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副団長と元副所長  作者: 平八


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1/6

プロローグ 別に君のことなんて

「あなたに言わなければならない事があるの。本当にごめんなさい。アスター。」

「…どうして謝るんだ?デイジー…顔を上げてくれ。」



 嫌な予感がする。



普段なら、「またデートの約束を忘れて仕事三昧か?ふん、次のデートは覚悟しておくことだな。」と物分かりのいい男を演じられるのに。

つい男らしくない、しおらしい態度になってしまった。

違う、こんな態度をする必要はない。

ただ、今まで通り君は本当に馬鹿だな、と笑って言えばいいのだから。


「…私ね、他に好きな人ができたの。」




::::::::::::::::::::::::




彼女との突然の別れから、二年が経った。


あのときはまだ下っ端騎士だった俺は、今はもう騎士団の副団長として多くの部下を統率する立場だ。

団長はあまり表に出ないので、俺が実質的な団長の役割を担っている。


というのも、団長は世界最強と言われるほどの規格外の実力で、戦場で彼についていける程の騎士がそういないために騎士団間の連携云々なんて彼にとっては関係のないことなのだ。

ちなみに、騎士団のNo.2と言われている俺ですらついていくだけで精一杯なお邪魔虫だ。

だから、騎士団の統率よりも鍛錬をしていただいたほうがwin-winなのである。


まだ独身だが、副団長という名誉な肩書を背負っているので俺は非常にモテる。

初恋は叶うことがない、というのは相場で決まっていることなので、俺はデイジーのことはすぐに立ち直った。それはもう光の速さに達する程だ。

デイジーの〝他の好きな人〟を探って探偵を雇ったり、なかなか突き止められない探偵を見限って自分で探しに旅に出たり、見つからない苛立ちと焦燥の余り剣を極めて国中の賊や指名手配犯を一掃して、別れてから二月で副団長まで上り詰めたり、なんて決してしていない。


じゃあ、どうして結婚しないのか?


結婚しないんじゃない、できないんだ。

告白されたら取り敢えず付き合ってみるし、俺から振ることはまずない。

しかし、毎回相手が泣きながら「あたしのことをいつまでたっても見てくれないもう耐えられない」と俺を振るのだ。

そっちだって俺が18歳という若さで副団長まで上り詰めた栄誉ある人間じゃなかったら見向きもしないくせに。確かに俺は見目が整っている方だが、超がつくほどではない。騎士団の中ですら俺より整っている奴はそこそこいる。

俺は昨日も新しい彼女に振られたのだ。

それも2日前に付き合ったばかりの。最速記録だ。俺を買ってくれている第三王子からも、いい加減身を固めたらどうだ?と言われている。


俺も急いではいるのだが、最近はそうも言ってられない事情ができた。魔女狩りが流行っているのだ。あ、デイジーも魔女だったが、デイジーが心配で…とかそんな理由ではない。決してない。


魔女は国の宝だからだ。戦争ではもちろんだが、平和な日常でも魔女は俺たちの生活を豊かにしてくれている。主に農作物の成長を促したり、魔道具を提供してくれたりする。それは貴族も平民も共通して知っているはず常識だ。


しかし、最近となって「二年前の〝惨劇〟は魔女のせいだ」と主張する人間が現れ始めたのだ。


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