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既視感あるくない?  作者: むぅむぅ星人


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第44話「新しい白い牙の力」

――コロンゴ軍・ケアン基地・ブリーフィングルーム。


しんと張りつめた空気の中、キース、レイ、ミリィの三人はオセリス大佐の前に整列していた。


「待たせたな。ホワイトファング隊に新規要員を配属する。」

レイがさっそく身を乗り出す。

「いや〜、何日待ったか!で、どんな奴らなんです?」

「レイ、落ち着いて。大佐が話してるでしょ。」

ミリィが肘で小突くと、レイは「へいへい」と肩をすくめた。

オセリスは咳払いし、淡々と続ける。

「先ず、断っておく事がある。

 当初は三個小隊による中隊として独立運用する予定だったが――適性者の不足で、増員は一個小隊のみだ。

 お前たちに合わせられる者は、凡庸では務まらんからな。」

キースは問う。

「ということは、今回の三人はかなりの実力者ということですか?」

オセリスは口角を上げた。

「まぁそう言う意味では正解だ。ーー入れ。」


扉が開き、三人の新隊員が入室した。

だが、そのうちの一人を見た瞬間――

「ヘレンじゃねーか!」「ヘレン!え?」「ヘレン!どうして!」

三人はほぼ同時に叫んだ。


オセリスも眉を上げる。

「何だお前らヘレンとは知り合いだったのか。」

レイが得意げに笑う。

「大佐、ヘレンちゃんはキースの彼女っすよ。」

「おいレイ!余計なこと言うな!」

キースが慌てて口を塞ぎ、ミリィは赤面しながら「はいはい…」と溜息をついた。


オセリスは気を取り直し、指示する。

「まず自己紹介だ。ビル、お前から。」

無駄のない体躯をした男が一歩前に出て、鋭く敬礼する。

「ウィリアム・ガードナー曹長であります。」

続いて、小柄ながら鋭い目つきの青年が敬礼する。赤銅色の肌にフェイスペイントが映えていた。

「サイラス・ホーク軍曹であります。」

最後に、凛々しい軍人の顔つきになったヘレンが前に立つ。

「ヘレン・スチュアート伍長です。」


やっとキースたちも他の二人に意識が向き、レイが目を丸くする。

「……ウィリアム曹長って、もしかして“マシンガン・ビル”!?」

ビルは照れくさそうに笑った。

「えぇ、一応は元ライト級ボクサーで。」

レイがミリィに熱弁を始める。

「45勝2敗1分で、そのほとんどが3ラウンド以内KO!ライト級の伝説だぞ!」

「すごい…そんなすごい人が仲間になるなんて!」

ミリィが感嘆すると、ビルは苦笑まじりに肩をすくめた。

「怪我でリングは降りましたからね。その後を、大佐が拾ってくれたんです。」

「え?大佐が?」

オセリスは涼しい顔して言う。

「あぁ。この三人は全て俺がスカウトした。

 ウィリアムの事はビルと呼んでやれ。」

ビルも頷いた。


オセリスは次にサイラスへ視線を向ける。

「サイラスはネイティブ・コロンガンだ。」

サイラスは礼儀正しく笑顔で頭を下げる。

「保留地で育ちましたが、ラサーレ工科大学を出ています。コロンゴ語含め十六カ国語なら操れます。」

「ネイティブコロンガン仕込み勘の鋭さと、軍の中でも注目される機械知識が武器だ。」

オセリスが付け加える。


そして最後に――

「で、ヘレンだが……」


見ると、キースがヘレンの方を掴んで小声でまくし立てていた。

「なんで軍に入ったんだ!?」「キースのそばに居たかったから…」

「博士か!?博士のせいだな!?」「それは否定しないけど…」


見かねてオセリスがシッ責する。

「キース!いい加減にしろ!お前はこれから中隊長になるんだぞ!自覚を持て!」

キースはびしっと直立し、縮こまりながら謝った。

「す、すみません……!」


オセリスは深く息を吐き、話を戻す。

「ヘレンの説明は不要だな。

 それで、キースの質問の”実力者”については、実際模擬戦で分かるだろう。

 14:00よりホワイトファング隊と新規小隊で模擬戦を行う。」



――14:00、ケアン基地郊外・森林地帯。


『彼らの実力を見せてやる。お前たち一機でも撃破信号を出したら負けだ。』

オセリスの挑発に、レイが鼻で笑う。

「俺らが撃破されるって?冗談きついぜ、大佐。」

ミリィは真剣そのもの。

「油断しないで。未知の相手よ。」

一方キースはまだヘレンのことで頭がいっぱいだった。

「ヘレン…どうして……」

レイがシカり飛ばす。

「キース!今は戦闘!ヘレンとは後でじっくり話しろ!」

キースもハッとなって応える。

「っごめん。頭を切り替える。」

ミリィは笑顔で頷くと確認する。

「でも結構広くフィールドを取ったね。索敵から始めないと。」

ミリィが索敵に入ろうとしたその瞬間――


ズドンッ!………ボワァァァ!

ミリィの足元にタングステン矢が突き刺さり、周囲が一気に炎に包まれた。

「え?ナパームボウ?うそ?レイどこからか見えた?」

「いや、今の完全に見えなかったぞ…!」

レイも驚く。

「サイラスだ。これがネイティブコロンガンの目と勘だ。散開するぞ!」

キースの号令で三人が散った直後――


小さなドローン十機がキースに接近してきた。

「ドローン?…動きが…読めない!? ただの無人機じゃない!」

ドローン群がキースの周りを囲うと、突然キースの機体が停止した。

「機能停止?…え?この歌?」

微かに聞こえる旋律。その隙に――


猛スピードで見かけないACEが疾走して来た。

そしてキースの頭部へ“軽く”拳を当てた瞬間、

キース機に撃破ランプが点灯した。

『隊長機撃破。どうですか、やられた気分は?』

ビル笑顔の声が無線から入ってくる。


キースは呆然として呟いた。

「……嘘だろ…模擬戦、開始3分だぞ……?」


ヘレンの声が無線に乗る。

『っふふ、中隊長。……あなたの隣に立つんだから、このくらいできなくちゃ。』


キースは、ただ言葉を失っていた。


――新たな白い牙は、想像以上に鋭かった。

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