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まんぷく戦隊 デブレンジャー  作者: ものうちしのぎ


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第十二話 激白、レッド・ミート!

【登場人物とアイコンの対応】

 挿絵(By みてみん) レッド・ミート

 挿絵(By みてみん) ブルー・フィッシュ

 挿絵(By みてみん) グリーン・ベジタボー

 挿絵(By みてみん) ピンク・スイーツ

 挿絵(By みてみん) 嵐山長官

 挿絵(By みてみん) ブラック・ノワール

「どーだ、どーだ、どーーだぁ! 俺さまのこのスピード、デブには付いて来れまい!」


 超高速の反復横跳びのような動きをくり返しながら、敵の侵略者〈ゼロカロ・スリム〉がデブレンジャーを挑発する。


挿絵(By みてみん)「そこだぁッ!」


 気合いと共に斬鱗剣(ざんりんけん)を振り下ろすブルー。

 しかし、剣は空を切る。


「ふははは! そんなスローな技など喰らうものか!」


挿絵(By みてみん)「まずいぞ……さっきから、オレたちの攻撃が一度も当たっていない」


挿絵(By みてみん)「だけど、あいつからの攻撃も受けてないよ?」


挿絵(By みてみん)「持久戦になったら、こちらが不利です」


挿絵(By みてみん)「なんでよ?」


挿絵(By みてみん)「ピンク、我々の活動時間が短いことを忘れたか」


挿絵(By みてみん)「……あっ、そうか!」



【ナレーター】

 説明しよう!

 ファトルスーツのエネルギーは着用者の体脂肪量に比例する。

 デブレンジャーの平均活動時間はおよそ五分しかないのだ!



挿絵(By みてみん)「ブラック、このまま手をこまねいていては、我々は敗北してしまいます」


挿絵(By みてみん)「……足を使え」

 キッチンカーのそばでワインを楽しんでいたブラックが、面倒くさそうに答える。


挿絵(By みてみん)「足……それはどういう意味ですか」


挿絵(By みてみん)「口答えするな! 私が足を使えと言ったなら、その通りに動くんだ」


挿絵(By みてみん)「足技なら俺に任せておけ! 尾びれキックで仕留めてやるぜ――尾びれキィック!」


 すかっ。

 当たらない!


挿絵(By みてみん)「どういうことだよ! 足を使うんじゃねぇのか、フランス野郎!」


挿絵(By みてみん)「……ひょっとして、ブラックはフットワークを使えと言っているんじゃ――」


挿絵(By みてみん)「馬鹿な! デブに動き回れと言うのか! ただでさえ、膝に爆弾を抱えているんだ。スピードを武器にしている〈ゼロカロ・スリム〉に敵うわけがない!」


挿絵(By みてみん)「試しに、やってみてもいいんじゃね?」


 〈ゼロカロ・スリム〉の動きに合わせるように、ピンクが反復横跳びを始める。


挿絵(By みてみん)「あれっ……なにこれ、なにこれ! アタシ、けっこう動けんじゃん!」


「ま、まさか……そんな……デブが俺さまの動きに付いてこれるはずが――」


挿絵(By みてみん)「うわっ、た~のし~っ♥ みんなもやってみなよ」


挿絵(By みてみん)「バカバカしい……」


挿絵(By みてみん)「だが、ピンクが素早く動けているのも事実……オレたちもピンクに続くんだ」


挿絵(By みてみん)「了解!」


挿絵(By みてみん)「ちっ……仕方ねぇなぁ」


 ピンクに倣って、反復横跳びを始めるレッド、ブルー、グリーン。

 それを横目に、ブラックは空になったワイングラスに赤ワインを注いでいる。


挿絵(By みてみん)「これは……動ける、動けるぞ!」


挿絵(By みてみん)「足が軽い! なんてスピードだ……我ながら驚きだぜ!」


挿絵(By みてみん)「ファトルキングに搭載されている測定器によると、我々と〈ゼロカロ・スリム〉の速度はほぼ互角です!」


挿絵(By みてみん)「よし、敵の動きを止めるぞ! ピンク、グリーン、俺の合図で奴の進路に立ちはだかれ――いまだ!」


 レッド、ピンク、グリーンが〈ゼロカロ・スリム〉の手足をがっちりと押さえ込む。


「うぬっ……は、離せっ!」


 振りほどこうともがく〈ゼロカロ・スリム〉に向かって、ブルーが突進!


「尾びれェ……キィック!!!!」


 ブルーの強烈な尾びれキックが炸裂!


