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既視感あるくない?  作者: むぅむぅ星人


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第45話「新しい機体」

ーーケアン基地への帰路。


模擬戦を終えたキース達。三人の新人ACEに目を奪われる。

レイが思わず声を上げる。

「グラディウスじゃねーじゃんか!」

ミリィも驚いている。

「これ……新型?」

二人の反応に、オセリスは苦笑した。

『驚いたか。まぁ隠して悪かった。帰って来たら、詳しく教えてやる。』


一方キースは、相変わらずヘレンに質問攻めしていた。

「実力は分かったけど、やっぱり軍に入るなんて…」

「キースはなんで私の気持ち分かってくれないの?」

「そばに居てくれるのは嬉しいよ。でも、ここは戦場だぞ!」

「もちろん覚悟はあるよ!」

「死ぬ覚悟か!?」

「そうじゃないでしょ!」


レイとミリィは呆れたように目を合わせる。

「なぁ、うちの隊長ってこんなんだったか?」

「ほんとヘレンのことになると視界が狭くなるんだから……」



ーーケアン基地・メインハンガー。


帰還したキースたちの前に、三体の新型ACEが並んでいた。

その中央にはオセリスが立っている。

「どうだった、新メンバーは?」

キースは素直に答えた。

「……正直、侮っていました。完敗です。」

オセリスは満足げに小さく笑う。

「“負けも糧とせよ”と言ったろう。いい経験になったはずだ。

 それに……これがお前たちの新しい機体だ。」


ライトアップが点灯し、三体の新型ACEが鮮やかに浮かび上がった。

「機体名〈アスカロン〉。まだロールアウトしていない先行量産型だが、お前たちに優先して配備された。」

レイは興奮を抑えきれない。

「これが俺たちの新しいACEか!」

ミリィも整備員に駆け寄り、細かい仕様を食い入るように聞いている。


だがキースは別のことが気がかりだった。

「大佐、新しい機体は嬉しいですが……ヘレンをスカウトしたのは大佐なんですよね?」

オセリスは少し疲れたような声で答える。

「…あぁ。そうだ。だが、ヘレンは自分の意思で入隊した。

 釘を刺しておくが、フォスター博士に突っかかるなよ。彼女は能力を見出しただけだ。」

「もちろん経歴は把握している。釘を刺しておくが、フォスター博士に突っかかるなよ。

ヘレンも付け加える。

「極秘事項だったから相談できなかったの。でも私は、自分で決めたの。」

「なんでだよ!君が戦場に立つ必要があるのか!?」

キースは感情を抑えきれず声を荒げた。


「ほんっっっとに分からず屋だな!お前そんなだったのかよ。ちょっと見損なったぞ。」

レイの堪忍袋の緒が切れる。

「お前には関係ないだろ!」

キースは負けじと反論する。

「関係大ありだろ!これから共に戦う仲間なんだ。

 大佐、すみません、一旦二人で話させてもらっていいですか?」

レイは冷静にオセリスに確認する。

「お前に任せる、レイ。」

オセリスは軽く息を吐き、答えた。


レイは廊下にキースを連れ出すが、キースがレイの胸ぐらを掴む。

「何のつもりだ!」

「こっちの台詞だ、バカ!」

レイは真正面から言い放つ。キースも真剣だ。

「お前は何のために戦ってる?」「この戦争を終わらせるためだ!」

「じゃあヘレンは? なんでここに来たと思う?」「だから、それが分からないんだよ!」

レイは大きく息を吐き、呆れたように言った。

「……ヘレンは、お前を支えるために来たんだよ。」

「……え?」

「大切な人が死地にいる。助ける力があるなら……来るに決まってるだろ。」

キースはハッと目を見開く。

「ヘレン……俺のために……?」

「やっと理解したか。まったく、お前は彼女のことになると本気で視野が狭くなるな。」


キースは頭をかきながら言う。

「……レイ、いつもごめんな。」

「なんだよ急に。」

「やっぱ俺にはお前が必要だなーってな。」

「ん……まぁ約束だからな。」

キースの言葉にレイは照れ臭く言う。

「兄さんとの、か。」

「おま……知ってたのか。」

「兄さんからずっと言われてたからな。”レイを頼れ。アイツは絶対裏切らない。”って。」

「かぁー。さすがグレン兄ぃだ。俺らの事お見通しだったんだなー。」

二人は笑い合った。

「よし、分かったらヘレンに謝りに行け。男なら正直に、な。」

「あぁ。」


二人が戻るとヘレンはミリィに慰めて貰っていた。

キースはヘレンの元に立つと、素早く頭を下げた。

「ごめん!俺、ヘレンの気持ち、何も分かってなかった。」

ヘレンは優しく微笑んだ。

「ううん。私も相談せずに決めちゃってごめんね。」


オセリスが咳払いする。

「……落ち着いたようだな、キース。」

「すみませんでした、大佐。みんなも。」

真剣に謝るキースをフォローするようにレイが軽口で場を和ませる。

「隊長、頼みますよほんと。」

整備室が笑いに包まれた。

(レイは……やっぱりよく見てる。すごいな…)

ミリィが心の中でそっと呟いていた。


オセリスは改めて説明した。

「それでだ、アスカロンについてだが、グラディウスの上位である事以外に大きな違いがある。

 リュウ、三人のアスカロンのデータを。」

リュウは新メンバーの三機のアスカロンについて説明を始める。

「アスカロンの最大の特徴はカスタム性です。

 まずビル機。ボクサースタイルを活かした軽量・近接特化型です。

 次にサイラス機。索敵能力と状況対応力に優れ、遠距離のリニアボウから近距離のハンドアックスまで柔軟に対応できます。

 そしてヘレン機。ドローンポッドと牽制ガトリングを備えた重装支援型です。」


オセリスが付け加える。

「さらにヘレンの能力――“NuGearジャマー”、通称Nジャマーだ。

 効果はもう分ってると思うが、NuGearに干渉してACEの機能を停止させる。」

ヘレンが照れたように言う。

「……でも効果範囲は狭いし、一機くらいしか止められないけどね。」

ミリィは目を輝かせた。

「それでも十分すごいわ!」

レイも笑う。

「動かない相手なら勝ち確だな!」

キースはふと真面目な表情になる。

「……これなら、パイロットを傷つけずに戦えるな。」

ヘレンはそっと微笑んだ。

「うん。キースの“誰も傷つけたくない”って想い……私も助けたいと思ったの。」

キースの目に再び涙がにじむ。

「ヘレン……ありがとう。」

オセリスは珍しく笑った。

「っふ、キースも彼女の事になると感情の抑制が出来んのだな。」

「あっ、それ博士も言ってましたよ。」

ヘレンが付け加えて、整備室に笑い声が広がった。


新たな機体アスカロン。そして新たな仲間たち。

ホワイトファングは、この日ようやく“次”へ歩き出した。


戦場に吹く風が、どこか期待の匂いを含んでいた。

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