敗北者の観光・4
咲) 夏休み どこにも行かず ひきこもり
敗北者) 何悲しい事を俳句で言ってるのさ?
咲) いや、今思えば夏なのに夏っぽいとこ行ってないなぁと
敗北者) あぁ、海とか山とか深海とか?
咲) ・・・・・深海?
敗北者) まァいいんじゃない? てか咲がひきこもらないと僕らが困る?
咲) それまたなんで?
敗北者) 僕等の時が止まるから?
咲) ・・・・おおぅ。メタいメタい
私:「あぁ~・・・。やはり死んでいませんでしたか・・・・」
私は智子さんの後ろにいる狐のお面をかぶった学ランで白髪の人に言う
??:「酷い言い方だな~? まるで死んでいてほしかったみたいだね?」
私:「逆にあなたに死んでほしくない人っているのですか?」
??:「2人いるよ?」
私:「あ~はいはい『狂人』と『道化師』ですね」
??:「『さん』をつけろよ屑が」
相変わらず『敗北者』さんは変な所でキレます。『?』を忘れています・・・
私:「・・・・すみません」
敗北者:「・・・・・それにしても? ここはいろいろと楽しいことになってるねぇ?」
私:「そうですね。とても楽しくて苦笑がもれますね」
今ここは末確認生物やゾンビに襲われ、我を忘れて取り乱す人であふれかえっています
それだけならまだしも、自分が生き残るために今まで規律がとれていたはずなのに今では人を蹴飛ばしたり殴ったりして前に進もうとしている人や中にはゾンビと間違えたのか人を殺してしまってる人も見えますね
敗北者:「そうだそうだ? 僕はこれから僕を殺した人に会いたいと思ってるんだけどどこにいるのか知ってるかい?」
私が周りを見回していると、敗北者さんが口を開いてきました
私:「私は知りませんが、智子さんなら知ってるのでは?」
敗北者:「智子? なんだいそのどこにでもいそうな名前の人は?」
私:「あなたの目の前で私に間抜けな顔を見せ続けているお方です」
なんで私にそんな顔を向けてるんでしょうか?
敗北者:「あぁ、この話している人の方を見ない無礼者か?」
智子:「あ・・・・ぅ・・・ああ・あ・・」
私:「智子さん? 何呆けているのですか?」
智子:「な・・んで・・・こいつ・・・が・・・ここ・・・・に・・・・?」
私:「さぁ? 敗北者さん。何でここにいるんですか?」
敗北者:「僕がここにいるからだよ?」
私:「そうですか。答えになっていませんね」
智子:「・・・・お前は・・・死んだはず・・・・じゃ・・?」
あ~、納得ですね
確かに目の前で死んだ人間がいきなり後ろから話しかけてきたらビビりますよね
敗北者:「そんな日本の未来よりどうでもいいことよりもさ? 早く僕を殺した奴の場所を教えてよ?」
智子:「・・・・・・・・・・・」
敗北者:「おいおいだんまりかい? まったく、近頃の若者は僕を見たらすぐに動かなくなって困るね? ね、想華?」
私:「いきなり私に振らないでくださいよ」
敗北者:「それにしてもどうしようか? 僕は早く復讐がしたいんだけど?」
私:「復讐ですか。頑張ってくださいね」
敗北者:「あぁ、頑張るね? とりあえずこの人達について行ってみようかな?」
私:「そうですね。この屑たちは奥山さんに助けてもらおうとしていると思うので、ついていけば奥山さんに会えるかもですね」
まぁ大半はゾンビに食べられてますが・・・
敗北者:「そう? じゃぁちょいと行って」
智子:「待て・・・よ・・・・」
敗北者:「ん? 何か言ったかな?」
智子:「復讐をするのは・・・・・あたしら・・・だ」
敗北者:「? 何を言い出すんだい君は?」
私:「この人は敗北者さんを殺した人奥山さんに友達殺されたから、奥山さんに復讐するんですって」
何で私が説明しなくちゃいけないんだろうと思いながらも、偽善で一応説明をしてあげました
敗北者:「なるほど? 君も僕と復讐する人がかぶったのか?」
智子:「そう・・・だ」
敗北者:「じゃ、諦めてね?」
智子:「!? なんでだよ・・・・!」
おぉ。智子さんが調子を取り戻してきましたね。さすがは『この世界』で2週間生きて来ただけはあります
敗北者:「いや、何でだよと言われても? 僕が奥山って人に復讐するんだから君に復讐は無理でしょ?」
智子:「ふざけるな・・・! あたしらがどれだけ奥山を怨んできたか知ってるのか・・・!」
敗北者:「知らないし知りたくもないな~?」
智子:「あたしらはずっと奥山を殺そうと企んできたんだ・・・! この復讐はあたしらのだ!!」
敗北者:「いやいや『あたしらのだ!!』とか言われても僕には関係ないし? ていうか別にいいじゃん誰が復讐しようと同じでしょ?」
智子:「同じじゃない! この復讐は『たつ』のためなんだ!! だから、『たつ』の親友であるあたしらが奥山を殺さなきゃ『たつ』が報われないんだよ!!」
敗北者:「へぇそうなんだー? 君は奥山を殺すつもりなんだね?」
智子:「あぁそうだ!!」
敗北者:「そして、君は奥山を殺そうとするのはその友達である『たつ』のせいにするんだね?」
智子:「!? どういうことだよ!!」
敗北者:「だってそうでしょ? 君は奥山に復讐するってわめいてるけどさ、結局は『たつ』を理由にして人殺しをしようとしてるただのバカだよ?」
おうおう酷い酷い。事実を言ってあげちゃ~この人心おれますよ?
