第五話 勝負だ
そうか、僕、怖いんだ。
あぁ、どうしよう。体がビビって動けなくなった。
塵になる=死。その事実に今更ながら恐怖を感じている。
逆に、なんで今まで戦えていたのだろう。
何もしないで殺されるよりも、少しでも戦って殺された方がマシ。そう思っていた。
でも、塵になっていく人を見ると、死がより身近に感じてしまう。
あぁ、クソ……
シュンや黒井先生に助けてもらったのに、僕は、なんでこんなに、
弱いんだ。
「トウヤ!おれたちも加勢すっぞ!」
シュンが何か喋っていることは分かるが、上手く聞き取れない。
動け、動くんだトウヤ。
「トウヤ!トウヤ!!おい、聞いてんのか!?……もしかして、ビビってんのか?」
シュンの声がようやく聞こえた。
そうだ、そうだよ。ビビってんだよ。
「お前、クソダセーな。」
は?
そんなの僕だって分かってる。なのに、シュンに言われると無性に腹が立つ。
「じゃあ、おれと勝負しようぜ。どっちがより多くの侵入者を倒せるか。」
シュンはいっつもそうだ。何でもかんでもすぐに勝負にする。そして、競い合う。
僕が勝つ日もあれば、あいつが負ける日もある。
それが、楽しいんだ。
「いいよ。勝負だ、シュン。」
またあいつとの勝負に乗ってしまった。
やるからには全力で。
なんだか、さっきまで怖がっていた自分が馬鹿に思えてきた。
シュンが銃を撃つ。
侵入者の肩に直撃。すかさず、何発も撃つ。
7割ぐらいは外しているが、少しでも当たればいい。
シュンはきっとそう思っているのだろう。
負けてられない。
僕は侵入者に近づき、斬る。
次は足、腕、肩、頭。
僕の持っているこの刀は、攻撃力が低いが、軽い。
侵入者も僕達と同じで、死に値するダメージを受けると塵になることに気づいた。
だから、僕はひたすらに斬りつけるのが得策だろう。
そろそろか。
「ふんっ!」
僕はトドメを刺す頃合いだと思い、少し強めに斬る。
侵入者が塵になる。
「あっ。それ、おれが狙ってたヤツじゃねぇか。横取りしやがって!」
シュンが何かほざいているようだが、無視しよう。
そんなことより自力で倒せた喜びと達成感に浸っていたい。
しかし、そんな願望は叶わず、侵入者が近づいてくる。
休む暇もないってか。
僕はカウンターを狙って、侵入者がいい距離まで近づくのを待つ。
「どっせえぇぇーーい!!」
「!?」
横から誰かが走ってくる。気づかなかった。
その“誰か“が、走ってきた勢いで侵入者を殴る。
もう一発、もう一発。
「三発で、侵入者を倒した……?」
そう。その“誰か“は僕が苦労して倒した侵入者を、たったの三発で塵にしたのだ。
「あれ?日丸に内山じゃん。黒井先生もいるー。」
その“誰か”は、
「功力!」
功力ゲンキだった。




