第一話 襲来、ゼロカロ・レディ!
【ナレーター】
説明しよう! 地球はいま、ゼロカロ・レディなる宇宙人によって侵略されつつあるのだ!
「ほ~っ、ほっ、ほっ、ほっ! 脂肪もカロリーも、全てをゼ~ロにしてやるわぁっ!」
爆発! 爆発! 大爆発!
〈ゼロカロ・ウェーブ〉が、地方の採石場に降り注ぐ!
直接当たると危ないが、当たらなくてもけっこう危ない!
ゼロカロ場のふしぎなちからによって、デブレンジャーたちの脂肪が、どんどん吸い取られてゆく!
「おい、魚をバカにするな! DHAが豊富で頭も良くなるんだぞ!」
「そんなことは言っていない。俺はただ、魚のうまさと栄養をだな――」
「でもおいしくないじゃん、さかなって? あと、さかなって生臭いし……ブルーもデオドランドしたほうがいいよ?」
「仲間割れしてる場合か! こうしている間にも、我々のエネルギー源である体脂肪がどんどん吸い取られているんだぞ!」
【ナレーター】
説明しよう!
デブレンジャーの〈ファトルスーツ〉は、着用している人間の体脂肪をエネルギーに変換するのだ!
「なぜだ! 一緒に戦ってきた仲間じゃないか! あれか、ピンクに言われたことを気にしてるのか?」
「気にするな、ブルー。カレーは全てを包み込んでくれる。魚臭いのだって、カレーにすればどうってことないぞ。わしが魚に合うスパイスを調合してやる」
「せっかくブルーが立ち直りかけてるんだから、まぜっかえすな!」
「なんなんだよ、おまえら! こっちは真面目に地球侵略してるんだ! 戦闘中におしゃべりするんじゃない!」
ゼロカロ・レディがイライラしている。
レッド・ミートが左腕のファット・ウォッチに向かって叫ぶ!
マイクの性能が良くないんじゃないかと思うくらいに、声がデカい。
空が急に曇ってきた。
ゴゴゴゴゴ……
雲が割れて、巨大戦艦が登場!
空を見上げて、あんぐりと口を開けるゼロカロ・レディ。
「な、なんだ……あれは……まるで巨大な戦艦じゃないか」
【ナレーター】
そう言ってるのだ!
ブルー・フィッシュの声だけが、心なしか元気がない。
地上に降りた巨大戦艦に乗り込むデブレンジャーたち。
全員が太っているので、操縦室はギュウギュウだ。
「ピンク、いくら存在感が薄いからって、グリーンの悪口はやめろ!」
レッド・ミートのかけ声で、デブレンジャーたちが揃ってポーズとかけ声。
ブルー・フィッシュとグリーン・ベジタボーの声が、心なしか元気がない。
「チェィンジ・ファトルキング――オメガ!」
巨大戦艦が、ロボ形態に変形!
ゴモモモ……
うなりを上げて落ちてくる、ロボの巨大な足。
「なにこれ~っ!」
ゼロカロ・レディは地面の染みになった。
【ナレーター】
デブレンジャーの活躍によって、地球の危機は救われた!
だが、宇宙人の侵略は止まらない!
たたかえ、デブレンジャー!
負けるな、デブレンジャー!
デブだけが頼りなのだ!
〈つづく〉
【次回予告】
やぁ、みんな。
デブレンジャーのリーダー、レッド・ミートだ。
肉はいいよな、肉はいい。
くり返したのは、肉の良さをみんなにわかってもらいたいからだ。
え、次回の予告?
そんなもん、わかるわけないだろ!
じゃぁ次回もまた、観てくれよな!
チェィンジ・ファトル――オォン!!