【オマケ3】デブレンジャーの謎:運命のラード容器編
※以下の文章には盛大なネタバレがあるので、ご注意ください。
■三人の「羅亜怒」について■
この項目では話をわかりやすくするため、登場する羅亜怒を三つに分けて呼びます。
【少年レッド】……空腹で倒れていた、子どもの頃の羅亜怒
【現役レッド】……本編でデブレンジャーとして活躍しているレッド・ミート
【ブラック】……物語の中盤から登場する、中年になった未来の羅亜怒
この三人のあいだで、一つのラード容器が時間をまたいで行ったり来たりしています。
■運命のラード容器■
第十一話で起きた不思議な出来事。
最初は【現役レッド】から差し出されたラードを拒否した【ブラック】が、容器をまじまじと見つめたあと、突然心変わりして飲み干しました。
■少年レッドとラード■
話は二十年前にさかのぼります。
育ての親を亡くし、一人になった【少年レッド】は、空腹を抱えながら街をさまよっていました。
ついに力尽きて道端に倒れ、「ああ、オレはもうすぐ死ぬんだ……」などとぼんやり考えていたところへ、見知らぬ男が現れます。
「これを飲め」
差し出されたのは、ラードの入ったポリエチレン容器。
【少年レッド】はそれをむさぼるように飲み干し、命を救われました。
礼を言おうとして顔を上げた時、男の姿はもうありません。
手には空の容器だけが残されていました。
■刻印された年号■
ふと容器を見ると、底に製造年が刻印されています。
それは、何年も先の年号でした。
【少年レッド】は「製造会社の印刷ミスだろう……」と考え、その疑問はそれっきり。
ただ容器だけは、きれいに洗ってからラードを詰め直し、「また空腹で倒れた時のためのお守り」として常に携えていました。
この「未来の年号が刻印されたラード容器」は、その後も【現役レッド】の腰に下がり続けることになります。
■第十一話で起きていたこと■
時は流れて本編、第十一話「爆食、バイキング・ヘル将軍の罠!」。
激戦のさなか、【現役レッド】はいつものラード容器を【ブラック】に投げ渡します。
最初は「そんな下品なものが飲めるか!」と拒否した【ブラック】ですが――そこで容器の底に刻まれた製造年が目に入りました。
二十年も経つと、記憶は曖昧になります。
まして車田流の拳法を会得した羅亜怒=【ブラック】にとって、「都合の悪いことは忘れる」のは日常です。
それでも、未来の年号が刻まれた“あのラード容器”を見た瞬間、記憶が一気によみがえりました。
――空腹で倒れていた【少年レッド】を救ったのは、自分(=未来の羅亜怒)だった。
時間の輪の中にいる【ブラック】は、〈過去の自分がそうした通りの行動を取らねばならない〉と判断します。
だからこそ、いったんは拒絶したラードを、あらためて一気飲みしたのです。
その結果が、例のラドチュッチュにつながった、というわけなのです。
――ただのポリエチレン容器に見えて、実は三人の羅亜怒をつなぐ「時間ループの鍵」だった、というお話でした。
〈つづく〉