「な、なんで……デブが……」


 ばたっ。


 ゼロカロスリムが倒れた後も、デブレンジャーたちは呆然とその場に立ち尽くした。


挿絵(By みてみん)「オレたち、いったい――」


挿絵(By みてみん)「ああ、どういうことだ……これは」


挿絵(By みてみん)「ブラックなら、どうなってるか教えてくれるんじゃ――」


 ゴゴゴゴゴ……


 早くもキッチンモードから戦艦モードへとチェンジした〈ファトルキング〉が、空の向こうへと消えてゆく。


挿絵(By みてみん)「やはりな……まぁいい。毎度毎度、同じ手は食わねぇぜ」


挿絵(By みてみん)「ああ、今日はそれぞれのマシンに乗ってきたからな」


挿絵(By みてみん)「あっ……ない!」


挿絵(By みてみん)「どうした、ドーナツでもなくなったのか?」


挿絵(By みてみん)「ちげーよ、バカ! アタシたちのマシンがなくなってんの!」


挿絵(By みてみん)「なにっ!?」


 岩場の影に隠すように停めてあった、各自のマシンがこつぜんと姿を消していた。


挿絵(By みてみん)「ビーコンの表示は、全マシンがファトルキング内にあることを示しています」


挿絵(By みてみん)「あの野郎……嫌がらせにも程があるぜ! 今度という今度はかんべんならねぇ!」


挿絵(By みてみん)「……待て、ブルー」


挿絵(By みてみん)「あいつをかばう気か、レッド!」


挿絵(By みてみん)「いや……そういうわけじゃないが……何か引っかかる。どうしてブラックは、我々が素早く動けることを知っていたのだろうか……」


挿絵(By みてみん)「そーいえば、ブラックに言われて、はじめて気づいたんだよね」


挿絵(By みてみん)「ケッ……偶然だよ、偶然」


挿絵(By みてみん)「そうとも言い切れません」


挿絵(By みてみん)「どういうことだ、グリーン」


挿絵(By みてみん)「これを見てください」


 グリーンが、左腕に装着した大型端末のディスプレイを指差す。


挿絵(By みてみん)「そのグラフがどうしたってんだよ」


挿絵(By みてみん)「〈ファット・ウォッチ〉は、我々の行動を逐一記録しています……これが、ここしばらく、我々が歩いた距離と歩数――こっちが、我々の敏捷性の上昇カーブ……このふたつ、相関しているとは思いませんか?」


挿絵(By みてみん)「確かに……つまり、ブラックは意図的に我々を置いてけぼりにし、長距離を歩かせることによって敏捷性をアップさせたと……」


挿絵(By みてみん)「そうです、そうにちがいありません!」


挿絵(By みてみん)「んなわけあるかよ! あいつは単に意地悪でやってるに決まってんだ!」


挿絵(By みてみん)「だけど……ブラックはいまリーダーなんだから、トレーニングするように私たちに命令するだけでいいはずじゃん」


挿絵(By みてみん)「……言われたからといって、我々が素直にトレーニングをすると思うのか?」


挿絵(By みてみん)「僕はまぁ……するんじゃないかな、命令なら」


挿絵(By みてみん)「ブルーとピンクはどうだ?」


挿絵(By みてみん)「……しねぇな。トレーニングは嫌いだし、何よりあいつに命令されたら、なおさらやりたくねぇ」


挿絵(By みてみん)「アタシもパスするかな~」


挿絵(By みてみん)「そういうことだ。ブラックは我々の戦闘力を上げるために、あえて憎まれ役を買って出たんだよ」


挿絵(By みてみん)「んなわけあるかよ。さっきから何度も言ってるように、偶然だよ、偶然!」


挿絵(By みてみん)「しかし、我々の敏捷性がアップしたのは事実です。これは認めないといけないと思いますよ、ブルー」


挿絵(By みてみん)「ナマイキ言うんじゃねぇよ――尾びれキック!」


 しゅばっ!


挿絵(By みてみん)「……かわせた」


挿絵(By みてみん)「マグレだろ……尾びれキック!」


 しゅばっ!


挿絵(By みてみん)「尾びれキック!」


 しゅばっ!


 何度やっても、ブルーの尾びれキックはグリーンに当たらない。


挿絵(By みてみん)「ブルー、これでわかっただろう」


挿絵(By みてみん)「はぁっ、はぁっ……くそっ!」


挿絵(By みてみん)「だけど、今日も歩いて帰らなくちゃダメなんだよね?」


挿絵(By みてみん)「その通り」


挿絵(By みてみん)「はぁ~っ、やだなぁ……ねぇ、レッドォ――」


挿絵(By みてみん)「おんぶはしないからな!」


挿絵(By みてみん)「ちぇっ……」


挿絵(By みてみん)「おいっ、グズグズしてると置いてくぞ!」


 ブルーがさっさと歩き始める。


挿絵(By みてみん)「よほど、グリーンに負けたのが悔しかったんだな」


挿絵(By みてみん)「それだけじゃありません……彼はブラックに対しても、認識を改めたんだと思います」


挿絵(By みてみん)「ならいいがな……ピンク、行こう」


挿絵(By みてみん)「……帰ったら、スイーツビュッフェ連れてってよね」


挿絵(By みてみん)「わかった、わかった」



【ナレーター】

 意図してなのか、そうではないのか――

 とにかく、ブラックに置いてけぼりにされた効果で、デブレンジャーたちの素早さはアップした。


 果たして、ブラック・ノワールとは何者なのか!?

 謎に包まれた彼の正体が、次回ついに解き明かされる!



 〈つづく〉

【次回予告】


 やぁ、みんな。

 デブレンジャーの元リーダー、レッド・ミートだ。


 前回の予告で、オレの過去がわかるとか言っていたが、あれはウソだ。


 世の中には、そういうことはたくさんある。

 オモチャの発売日なんかも、ウソばっかりだ。


 とくに、海外物の予定日など全くあてにならない!

 そのくせ、金だけは先にしっかり取るんだから、たまったもんじゃない。


 いったい、誰がこんな世界にしたんだ!

 ――侵略宇宙人よりも恐ろしいのは、人間なのかもしれないな……。


 それでは次回、『驚愕、ブラックノワールの秘密!』


 来週もまた、観てくれよな!


 チェィンジ・ファトル――オォン!!

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