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既視感あるくない?  作者: むぅむぅ星人


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第63話「ホワイトファングの父」

ーーケアン基地・ブリーフィングルーム。


招集したオセリスを待つキース達。

ホワイトファングとしてのこれからを語るキースは、すっかり隊長としての姿だった。


キース達の会話を聞いていたかのようなタイミングで、オセリスが入室した。

「遅くなってすまん。」

一同はオセリスに敬礼する。

「集まってもらったのは、人事の話だ。」

突然のオセリスの言葉にみんな動揺するが、キースは落ち着いて問う。

「具体的にはどう言う事ですか?」

オセリスはキースの姿を改めて見て、満足し答える。

「俺はホワイトファングを去る。」


またも一同困惑する。

「去るって…大佐、ホワイトファングから居なくなるんですか?」

レイの咄嗟の確認に、オセリスは無言で頷く。

「そんな…大佐が居なくなったら…」

ミリィは不安気に呟く。

「居なくなったらどうなる?ミリィ、答えてみろ。」

オセリスの問いに、ミリィは言葉を詰まらせる。

オセリスは続ける。

「そう言う事だ。もうお前たちに俺は必要ない。

 お前たちはキースの元で、ホワイトファング中隊として完成している。」

オセリスの言葉に、全員が息をのむ。


一息ついて、オセリスはキースに問う。

「どうだ?俺抜きでホワイトファングをやっていく自信はあるか?」

キースはひと呼吸して答えた。

「正直自信があるかと言われれば、難しいです。

 しかし、やり遂げる”決意”、”覚悟”はあります!」

オセリスは表情を緩め笑顔になる。

「っふ、最初の頃は向こう見ずで無鉄砲で危なっかしかったお前が…

 成長したな。もうお前に言う事は何もない。」


レイは涙を流していた。

「それでも大佐あってのホワイトファングですよ!」

しかし、オセリスは首を振る。

「泣くなレイ。お前もよくキースを支えてくれた。

 これからも頼むぞ。」


「大佐…」

ミリィの瞳も潤んでいる。

「ミリィ。お前は父君の影を乗り越えた。

 命の重さを知ったお前は、もう誰にも負けん。」


続けて、オセリスはビルとサイラスに目をやる。

「ビル、サイラス。突然のスカウトを良く承諾して付いてきてくれた。

 礼を言う。そしてユアンを支えてやってくれ。

 キースの言う通り、ユアンは伸びる。」

ビル、サイラスは強く敬礼する。

「任せて下さい!」

「必ずユアンを、立派な士官に育てて見せます!」

オセリスも強く頷く。


次にオセリスはヘレンの方へ顔を向ける。

「ヘレン、お前は強い。自信を持て。

 お前が強くなれば、それだけキースも強くなる。」

ヘレンはしっかりとオセリスの目を見て答える。

「はい!」

「だが、歌は忘れるな。

 お前の歌は…世界を救う。」

少し照れ臭げにオセリスが言うと、ヘレンも笑顔になる。

「大佐ったら…」


「ケビン、マリア!」

オセリスの声が強く響き、二人は咄嗟に変な返事になる。

「はひ!」「は、はい!」

オセリスは表情を和らげて言う。

「学生のお前たちを戦場に送った事…本当に済まなかった。

 だが、お前たちの可能性。見せて貰った。

 あの時の俺の選択に、間違いは無かったと自負する。

 引き続きキースに付いて行け!

