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第四話 販促、ファトルキングロボ!

【登場人物とアイコンの対応】

 挿絵(By みてみん) レッド・ミート

 挿絵(By みてみん) ブルー・フィッシュ

 挿絵(By みてみん) カリー・イエロー

 挿絵(By みてみん) グリーン・ベジタボー

 挿絵(By みてみん) ピンク・スイーツ

【ナレーター】

 前回、戦闘メカ〈ファトルキング/オメガ〉が登場しなかったせいで、スポンサーがおかんむりなのだ!



 ズゴゴゴゴ……


 稲妻の閃光が空を切り裂く。

 熱く垂れ込めた黒い雲が二つに割れて、轟音と共に巨大戦艦〈ファトルキング〉が姿を現す。


 戦う化身のごときその姿は、見るもの全てを畏怖せしめ、神々しいまでの存在感を放っていた。


 オモチャが発売されたら、きっと欲しくなる――誰もがそう思わずにはいられないほどに、美しく、そして力強かった。



 〈ファトルキング〉の操縦室。

 デブレンジャーの五人が、ギュウギュウになって、それぞれの操縦席に座っている。


挿絵(By みてみん)「いやぁ、広いなぁ、この操縦室」


挿絵(By みてみん)「本当にな、むしろ広すぎるくらいだ」


挿絵(By みてみん)「こんなに広かったら、もうここで暮らせるなァ」


挿絵(By みてみん)「日当たりが最高だから、植物もぐんぐん生長しそうですね」


挿絵(By みてみん)「……う~そばっか」


挿絵(By みてみん)「黙れ、ピンク!」


挿絵(By みてみん)「だって、みんないつも操縦室が狭い狭いって、文句ばっかゆってんじゃん」


挿絵(By みてみん)「よせ! それ以上言うと、恐ろしいことが起きるぞ!」


挿絵(By みてみん)「恐ろしいことって、なに?」


 ミート・レッドが、ピンク・スイーツに顔を寄せ、こしょこしょと何やら囁く。


挿絵(By みてみん)「――広いよねぇ、この操縦室。あと、ぜんぜん臭くないし、もうサイコ~♥」


挿絵(By みてみん)「そうか、それは良かった。みんな、正直な感想をありがとう。そういえば、今度発売される〈ファトルキング/オメガ〉のオモチャも、操縦室までちゃんと再現しているんだ」


挿絵(By みてみん)「なにっ!? そんなに精密なのか!」


挿絵(By みてみん)「ああ、パネルラインまで細かくモールドされている」


挿絵(By みてみん)「わしの席の下に隠されている、レトルトカレーのストックも再現されているのか?」


挿絵(By みてみん)「もちろんだ!」


挿絵(By みてみん)「僕の席にはコケリウムが置かれているはず。僕はブルーと違って、植物そのものが好きなんです」


挿絵(By みてみん)「だったら、なぜ食べるんだよ」


挿絵(By みてみん)「植物を愛でるのと植物を食べるのが好きなのとは、両立できるんですよ?」


挿絵(By みてみん)「偽善者め。少年だからと言って、法に守られてばかりだと思うなよ?」


挿絵(By みてみん)「ストップ! ブルー、そこまでだ。喧嘩はよせ。今日は重要な回なんだ」


挿絵(By みてみん)「というと?」


挿絵(By みてみん)「この番組が終わるかどうかの瀬戸際なんだよ!」


挿絵(By みてみん)「レッド、落ち着け。そんなこと、ぶっちゃけちまったらヤバイだろう」


挿絵(By みてみん)「す、済まない……つい取り乱してしまった。ふっ……これじゃリーダー失格だな」


挿絵(By みてみん)「リーダー失格か! なら次のリーダーは俺だな」


挿絵(By みてみん)「まぁ、冗談はさておいて――今回の放送では、このファトルキングがいかにカッコイイかということを、ちびっ子のみんなに知ってもらおうと思うんだ」


挿絵(By みてみん)「なぁ、俺は副リーダーだよな? な?」


挿絵(By みてみん)「るっさい! えぇと……操縦室が広いってことはもう言ったかな。この操縦室、ぱっと見だと、どっかの会議室にそれっぽい机やら椅子やらを置いて、そこかしこにピカピカ光る電飾をくっつけただけのように見える。だがここは本当に、本物の操縦室なんだ」


挿絵(By みてみん)「レッドの言うとおりだ。このレバーだって、このボタンだって、ぜんぶちゃんと機能してるんだ。裏に配線してないなんてことは、全くないんだぞ? カレーだけは本当に常備してるけどな」


挿絵(By みてみん)「え~、ただいまの失言を陳謝いたします」


挿絵(By みてみん)「え……わし、何かマズイこと言った?」



 画面一杯に映し出される、〈しばらくお待ちください〉の手書きフリップ。

 背景音として、落ち着いたピアノ曲がうっすらと流れている。



 画面が戻ると、カリー・イエローの体型が変わっていた。



【ナレーター】

 説明しよう!

