丁寧な挿入、丁寧な破滅
「……ッ、はぁ、はぁ……! 見てよ、この最高に**『治外法権』**な輝きを! 配給の止まったボロアパートの片隅で、父さんの法律書を枕に交わす粘膜の対話が、今! 禁忌のフラスコの中で革命的結合を遂げたんだぁぁぁぁっ!!」
僕は叫んだ。埃の舞う四畳半。窓の外では秘密警察の足音が聞こえるかもしれないが、そんなの知るか! 今、僕の前には、僕と同じ「死の刻印」を刻まれた彼女が、絶望という名の最高のドレスを脱ぎ捨てて横たわっている。
僕は、昨日精製したばかりの「氷」を、アルミホイルの上で慎重に炙った。立ち上る白煙。それはラングレー(CIA本部)の実験室で設計された、脳内のドーパミンを強制徴用するための死の抱擁。
「……吸いなよ。父さんが君を『汚物』と呼んだ、その口でさ」
彼女は、震える指で煙を吸い込んだ。その瞬間、カサついていた彼女の肌に、不自然なほどの赤みが差し、虚無だった瞳に、超新星爆発のような強烈な光が宿った。
「あはっ……あはははは! 脳みそが、脳みそがホワイトハウスの庭まで飛ばされていくぅぅぅぅ!!」
彼女が絶叫する。その細い腕に浮かび上がったエイズの斑点が、結晶の熱に浮かされてドクドクと不気味に脈動を始めた。それに応呼するように、僕の股間のテポドン・マグナムもまた、規格外の質量をもって、物理法則を無視した「垂直離陸」を開始する。
「いいかい、彼女。……これが、父さんが守り抜いた『正義』の本当の使い道だよ。……君を犯し、僕を壊し、二人まとめて地獄の底で『自由』にするための鍵なんだぁぁぁ!!」
僕は、彼女の冷え切った身体に、僕の「巨大な質量」をゆっくりと、丁寧に押し当てようとした。
父さんが法廷で積み上げた緻密な論理を、一文字ずつシュレッダーにかけていくような、神聖にして冒涜的な作業。その「最初の一刺し」に、全神経を集中させた――その瞬間だった。
「……ッ、あ、……え?」
熱に浮かされた彼女の肌が、僕の先端に触れた。ただ、それだけの、羽毛が触れるような微かな摩擦。
だが、薬理的に強制徴用された僕のドーパミンは、その「拒絶なき接触」に耐えられるほど、理性的ではいられなかった。
ドクンッ、と。
物理法則を無視して垂直離陸していたはずの僕のマグナムが、機体トラブルを起こしたかのように激しく脈動した。
「……あ、あぁぁぁぁぁっ!! 出っ、出るぅぅぅ! 国家機密が、今、漏洩リークしちゃうぅぅぅ!!」
挿入という「法廷への出廷」を果たす前に、僕の「巨大な虚無」は、制御不能な白濁した絶望をドクドクと、彼女の秘部へとぶちまけた。
「……あはっ。……ねぇ、検事の息子さん。まだ、入ってないよ?」
彼女が、虚ろな瞳で僕を見上げ、嘲笑うように呟いた。
僕のプライドは、粉々に砕け散った。父さんの法律書が、足元で笑っているような気がした。……だが、絶望はそこで終わらない。
「……あはははは! 見てよ、彼女! 失敗作だと思った僕の精液が、見てよ、最高にヌルヌルとした**『治外法権アンタッチャブル・ローション』**になってるよぉぉぉ!!」
漏れ出した白濁液が、彼女の乾燥した絶望と僕の虚無を繋ぎ、滑らかな潤滑油へと変貌していく。
挿入の儀式をスキップしてしまった情けなさが、逆に、摩擦係数をゼロにするという**「革命的効率化」**をもたらしたんだ。
「……ッ、う、あぁ……! 凄い、ローション代わりの、お父さんの遺伝子……。あなたの失敗が、私をこんなに……滑らかに汚していく……」
僕は、自らが撒き散らした「敗北の証」を潤滑剤にして、今度こそ、彼女の奥深くへと僕の「質量」をゆっくりと、滑り込ませた。
丁寧な挿入。
それは、早漏という「欠陥」すらも、地獄をより深く味わうための「機能」へと転換させる、神聖にして冒涜的な作業だ。
「あはっ……あはははは! メシウマ(地獄味)すぎて、脊髄が液体窒素で凍りつきそうだぜぇぇぇ!!」
「……ッ、う、あぁ……! 凄い、検事の息子さん……。あなたの身体、お父さんと同じ……薬品の匂いがする……」
彼女が、僕の背中に爪を立てた。
結合。
僕たちの腕の斑点が重なり合い、父から僕へ、僕から彼女へ、そして彼女から「未だ見ぬ明日」へと、エイズのウイルスが、CIAの悪意が、ハッピーな猛毒とともに還流を始める。
「あはっ……あはははは! 見てよ、僕たちの斑点が繋がって、完璧な**『星条旗』**を描いてるよぉぉぉ!! メシウマ(地獄味)すぎて、脊髄が液体窒素で凍りつきそうだぜぇぇぇ!!」
僕は、狂ったように腰を振った。
これはセックスじゃない。これは、父さんという一人の男が捏造した「世界」に対する、肉体を使った**「最終異議申し立て」**だ。
結晶の煙が部屋を満たし、僕たちは自分たちの境界線を失っていく。
僕のマグナムが彼女の絶望を貫くたびに、脳内では自由の女神が中指を立てて笑い、ワシントンのエージェントたちがシャンパングラスを掲げる幻覚が見えた。
「……ねぇ、もっと……。もっと私を壊して。……お父さんの嘘を、全部この熱で焼き殺して……!」
彼女の叫びが、アパートの壁を突き抜け、平壌の夜空へと昇っていく。
キメセクの絶頂。
それは、いかなる革命よりも残酷で、いかなる法廷よりも正しい、僕たちの「死刑執行」の儀式だった。
第6話・完。




