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まんぷく戦隊 デブレンジャー  作者: ものうちしのぎ


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第二十一話 衝撃、火星の町中華!

【登場人物とアイコンの対応】

 挿絵(By みてみん) レッド・ミート

 挿絵(By みてみん) ブルー・フィッシュ

 挿絵(By みてみん) イエロー・レモン

 挿絵(By みてみん) グリーン・ベジタボー

 挿絵(By みてみん) ピンク・スイーツ

 挿絵(By みてみん) 嵐山長官

 挿絵(By みてみん) ブラック・ノワール

挿絵(By みてみん)「――ねぇ、もう帰ろうよ」


挿絵(By みてみん)「火星に降りてから、まだ一時間も経ってないじゃないか」


挿絵(By みてみん)「だって、何もないんだもん」


挿絵(By みてみん)「めちゃくちゃ見るべきものがあるじゃないですか! だって火星ですよ、火星!」


挿絵(By みてみん)「岩と砂ばっかだし!」


挿絵(By みてみん)「そんなことありません! まずはオリュンポス山――もはや、山というより大陸です! こんなに大きな山、地球にありますか?」


挿絵(By みてみん)「山じゃん、ただの」


挿絵(By みてみん)「では、マリネリス峡谷はどうですか! 全長四千キロメートル! 深さ七千メートル! この超巨大な谷間の地下には、古代火星文明の遺跡が眠っているという説があるんですよ?」