 カリー・イエローは、自由自在に体型を変えられるのだ!



挿絵(By みてみん)「レッド、操縦室のことばかりじゃなくて、外見についてもアピールしたほうがいいと思うが?」


挿絵(By みてみん)「ナイスだ、ブルー! さすがは副リーダー、冴えてるな」


挿絵(By みてみん)「ふっ……あまり褒めるなよ」


挿絵(By みてみん)「では、ファトルキングの外見について、僕の方から説明させていただきます」


挿絵(By みてみん)「えっ……グリーン、いたんだ?」


挿絵(By みてみん)「……えぇと、ファトルキングは全長550メートル、重さは不定――これは、構造の一部を亜空間に置いているためで、その時その時によって、質量が変化することを意味しています。主要な武装は、上部ターレットに配備された〈デブバスター・キャノン〉、これはいわゆる“高エネルギー脂肪熱変換砲”でして、体脂肪から直接生成される高密度カロリー粒子を収束・射出するという、まさにデブレンジャーならではの武装と言えるでしょう。また、脚部に搭載された〈グラヴィティ・プレッシャー・フィート〉は、局所的に重力場を強化することで踏みつけ攻撃の威力を十倍以上に引き上げる構造で、これはいわゆる“質量反転カタパルト”理論の応用にあたります。え、わかりづらい? でも大丈夫です、僕もよくわかってません。さらに、コックピット内の操縦系は古典的な物理式スティックとH.A.L.F.(High Adipose Linkage Feedback)型ニューロフィードバック装置のハイブリッドで、操縦者の体脂肪率の変動に応じてレスポンスが変化します。これにより、“太っていれば太っているほど強い”という画期的な性能が実現されています。変形シークエンスについてですが、これは非常に重要なので端的に説明しますと――」



 再度、〈しばらくお待ちください〉の表示。

 背景音として、毒にも薬にもならないようなピアノ曲が、うっすらと流れている。



 画面が戻ると、グリーン・ベジタボーの席に、ブロッコリーを山盛りにした(かご)が置かれていた。



【ナレーター】

 説明しよう!

 ブロッコリーは、茎もおいしいのだ!



挿絵(By みてみん)「グリーンが言いたかったことは、ファトルキングはメチャクチャかっこいい! ってことなんだ」


挿絵(By みてみん)「そうそう、戦艦形態の〈ファトルキング〉からロボ形態の〈ファトルキング・オメガ〉への変形プロセスもよく練られていて、オモチャでも変形の仕方はそっくりそのまま再現できる。さらに塗装だって、ピカピカの通常バージョンだけじゃなくて、ウェザリング(汚し)を施した限定バージョンだって発売されるんだぞ」


挿絵(By みてみん)「わぁ……すごいねぇ……(棒)」


挿絵(By みてみん)「そうだ! すごいんだ! そして、ファトルキングロボの予約日は刻一刻と迫っている! キミも、ファトルキングロボを手に入れて、悪い宇宙人を全滅させよう!」

 ビシィッ!


 一同「おぅ!」



【ナレーター】

 今すぐ予約に走るのだ!



 〈つづく〉

【次回予告】


 やぁ、僕はグリーンベジタボー。

 菜食主義者なんだ。

 つまり、野菜しか食べないってこと。

 だからカロリーを溜め込むのがすごく大変。


 ああ、この傷?

 さっき、ちょっと階段で転んじゃってね……はは。


 それより、僕はメンバーの中では最年少なんだけど、頭は一番良いんだ。

 それをやっかむ奴もいる。

 ていうか、全員だろうな。

 年下なのに賢いっていうのが気に入らないんだろうね。


 気に入らないから、「陰キャ」だとか「影が薄い」だとか、その他にも「草喰い」「胃が四つ」「反芻(はんすう)太郎」「ゲボくん」「ハゲ」等々の程度が低い悪口を言うんだ。

 全く以て非生産的かつ愚かな行為だよ。


 まぁ、そうは言っても悪口を言われるのは嫌な気分だよ。

 とくに、ピンクからのあたりがキツいような気がする。

 もしかして、僕に気があるのかな?


 たとえそうだとしても、あんなオバサン、こっちから願い下げだけどね。


 さて、次回の予告だ。


 あぁそうか……前回、スポンサーを怒らせちゃったんだ。

 だから、次回があるかどうかわからない。


 僕のせいじゃないとおもうけど……ブルーかな、いちばん悪いのは。

 メカが出る前に敵を倒しちゃったからね。あと魚臭い。


 そんなわけで、次回も逢えることを心から願っているよ。


 チェンジ、ファトル、オン。


 じゃぁね!

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