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6 銀髪の少女と魔法の話2

「いやー、すごいな。ウィザードと嬢ちゃんがいれば怖いものなしだ。」


いつしか、私は『魔法』を使いこなせるようになっていた。

ウィザードたちと商人として物を売りながら、人助けをして各地を周るうちに人を手伝って感謝されることに段々と喜びを感じるようになってきた。


十数年が経ち、ちっとも外見が成長しない私も受け入れてくれる仲間たちと一緒にこれからも。


「俺の魔法は全部教えた。お前は一人前の魔法使いだな。」

「ありがとうございます!師匠!」

「ははっ、師匠だって。良かったね、ウィザード。」

「やめろむず痒い。」


別れは唐突に。


「逃げろ。お前だけでも。」

「嫌です!私は死なないし…みんなを助けなきゃ!」



ドラゴンが現れたのだ。


伝説上の生き物だと思っていたのに、存在した。とある街にて。


◆◆◆


「あの森にはドラゴンがいるんです。森を通らないと隣町に行けないのに。すでに何人か…」

私達はいつの間にか、魔法で人助けをする旅人として有名だった。


師匠は人助けだと言って、いつも通り馬車を走らせる。

「どうせデカいトカゲかなんかだろ。俺の魔法みたいなもんだ。」


ドラゴンは、実在した。


絵本みたいに火は吹かなかったけど、あの時のクマの何倍も大きくて凶暴で。


あっという間に馬車をぐちゃぐちゃに壊してしまった。

そばにいたウィザードを除いて、他の人の様子が分からない。


「なあ、どうして俺が人助けをしているのか分かるか?」


「分からないです…!師匠、逃げましょう!」

2人で炎を出したり、周りの木を倒してドラゴンに攻撃するが、ノーダメージのようだ。


「俺は昔、クズだった。貧しくてな、盗みでもなんでもしたよ。」


「師匠!」


「でもある日、俺は『魔法』が使えるようになった。強くなったんだ。」


「ドラゴンに全然効いてないじゃないですか…ただの手品だし。」


「おれは、強いから人を助ける。"#$%&#$%&"」


「師匠?なんて…」


その瞬間。


虹色の光とともにドラゴンが爆発した。


いままでに教わったどの手品でもない。いや、教わったから分かる。


これは、本物の『魔法』だ。人間の力を超えたナニカ。


「師匠、すごいです!――師匠…?」


爆風で砂が巻き上げられ、何も見えなくなり、砂が落ち着いた頃には。

周辺の木々も消え去り、更地となった場所には馬車も、他の仲間も、ドラゴンも


―――師匠もいなかった。


◆◆◆


ふらふらと街に帰ると、街の人達は1人残った私を手厚くもてなしてくれた。

「本当に助かったよ。ありがとう。」


「あれはなんだったんだい?すごい光だった。」


ほとんどうわごとのように私はつぶやく。

「師匠が、1人で、魔法で。本物の、魔法で。」

「魔法…すごいな、あのドラゴンを一人でやっつけるなんて…」


誰かが言う。

「ウィザードは英雄だ!」


その街にはウィザードの記念碑が建てられ、伝説は各地に広がった。

長い間人助けをし続けてきたから逸話たちが誇張されながら浸透していく。


心優しい大魔法使いとその仲間たち、として。


師匠にふさわしい称号だと思う。

ドラゴンに放った一撃は紛れもなく本物の魔法だったし、人のことばかり考える人だったから。


魔法を教えてほしいと言った私に手品を教えたのはきっと優しさ。


きっと魔法は師匠にしか使えなかったんだろうけど、私に人助けをする喜びを教えるために。

ドラゴンを自分ごと消し去ったのは、街を、いや。世界を守るため。


あの時、他の仲間達はすでに息絶えていた。一発目の攻撃で。

今思い出せば、あの馬車の壊れ方で人が生きられるはずない。


たまたま一番うしろに乗っていた私達以外。


『絶対に死なない』という私を信じて、魔法を使った。


師匠は全部を守りきったんだ。


もう泣かない。私は、師匠みたいに魔法は使えないけど、

師匠みたいに人を助けて生きていく。



伝説1つ目。


大魔法使いの仲間に銀髪銀目の少女がいた。彼女も魔法が使えるらしい。


お読み頂き、ありがとうございます。


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