 キースなら、お前たちを最高のお前たちにしてくれる。」

「はい!」「はい!」

今度はしっかり強く返事をした。


オセリスは少し戸惑い言う。

「ユアン。」

「はい!」

「君の母君には…本当に申し訳なかった。

 その意思と思想を利用し戦略を立て、彼女の想いを裏切った。

 だが、彼女の意思の強さ…お前を見て改めて実感した。

 良き士官となって、彼女の意思を継いでくれ。」

ユアンも涙を流しながら返事をする。

「必ずなります!」


改めて一同を見返すオセリス。

「皆いい面構えだ…」


キースはオセリスに問う。

「大佐。大佐は今後どうされるのですか?」

「本国へ戻る。」

オセリスはさらりと答える。

「実は、前々から本国帰還の命令は来ていたんだ。

 しかし、突っぱね続けた。」

「それは、俺たちの成長を見守る為に…」

レイが真剣に言う。

「自惚れるな!!」

オセリスの一喝は場を凍らせる。

「…と、いつもなら言う所だが……その通りだ。

 すっかりお前たちの成長に目が離せなくなった。

 本当に最高の部隊になったよ、お前たちは。」

オセリスから今まで考えられない笑顔が現れた。


オセリスは表情を整え続ける。

「俺は本国へ戻って、第二、第三のホワイトファングを作る。

 特務機関”Creators of “ACE of ACEs”ーー<CoA>と言う。

 ACE of ACEsの養成所と言った所だ。」

レイが少し挑発的に言う。

「第二のホワイトファングって…俺たちみたいになれますかね?」

オセリスは簡単に頷く。

「そうだな。参謀本部のデスク組はお前たちをデータでしか見てない。

 正直な所、俺もホワイトファングは変えの無い唯一無二の部隊と思っている。」

レイは、いつもの調子で怒られるかと思っていたら、全肯定され逆に感嘆していしまう。

「大佐…」

オセリスは笑いながら、続ける。

「まぁ、お前たちに劣りこそすれ、優秀な人材を育てるまでだ。」

ミリィが加える。

「大佐なら、出来ますね。」

オセリスも笑顔で頷く。


ひと呼吸の後、オセリスが改めてキースに語る。

「キース、もうお前に迷いは無いな。

 これからも、あらゆる困難がお前を襲うだろう。

 だが、お前はお前の信念で突き進め。

 お前の後ろにはコイツらがいる。

 お前を信じて共に走ってくれる…”仲間”がな。」

キースは堪えていた涙を噴かせ、オセリスに答える。

「はい!大佐…今まで…本当に…ありがとうございました!

 全員、ジャック・オセリス大佐に対し、敬礼!!」


オセリスに対して、目一杯の敬意を持って敬礼するホワイトファング達。

オセリスもサングラスの下から、熱いモノを流していた。


そして、オセリスはその場を去ろうとした……


ーーが、それを許さない者が一人いた。


「じゅ、准将!待って下さいよ!」

慌てて入室して来た一人の男。

レイはその姿に驚愕した。

「ボ、ボンドのオッサンじゃねーか!!!」


そう。現れたのは、かつてレッドクリーク基地でキース達の上官であった男。

ボビー・ボンドであった。


ボンドはレイの態度に、かつてと変わらない様子で飛ばす。

「オッサンだと?!

 レイ、貴様変わってないじゃないか!

 准将、言ってやって下さい。俺の立場を。」

オセリスは少しにやけて言う。

「忘れていたが、俺の後任のボビー・ボンド大佐だ。

 キースにレイとミリィはよく知っているな。」

「大佐?、それにオセリス准将?」

ミリィは士官らしく階級が気になる。

ボンドが自分事の様に偉そうに語る。

「オセリス准将は、CoA局長となられるのだ。

 然るべき役職には、然るべき階級が必要なのだ。」


レイは少し嫌味にボンドに突っ込む。

「それでボンド”元”中佐は何故大佐に?何か大成果を上げられましたかぁ?」

「俺が上申した。」

ボンドがレイを怒るより先に、オセリスが即答した。

「お前たちは変わらず独立遊撃隊だ。

 指揮官は然るべき階級と権利が必要だろうと、俺と同じ立場にしておいた。

 が、実際の指揮はキース、お前が執れ。

 ボンドは形式上の指揮官として置く。

 ボンド、それでお前も納得しているんだろ?」

ボンドはオセリスにへつらう。

「はい。もちろんです、准将。」

レイが調子を取り戻して、言う。

「なんだ。お飾り指揮官って事ね。」

ボンドはムッとするが、事実だけに反論が出来ない。


オセリスはキースの目を見て言う。

「キース、お前はまだ若い。故に未だ将校の中にはやっかむ者も居る。

 その時はボンドを使え。そして、結果で連中を黙らせればいい。

 お前ならもう朝飯前だろ。」

キースは笑顔で頷く。

「はい、ボンド大佐とは上手くやる自信はあります。」

ボンドもキースの態度に気分を悪くしなかった。


ボンドが威勢よく締め飾る。

「よーし!これでボビー・ボンドの新生ホワイトファングの誕生だ!」

「ボンド、そう言った余計な口出しは慎めよ。あと報告を適宜忘れるな。」

調子付いたボンドに、オセリスが釘を刺した所で、一同が一斉に笑った。


常に冷静沈着。時にユーモアを交えながらも高き壁の如く厳しかった。

その姿は、まさに狼の群れを束ねる”アルファ(指揮官)”。


しかし、彼らを見つめるその瞳には、サングラスの奥底からでも伝わる暖かいモノがあった。

それは子を見守る”父(親)”のそれでしかない。


ーージャック・オセリスーー

ホワイトファングを育て上げた”父”が戦場を去ろうとしていた。

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