挿絵(By みてみん)「ただの谷だし」


挿絵(By みてみん)「じゃあ、とっておきの場所を紹介しましょう! シドニアの顔、これ! ピンクだって、一度くらいは見たり聞いたりしたことがあるでしょう」


挿絵(By みてみん)「……顔みたいな岩だっけ?」


挿絵(By みてみん)「そうですよ! その実物がここにあるんです! 興奮しませんか?」


挿絵(By みてみん)「岩なんてつまんな~い」


挿絵(By みてみん)「はぁ……どうしてわかってもらえないんだろう……せっかく火星に降りたったのに、何もせずに帰ろうとするなんて……僕には信じられません」


挿絵(By みてみん)「だが、退屈なのは事実だしな。俺がおごってやるから、地球に帰って寿司でも食おうぜ」


挿絵(By みてみん)「そんな……ブルーまで! レッドはわかってくれますよね、火星のロマンが!」


挿絵(By みてみん)「わからんでもないがな……火星の地を踏んだのは、なにげに人類初だし。学術的には凄いことだってのも理解はできるが――」


挿絵(By みてみん)「あれっ?」


挿絵(By みてみん)「どうした、イエロー」


挿絵(By みてみん)「あそこにホラ、ラーメン屋さんが」


挿絵(By みてみん)「ラーメン屋だと……ここは火星だぞ? 冗談はグリーンの顔だけに――」


 絶句したブルーが指差す方を見ると、確かにラーメン屋らしき建物が見える。


挿絵(By みてみん)「なんだ、あれは……」


挿絵(By みてみん)「ラーメン屋さんでしょ?」


挿絵(By みてみん)「そのように見えますが……ここは火星ですよ?」


挿絵(By みてみん)「あるんだからしょーがないじゃん! 面白そうだから行ってみようよ」


挿絵(By みてみん)「お、おい……ピンク、待て!」


 ラーメン屋らしき建物に向かって走り出すピンク。

 慌てて後を追うレッド。

 それに続く残りの仲間たち。


挿絵(By みてみん)「こんちは~っ!」


 ガラッ


 引き戸を開けると、そこはラーメン屋というよりも町中華の雰囲気だった。

 客はいない。


 カウンターに座っていた白衣の男が、読んでいた新聞から顔を上げる。


「……らっしゃい」


挿絵(By みてみん)「あの……ここは……」


「お好きな席へどうぞ……」


挿絵(By みてみん)「お座敷がある! あそこにしようよ」


 ピンクが小上がりに腰掛け、ブーツを脱ぎ始める。


挿絵(By みてみん)「こういう小汚ぇ店が、意外と旨いんだよな。俺、海鮮定食ね……イエローは?」


挿絵(By みてみん)「なるべくハイカロリーなメニューがいいな」


挿絵(By みてみん)「なら油そばに唐揚げ、チキン南蛮ってとこだろう」


挿絵(By みてみん)「じゃぁ、それで」


挿絵(By みてみん)「僕はタンメンと野菜餃子をお願いします」


挿絵(By みてみん)「アタシは杏仁豆腐と揚げ餅、この冰粉(ビンフェン)てゆーのも美味しそうだから、それも頼んじゃお」


挿絵(By みてみん)「……みんな、普通にくつろいでるが、火星にラーメン屋なんておかしいとは思わないのか?」


挿絵(By みてみん)「思うけど、あるんだからしょーがないじゃん」


挿絵(By みてみん)「昔話だと、狸か狐に化かされてるってところか」


挿絵(By みてみん)「いちおう店とその周辺をスキャンしました。周囲は謎の力場に包まれていて、地球と同じ環境が保たれているようです」


挿絵(By みてみん)「レッドは注文しないの?」


挿絵(By みてみん)「……ネギラーメン・チャーシュー大盛り、炒飯、ニンニク餃子、レバニラ炒め、エビチリ、青椒肉絲……とりあえず、こんなところか」


挿絵(By みてみん)「あやしいとか言いながら、いちばん頼んでるじゃねぇか」


挿絵(By みてみん)「皆でつまもうと思ってな」


挿絵(By みてみん)「へぇ……レッドは、メンバーの事までちゃんと考えてるんだね」


挿絵(By みてみん)「リーダーだから当然だ」


「……へぃ、お待ちどう」


 店主が、できあがった料理を次々と運んでくる。

 たちまちテーブルの上は湯気の立つ料理で埋め尽くされる。


挿絵(By みてみん)「ずいぶん早いな」


「……早くて文句言われる筋合いはないね」


 ぶすっとした顔でカウンターに戻ったオヤジが、バサリと新聞を広げる。


挿絵(By みてみん)「おっ、こりゃうめぇ……俺の勘が当たったみてぇだな」


挿絵(By みてみん)「この餃子……キャベツとニンニクだけなのに、味わい深い……素材がいいんでしょうね」


挿絵(By みてみん)「この杏仁豆腐、牛乳プリンじゃなくて本物だ!」


挿絵(By みてみん)「確かに味はいいが……なぜ火星にこんな店があるんだ……」


挿絵(By みてみん)「不思議だよねぇ」

 イエローが唐揚げの皿にのっていたレモンを手に取る――


挿絵(By みてみん)「待て!」


 ブルーが、イエローの手をガシッと掴んだ。


挿絵(By みてみん)「あ、レモンかけないほうが良かった?」


挿絵(By みてみん)「いや、盛大にかけてくれ」

 ニヤリと笑うブルー。


挿絵(By みてみん)「オッケー!」

 ぱっと笑顔になるイエロー。


挿絵(By みてみん)「ブルー、いつまで女性の手を掴んでいるんですか。セクハラになりますよ?」


挿絵(By みてみん)「置きゃがれ!」



 何度か追加注文をくり返し、デブレンジャーたちの体脂肪も溜まってきた頃――


「お客さんたち、デブレンジャーだろ?」

 いつの間にかそばに来ていた店主が、ぼそりと言う。


 サッと身構える一同。

 しばしの沈黙。


 両者の間に立ちこめる緊張感。


挿絵(By みてみん)「……貴様、何者だ」


「何者だと言われてもね……ただの中華料理屋の店主だよ」

 頭をかきながら、店主が答える。


挿絵(By みてみん)「なぜ、オレたちがデブレンジャーだと知っている?」


「それは……」


 店主が答えようとした、その時――


 ガシャン!


 入口のガラス戸を打ち破って、武装した男たちが突入してきた。

 その数、ざっと二十人ほど。


「〈ベトリアン派〉だ!」

 カウンターの影に慌てて身を隠す店主。


挿絵(By みてみん)「なんなの、その何とか派って?」


挿絵(By みてみん)「話は後だ――グリル・パンチ!」


 灼熱したレッドの拳が、襲いかかってきた敵の腹にめり込む。

 声を上げる間もなく、ドサリと床に倒れる敵。


挿絵(By みてみん)「尾びれキック・ダァッシュ!」


 強烈なブルーの蹴り!

 三人ほどの敵がまとめて吹っ飛ばされ、壁にめり込む。


挿絵(By みてみん)「端末アタック!」


 左腕に装着した巨大な端末で、敵の顔面をしこたま殴りつけるグリーン。

 メキョッ!

 端末の角が敵の頭蓋骨を陥没させる。


挿絵(By みてみん)「甘食地獄! あ~んど、蜂蜜地獄!」


 甘食を敵の口にねじ込むと同時に、粘度の高い蜂蜜を鼻の穴に流し込む。

 敵は息ができず、苦しみ抜いて死ぬ。


挿絵(By みてみん)「ファトラス、来て!」


 イエローが、左腕のファット・ウォッチに呼びかける。


挿絵(By みてみん)「もうすぐファトラスが来るから、それまでみんな持ちこたえて――」


 イエローが顔を上げたときには、既に戦闘は終わっていた。

 メチャクチャになった店内のそこかしこに、倒れた敵が転がっている。


 カウンターからそ~っと顔だけ出した店主がその惨状を見、

「す、すごい……これなら〈ベトリアン派〉に勝てるぞ」


 ゴゴゴゴゴ……


 割れた窓ガラスの向こうに、ニュー・ファトルキングが姿を現した。



【ナレーター】

 なぜか火星にあった町中華!

 ブルーの予想通り、汚い店はけっこう旨い!


 そして、突如として襲いかかってきた敵の正体は!?


 たたかえ、デブレンジャー!

 負けるな、デブレンジャー!


 納豆炒飯は、試してみる価値があるぞ!



 〈つづく〉

【次回予告】


 やぁ、グリーン・ベジタボーだ。


 今回は、いわゆる町中華的なお店が舞台だった。

 中華料理ってひとくちに言うけど、地方によって特色があるんだよね。


 北京、上海、四川、広東あたりが、よく知られている。


 中華は脂っこかったり、辛かったりするイメージもあるけど、野菜たっぷりなメニューもたくさんあって、僕にも食べられる料理が多いんだ。


 このところの僕は、ちょっと考えがかわってきていて、肉そのものはともかく、そのエキス――つまり出汁の形でなら、それほど抵抗なく肉や魚を受け入れることができるようになってきた。


 以前、ピンクから"ミドリムシ"って悪口を言われたことがあったけど、あれがきっかけになって、いろいろと考えるようになったんだよね。


 人生、何があるかわからない。

 僕が野菜以外のものを食べられる日が来るなんてね。


 さて、物語もいよいよ佳境に入ってきたみたいだ。


 次回は敵の正体が判明するかも知れないので、お楽しみに!


 チェンジ、ファトル、オン。

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