第二十五話 さらば、デブレンジャーよ永遠なれ!
ベトリアン女王が操る巨大ロボ(ニュー・ファトルキングのロボ形態)が、新宿の高層ビル街で暴れている。
【ナレーター】
説明しよう!
最終回なので、心置きなく街のミニチュアセットを壊しまくれるのだ!
逃げ惑う人々。
道の段差につまづいて、転んでしまう子供。
その頭上に、巨大ロボの足が踏み下ろされようとしていた――
ファトルキング・オメガの巨大なこぶしが、敵ロボの頭部に命中!
敵が体勢を崩した隙に、子供は難を逃れた。
「おのれ……どこまでも私の邪魔をする気か、デブレンジャー!」
ロボのスピーカーから、ベトリアン女王の声が大音量で流れる。
「貴様らの野望は、我々が打ち砕く――喰らえ、ファトル・キック!」
遠目にはスローモーに見える、巨大ロボの蹴り。
しかしそれは、スケールが大きいための錯覚だ。
【ナレーター】
説明しよう!
例えば、キックのスピードを時速百キロメートルとした場合、ロボの足が百メートル進むには三秒以上かかる計算になるのだ!
新宿の高層ビル街に、巨大質量がぶつかり合う轟音と衝撃がまき散らされる!
ドツキ合いの応酬!
――だが、次第にデブレンジャー側の空振りが増えてゆく。
「おい、押されてるぞ……どうにかなんねぇのか、この反応の悪さ!」
思考波による直接コントロールに切り替わると、ファトルキング・オメガの攻撃スピードが上がった。
再び、敵を追い詰めてゆくデブレンジャー。
「……これまでのデータから鑑みるに、大爆発の可能性はほぼ百パーセントです」
「ブルー、レッドの言うとおりだよ。ここで敵が爆発すれば、大勢の人が犠牲になる」
◇
戦いの舞台がいつもの採石場に移ると、形勢は再び逆転した。
敵をムリヤリ移動させたことで、デブレンジャーの操る〈ファトルキング・カカオ〉の燃料――すなわち、大量に買い付けてあったチョコレートが尽きかけているのだ!
「だから言ったじゃねぇか、あのとき倒しておけばよかったって!」
「敵が大爆発していれば、大勢の人の命が失われていたんだぞ!」
「このまま俺たちが負けたら、新宿どころか地球が乗っ取られちまうんだよ!」
「どうやって? ロボの燃料だって残り少ないんだ! おまけに俺たちの体脂肪だって、もうすぐ燃え尽きちまう!」
「よかったじゃないですか。エネルギー補給だって、楽しくできたほうがいいに決まってます」
シュゥゥゥン……
操縦席の明かりが非常灯に切り替わる。
そう言って、イエローは胸のエンブレムにそっと手を当てた。
「あいつは今も、オレたちと一緒に戦ってくれてるのかもしれないな」
一同「おう!」
全員がいっせいに、胸のエンブレムに手を伸ばす。
地方の採石場が、まばゆい光に包まれた――
◇
【ナレーター】
デブレンジャーの活躍によって、ベトリアン女王の野望は打ち砕かれた。
だが、地球を狙う悪の芽は潰えていなかった――
「うわははは! 地球人よ、我ら〈銀河飢餓連盟カロリクター〉の前に跪くのだ!」
「待て!」
「なんだと……貴様ら何者だ」
ビシィッ!
シュバッ!
キュピーン!
ザシュッ!
きら~ん!
一同「デブレンジャー!!」
〈つづく〉
【次回予告】
やぁ、みんな。
レッド・ミートだ
意外に長続きしてしまったこの物語も、ひとまずの区切りとなった。
思えば、いろいろなことがあった——
はじめの頃はメンバー同士の関係がギクシャクしがちで、リーダーのオレがいなかったら、チームは空中分解してしまっていただろう。
スポンサーを怒らせてしまったことも、今となってはいい思い出だ。
ブルーが全面的に悪かったわけだが、とらやの羊羹を持って謝罪行脚をしたのはリーダーであるオレだった。
イエローについては残念な気持ちで一杯だ。これは、他のメンバーも同じだと思う。
ブラックは未だ謎だらけの存在だ。どうやらオレと無関係ではないらしいが、車の趣味は良いセンスをしている。
タイアップで箱根温泉にも行ったな。
あの時に使った〈押しくらアタック〉は、危険過ぎるので封印してしまった。
敵の正体が判明してからは、怒濤の展開だった。
新イエローの加入と裏切り、そして火星での戦い——
火星はいま、平和を取り戻している。
中華料理屋のオヤジも健在で、たまに戦いの後なんかに皆で飯を食べに行ったりしている。
どうしても代金を受け取ってくれないのが心苦しい。
あぁ……つい、長々と話してしまった。
次回はついに最終回。
楽しみに待っていてくれ!
チェィンジ・ファトル――オォン!!




