第18話「タロン奪還作戦」
――ノースブリッジ防衛陣地。
冬の冷気が空気を張り詰めさせる中、輸送機が滑走路に着陸した。
「久しぶりだな!活躍は聞いているぞ。」
降りてきたダグラスが笑みを浮かべ、手を振る。
「大尉!お久しぶりです!レッドホーン隊もピースブリタニカですか。」
キースが喜んで迎える。
「はい、我々だけでなく、ACE全隊に前線配備の命令が下りました。」
真剣な目でオリバーが答える。
「コロンゴはACEの数で遅れを取ってるものね。」
ミリィも真剣に頷く。
「だが、俺たちも本国で鈍ってた訳じゃない。ココの防衛は任せてくれ。」
ライアンは自慢気に言い、真剣な空気を和ませる。
「アンタらなら安心だ。だが、ミハエル・ファフナーって奴には気をつけろ。黒いACEに右肩に赤いワシのエンブレムを付けたキザヤローだ。」
レイが注意を喚起する。
「エンブレムと言えば、お前たちも白い狼のマークを貰ったんだろ?俺たちも赤いサイにしようか。」
ダグラスが笑いながらふざけ、皆も笑う。
「再会の談笑はここまでだ。次の任務が待ってるぞ!」
オセリスの叱りが入る。
「では大尉、いえレッドホーン隊。ノースブリッジをお願いします。」
「ああ、任せてくれ!」
握手を交わし、互いの士気を確認する間にも、機体整備は淡々と進む。
ノースブリッジを任せられる安心感と、別れの緊張が同時に胸を圧した。
――作戦ブリーフィング室。
モニターにはタロン市街と、敵空戦ACE「インプ」の映像が映し出される。
「敗因はほぼこれだ。」
オセリスが指し示す。小型のACEが戦闘機から射出され、自在に動き回り、航空機もヘリもなすすべなく撃墜される映像が流れる。
「インプは戦闘機に搭載され、射程圏内で発射される。小型スラスターを多数搭載しており、ドッグファイトではほぼ無敵だ。」
ミリィが眉を寄せる。
「こんなに動き回ったらヘリも太刀打ちできないわ。」
キースは拳を握る。
「空戦までACEが支配するのか…」
「小悪魔みたいなヤツだな。エウロパはホント一歩進んでるなー。」
「感心している場合じゃない。コイツに対抗する手段を説明しろ、リュウ。」
リュウが地図上に動線を描きながら説明する。
「都市部では行動範囲が限られます。そこでブーストジャンプで高度を稼ぎ囮としてインプを引きつけ、その間にネットガンで絡め取り、地上高射砲でトドメを刺す、と言う計画です。」
「で、俺らが囮役ってわけか。」
レイが苦笑する。
「敵に勝つには、このまさかの戦術が必要だ。」
オセリスは冷静に指示を出す。
「単なる囮作戦ではない。空戦と地上戦を融合させた戦術だ。成功すれば市街の奪還も可能になる。」
――タロン市街上空。
薄曇りの朝日が瓦屋根を照らす。ホワイトファング隊を先頭にコロンゴ軍が市内へ侵入する。
「コロンゴのACEか。フッ。ゴブリンと違ってコッチは空戦仕様だ。空から蜂の巣にしてやる。」
インプ部隊が迎撃に出る。
「来たぞ!打ち合わせ通り俺から飛び出す!」
キースがブースターを点火し、大きくジャンプする。
「何?!飛びやがった!?」
「落ち着け、ただ飛んだだけだ。狙い撃ちしろ!」
「よっしゃ!俺も行くぜ!」
レイも続いて飛び出す。
「ファング3、飛翔します!」
三体のACEがインプを飛び越える。
「コイツら、上空で俺たちを撃ち落とす気か!?」
インプ部隊が釣られ、キース達を追う。
「よし、食らいついた!」
「ネットガン、発射!」
ワイヤー状のネットがインプに絡みつく。スラスターを吹かすインプの動きが一瞬止まる。
「ネットだと!?動きが…取れん!」
「隊長、姿勢制御で手一杯です!」
「待て、このままじゃコッチが良い的になるぞ!」
「よし、地上高射砲に合図!」
オセリスの指示で、砲身がインプへ向く。砲弾が炸裂し、インプは建物を避けつつ撃破される。
市街上空に小爆発が散らばる中、ホワイトファング隊は慎重に敵の残存機を追い払う。
「敵、退却開始!」
無線に喜びの声が響く。
――タロン市街地。
瓦礫をかき分けながら隊員たちが通りを進む。
「街から撤退させることに成功。ここまでだ。」
オセリスが地図を見つめ、作戦完了を宣言する。
「でも、これで一安心ってわけじゃないな。」
レイが呟く。
「残党が郊外に逃げ込んでいるはず。完全制圧は次回以降ね。」
ミリィも頷き、唇を噛み締めた。
「それでも、市街の皆を守れたんだ!」
キースは市民を守れたことに僅かな喜びを感じる。
ホワイトファング隊は勝利の安堵と、次なる戦線への覚悟を胸に、タロンを後にする。
空戦ACE〈インプ〉。両国のACE開発競争は、ここからさらに激化していく――。




