾と名乗った少年は背が小さく子供っぽい顔立ちから中学生だと思われる
服はどこかの学校の制服だ。自己紹介もちゃんとできてるし常識はあるみたいだ
ここまでは普通だ。何処にでもいそうな学生だ
ただし、
なぜか頭に蛇みたいな細長いくねくね動く物体がある
俺:「おおぅ・・・・・」
なにを見ても、驚かない自信があったんだがな・・・・
心和:「あ、勇人さんと幸子ちゃんと同じ髪型ですね」
心和はどうやらバカになってしまったみたいだ
確かに俺と幸子の髪型は頭のてっぺんがハネているが、あの少年の何かのようには動かない
狂人:「何その生き物人と同じ意志でもあるの?」
狂人はどこかズレた質問を木下にした
木下:「へ? う、うん。一応『この子』には意志というか感情みたいなのはあるよ・・・」
俺:「『この子』って言うことは、やっぱりちょっと前衛的な髪型ってわけじゃなく生き物なんだな?」
木下:「う、うん。いきなり頭に刺さってきたんだ・・・・」
心和:「いきなり刺さったんですか?」
心和は信じられないという顔で木下を見る
狂人:「・・・・・・皐月達はなぜ刺さってるかわかる?」
弥生:「さぁ? ここに木下を避難させた時にはもう刺さってた」
狂人はそれを聞くと、真面目な顔を見せ俺を手招きした
俺:「なんだよ?」
俺と狂人は店の隅に行き、心和達に聞こえないように静かに話す
狂人:「どう思う?」
俺:「・・・・どうもこうも、刺さってるのは刺さってるんだろ?」
狂人:「そうじゃなくてね」
俺:「? そうじゃなくて?」
狂人:「頭に触手を生やした男が女2人いる店に転がりこんだんだよ?」
俺:「お、おう」
狂人:「これはエロ展開があったに決まって」
俺:「お前は真面目な顔して何考えてんだ!!」
俺は狂人を思い切り殴る
なんだこのエロ男の娘!
狂人:「男ならそっち方面に真面目になるさぁ!!」
狂人は俺の手をかわしてのたまう
クソ!! 何故この距離であたらないんだ!!
狂人:「まぁ、冗談はこのくらいにして」
俺:「冗談じゃなかっただろ」
狂人:「うるさい。 それで、あの触手なんだけどさ」
俺:「おう」
狂人:「君にめちゃくちゃ攻撃的だよ」
俺:「・・・・・・へ?」
心和:「国王!!」
心和の声で振り返ると、触手 (と木下)がこっちに向かってきていた
あぁ、こういう展開なのね・・・・
咲) 触手ですよ触手!!
狂人) 懐かしいキャラが出てんのにそれかお前は
*
咲) 次回、「勇人の実力」
咲) もうこの章の主人公勇人でいいや