第一話 全ての始まり
学校は好きですか。
「友達と会えるから好き!」「勉強したくないから嫌い。」
いろんな意見があると思う。
ちなみに僕は
大好きだ。
僕の名前は日丸トウヤ。
十字高校という、何もかもが平均的な高校に通っている、一年生だ。
中学の時は陸上部で、運動神経には自信がある。
周りからよく「真面目すぎる」と言われるが、そこまで頭がいいわけじゃない。
ドンッ!
「痛っ」
誰かとぶつかってしまった。
朝の廊下は人がたくさんいるから、気をつけて歩かないとすぐぶつかる。
「すみません。怪我はありませんか。」
流石に、この程度で怪我をする人はいないと思うが、謝罪だけでは失礼だと思い、心配の言葉をかける。
「いってー。うわ、これ、折れてるわ。慰謝料払えよ。」
金髪モヒカンでピアスをつけている。『THE・ヤンキー』という感じの不良だ。
今どき、こんな不良がいるのかと少し感動する。
後ろに仲間だろう不良が二人。
一人は肥満気味な坊主。もう一人はねずみ顔のガリ。
典型的すぎる。
こんな不良は無視するに限る。……が、
「この学校はピアス禁止です。外してください。」
これは見逃せない。
一人でもルールに反く者がいれば、周りも緩んでいく。
「……は?いや、話聞いてた?俺の言ったことガン無視じゃん。」
「言ったこと……?」
「いやだから、折れたーとか、慰謝料払えーとか、俺言ってたじゃん。ふつー、折れてるはずない、慰謝料なんて払わないって反論するとこだろ……。」
そういえば、そんなこと言ってたような……。
「とにかく、ピアスを外してください。では。」
そう言って教室へ向かう。
すると後ろから肩を叩かれる。不良たちが追いかけてきたのかと思い、振り返る。
「アハハハッ!おもしれー!流石トウヤだわ!不良たちの頭の上にハテナが浮かんでらぁ!アハハハハッ!」
そう言って大爆笑しているのは、僕の友達、内山シュン。
僕と同じ、元陸上部だ。
オレンジ色に近い金髪で、前髪の右の方を、二つのヘアピンで留めている。
誰もが第一印象は「チャラい」と思うような人だ。
ちなみにこの学校は髪染めを許可している。なのでそこはお咎めしない。
だが、ときどき校則のギリギリなことをするので、気が抜けない。
というか……そんなに笑われるようなこと、したか?僕。
そうして、たわいもない話をしながら教室に入り、席に着く。
僕はシュンの一つ前の席だ。
「なぁなぁ。今日集会あるらしいぜ。だるくね?」
シュンが後ろから話しかける。
そしてその直後
ガラガラガラ
教室のドアが開く。先生が教室に入る。
「今日は集会があるから、はやめに朝礼終わらすぞ。」
ついさっきまで騒がしかった教室が、一気に静まり返る。
黒井マモル先生。
仏頂面で、生徒は口を揃えて「怖い」と言う、厳しい先生だ。
黒色の短髪でつり目。目つきも怖い。
噂によると、黒井先生の笑った顔を見た人はいないとか。
「起立。礼。着席。」
朝礼が終わり、全員が体育館へ向かう。
この時の僕は知らない。
この集会が
全ての始まりだということを。
「校長先生のお話です。」
スタスタスタ
校長先生がステージに登る。
後ろの方で女子の歓声が聞こえる。その歓声がどれだけ小さくても、この静かな体育館ではよく響く。
校長先生−十字タダシは三十五歳と校長にしては若く、顔も三十代とは思えないほど整っている。
薄橙のような髪色でセンター分け、糸目。男の僕でも、イケメンだと思う。
なので、一部の女子生徒でファンクラブが作られている。
四年前から校長に就任しており、それまでは父親が校長をしていたそうだ。
「えー、おはようございます。」
「長くなるんかな。」
隣に座っているシュンがボソボソと話しかける。
今は校長先生の話だ。喋らずに話を聞こう。と言おうとしたとき、校長先生が思いもよらないことを言い出した。
「皆さん、ピンチです。」
……は?
一瞬の沈黙があった後、集会のことも忘れて生徒がざわつく。
そんなこともお構いなしに校長先生が話を続ける。
「この学校に、およそ百人の侵入者が現れました。」
……?
話が見えない。
パチン
校長先生が指を鳴らす。
その途端、僕の目の前にあるものが出現する。
「か……たな?」
そう。それはドラマなどでよく見る『刀』だった。
どこから刀が?これは本物なのか?侵入者ってなんだ?みんなも、それぞれ違う武器をもらってるけど……。
何が始まるんだ?
いろんな疑問が、頭の中を覆い尽くす。
僕が、どんなに混乱してようと、校長先生は話を止めない。
「今皆さんに、侵入者に対抗するための『武器』を配布しました。その武器を使って、侵入者を全員倒してもらいます。あ、あとーー」
侵入者を倒す?逃げて下さい、とかじゃなくて?
バン!!
次はなんだ!?
すぐさま音のなった方へ振り向く。
体育館のドアが、破壊されている。
すると、ゾロゾロと大勢の何かが体育館へ入ってくる。
その何かは、人間の形をしていて、顔に十字のマーク。身体にも斜めの十字マークが刺青のように入っている。
まるで、等身大の動く人形のようだ。
まさか、あれが侵入者?
「あー……。要するにこれは、かなり金をかけたレクリエーションってことだな。めんどくせー」
あ、朝の、典型的なピアスヤンキー。
レクリエーションだとしても、武器が突然出現したことに説明がつかない。
こういうのを、死亡フラグというのだ。
「こんなレクリエーション、さっさと終わらせようぜ。」
そう言ってピアスヤンキーは、トンカチのようなハンマーを持って、侵入者らしき者に近づく。
後ろに二人の仲間を連れて。
「話が途切れましたがーー」
校長先生が話を続ける。
それと同時に
侵入者がピアスヤンキーを殴った。
ピアスヤンキーは、鼻血と唾液を豪快に出す。
「大事なことを言います。」
次に腹が殴られ、足で肩を思いっきり蹴られる。
バランスを崩したピアスヤンキーは床に倒れこみ、苦しむ。
「侵入者から、死に値するダメージを受けた場合ーー」
そして、お仕舞いに、床に倒れこんだピアスヤンキーの腹に足をグリグリと押しつける。
すると、
「消滅します。」
ピアスヤンキーの身体が塵になり、消えた。
キャアァァァァァァ!!!
奇声があがる。
「さあ、皆さん。この学校を守って下さい。」