智子:「なんだと!!」
敗北者:「あ~あ『たつ』がかわいそうだな~? 奥山に殺されたのは仕方ないとして、親友に人殺しをする理由として利用されちゃうんだもんな~?」
智子:「てめぇ!! もう一遍言ってみろ!!」
敗北者:「断る?」
何故断るし
智子:「ハァ!?」
敗北者:「だいたい君はおかしいんだよ? 復讐するのを親友のせいにするし? ずっと復讐復讐って言ってるのに全く行動しないし? 復讐相手の傍でも普通に笑っていられてる? 君、本当に復讐する気あんの?」
智子:「あるにきまって」
敗北者:「じゃぁ何でやらなかったの? さっき君は言ったよね? 『あたしらはずっと奥山を殺そうと企んできたんだ』って? ・・・・ずっと? そのずっとは何さ? 何ですぐ復讐をやらなかったの?」
智子:「そんなの決まってるだろ!! 奥山は強いし人を何人も人を殺してる! それに仲間だってたくさんいるんだ! そんな奴にどうやって復讐するんだよ!?」
敗北者:「そんなの、『どうやってでも』復讐すればいいじゃないか?」
智子:「ッ!!?」
それができれば苦労しない
敗北者:「君はあれだな? 別に『たつ』が頼んでもいないのに親友のためと言って復讐をしようとする全くありがたくないありがた迷惑な奴で、復讐で親友を利用していることに気づかないバカで、あげくの果てには自分がかわいくて怖い思いも痛い思いもしたくないという甘ちゃんなんだな?」
智子:「そんなことない!!」
敗北者:「何で言い切れるの? あっ、もしかして『たつ』に頼まれたのかな? 『復讐をしてくれ。その際に俺(私)を理由にしてもかまわない。ただし痛い思いと怖い思いはしないでね』って?」
智子:「そんなこと言われるわけねぇだろが!!」
敗北者:「じゃぁ君はバカでありがた迷惑な奴で自分には甘い甘ちゃんなんだね?」
智子:「そんなんじゃ・・・・・・・・・・」
敗北者:「ほぉら言い返せないじゃないか? じゃぁ僕は行くね?」
智子:「・・・・・くそっ」
敗北者:「あれ? 何泣いてるの? なっさけないなぁ?」
智子:「あたしは、どうしたらいいんだ?」
敗北者:「何が?」
智子:「あたしは何のために生きていけばいいんだよ!?」
敗北者:「?」
逆切れですか?
智子:「あたしは今まで復讐のために生きて来たんだよ!! いまさらどうやって生きていけばいいんだよ!!」
敗北者:「『たつ』のために生きていけばいいじゃねぇか」
智子:「・・・・・へ?」
敗北者:「今まで『復讐』のために生きて来たんろ。だったら次は、次こそは『たつ』のために生きていきゃぁいいだろ」
智子:「・・・・どういうことだ?」
敗北者:「さぁな、それくらい自分で考えろ」
意味深なことを言って敗北者さんは歩き出しました
殺された自分の復讐をするために
私:「って、待ってくださいよぉ!!」
ここまで完全に空気だった私はすぐに敗北者さんを追いかけます
敗北者:「・・・・・あれ? 何でついてくるのさ?」
口調が元に戻りました。少し残念です
私:「酷い言いぐさですね」
敗北者:「おたがいさまでしょ?」
私:「はぁ・・・。まぁいいですけど、敗北者さんは奥山さんを見たんですか?」
敗北者:「いや? なにせ後ろを見る前に殺されたから見てないよ?」
私:「じゃぁどうやって奥山さんに復讐しようと思ったんですか? 誰だか分かんないのに」
敗北者:「皆殺しかな?」
私:「何物騒なこと言ってるんですか。私が奥山さんを見つけてあげますよ。私奥山さん見ましたし」
敗北者:「あぁ、それは助かるなぁ? じゃ、一緒に行こうか?」
私:「はい♪」
こうして、私と敗北者さんは奥山さんに復讐をするために人の流れに巻き込まれていきました
敗北者) 咲~? 質問で~す?
咲) 何かな~?
敗北者) なんでまた想華が主人公みたいになってるの~?
咲) 書きやすいからだよ~
敗北者) 死ね?
*
次回、「敗北者の観光・5」!!
お楽しみに~!!