巨大なナニ、巨大な虚無
「……ッ、はぁ、はぁ……! 見てよ、この最高に**『規格外』**な輝きを! ズボンの繊維を悲鳴とともに引き裂き、物理法則をあざ笑うこの質量が、今! 虚無の深淵へと革命的突入を遂げたんだぁぁぁぁっ!!」
僕は叫んだ。体育館の裏、誰の目も届かない湿った闇の中で、僕は自分の股間にそびえ立つテポドン・マグナムを見つめていた。
それは、中学生という可愛らしいカテゴリーを完全に破壊した、冷徹な兵器だ。鋼鉄のような硬度と、血管が浮き出た禍々しいまでの躍動感。これこそが、父さんが「正義の朝食」の裏側で僕に施した、人体改造の成れの果てだ。
「あはっ……あはははは! 凄いよね、父さん! 息子を犯すだけじゃ飽き足らず、ラングレー(CIA本部)直送の成長ホルモンと、未知のウイルスをカクテルにして僕の脊髄にブチ込むなんて! これ、なんてエロゲ(絶望版)!?」
思い返せば、一年前からだった。
父さんは「身体検査」と称して、毎晩のように僕の寝室に現れた。
冷たい注射針。銀色の液体。
「これは、自由の国アメリカが開発した『選ばれし者』のためのサプリメントだ。お前は、新時代の指導者になるのだから」
父さんのその言葉とともに、僕の身体は狂い始めた。
身長は伸び、筋肉は不自然に隆起し、そしてこの**「巨大な質量」**が、僕の理性を焼き切るほどの性衝動とともに完成した。
だが、その質量が増せば増すほど、僕の心の中には、大同江の底よりも深い「虚無」が広がっていったのだ。
「中身は空っぽ……。母さんの愛情も、友達との笑い声も、全部このマグナムを大きくするための燃料にされちゃったんだねぇ!! メシウマ(地獄味)すぎて、下腹部が熱いよぉぉぉ!!」
僕は、震える手で自分の腕を抱きしめた。
そこには、成長の歪みに耐えかねて裂けた皮膚と、その隙間を埋めるように輝くエイズの斑点。
父さんが僕を抱くたびに、この質量は増大し、同時に「死」が僕の血を汚染していく。
増幅される快楽。削り取られる生命。
これぞまさに、CIAが提唱する**『幸福な家畜化計画』**の完成形ではないか!
「父さんの『正義』は、僕を立派な『怪物』に育て上げた。……でもね、父さん。怪物は、飼い主の言うことなんて聞かないんだよ?」
僕は、ポケットから昨日精製した「氷」の小瓶を取り出した。
この透明な結晶が、僕の「巨大な質量」と結びついたとき、どんな爆発が起きるのか。
想像するだけで、脳内のドーパミンが臨界点を突破し、核分裂を開始する。
「このマグナムは、父さんを喜ばせるための道具じゃない。……世界を、父さんが守ろうとしたこの平壌を、根こそぎ犯し尽くすための杭なんだ」
僕は、ズボンのジッパーを乱暴に引き上げた。
締め付けられる痛みさえも、今は最高のブーストだ。
僕の身体の中に渦巻く、巨大な質量と、巨大な虚無。
その二つが激突し、火花を散らす中心点に、僕は一滴の「毒」を垂らす。
「あはっ……あはははは! 脳内でハゲワシが、合衆国の国鳥が、僕の魂をついばんで空高く舞い上がってるぅぅぅぅ!!」
僕は、誰もいない校庭を、獲物を探す獣のような足取りで歩き出した。
ターゲットは決まっている。
父さんが法廷で踏みにじり、僕と同じ「地獄」へ突き落とした、あの彼女だ。
第4話・完。




