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05,  作者: しざーず
6/7

04, 沖縄旅行 前半

やってきました、沖縄県。

入学式の日よりも凄まじい日光が生徒達を照りつける。


「それにしても……」

「まさか05,のみなさんと旅行に来られるなんて…!」

「汗をかいたまつり君も素敵…!」

麗しゅう美男子五人組。

予定通り沖縄到着。

「先ほど朽様を見かけたわ!」

「あのクールさ、捨て難いわよ!」

あの朽を朽様だなんて、やっぱり待遇違いすぎ。


「まつり君、あの、よろしければ私と周りませんこと?」

(げ、誘われた…)

「大丈夫だよ、俺詳しいから任せて」

「頼もしいわ、まつり君…!」

人ってすごい。

思い込んだら、何でも出来てしまう。

自分が男だと思いこめば、"まつり君"が出来上がる。

「まつりだけずるいよ、僕も誘ってくれなきゃ!」

そう言ってやってきたのは純。

それでキャーキャー言う女子の気持ちは、"まつり君"にも"まつりちゃん"にも分かる日は来ない。

「純様も一緒に周って下さるのですか?」

一人の生徒が訊ねると、爽やかに笑って、

「僕も可愛い子達と一緒に周りたいんだよ」

と華麗に述べた。


「最初はどこに行くの?」

まつりが女の子に訊くと、女の子は照れながら、

「海へ行きたいんです」

と答えた。

さすがにこの四月の寒空の下、泳ぎはしないだろうけど。

「んじゃ、行こっか」

純が促すと、他の女の子達も足を進めた。




「万様はどんな方がお好みで?」

一匹狼の様な万に群がる小動物は十匹くらい。

「…そうだな…清楚でいて、それで少しわがまま位が理想だぜ」

(大人な意見…!)

勿論真剣に答えてはいるのだが、万が言うと二割増ナルシストの様になる。

それに対して何も思わない女子も、余程頭がハッピー状態なのだろう。嗚呼、平和。

「万様、サンパウロの丘行きましょうよ」

女生徒に連れられ、万はそこへ向かった。



湊と朽は、国際通りを散策していた。湊の周りには女の子がたくさんいるのだが、朽の周りには一人も女の子がいない。なぜなら、後ろでストーカーの様について来ているからだ。

「朽先輩、なんか買うんすか?」

きゃっきゃと湊の周りにいる女の子を、朽は心底目障りだと思っている。

「――別に目的はない、俺歩くの好きだし」

後ろの女の子もきゃっきゃ。

朽は心底うざったいと思っている。

歩くのが好きだと聞いて、女の子が妄想しないわけがない。校舎で共に散歩したりだとか、デートだとか。

月に一度、05,は女の子一人とデートをしなくてはならない。

校舎内といっても色々あるから、これも女の子たちの楽しみの一つ。

只、そのことを朽が知っていて、面倒だと思っているのも確か。

「健康的ですねえ」

「悪かったね、何か買うなら勝手に行けば?」

初めに比べ、朽の言葉に感情が出てきた。

今まで通り冷たいけど、まだ良くなった方。

「いや、俺先輩の事もっと知りたいんで。ねー!」

『はいっ』

湊が後ろにそう振れば、女の子たちも頷く。

はあ、と溜息と吐き、朽は先を急いだ。

(来なきゃよかったな)

後悔先に立たず。



「まつり君、みてください!綺麗な貝殻!」

「うわあ、本当だ」

日焼けが嫌なまつりは、営業していない海の家で休憩中。女の子はみんな、純と海を見たり、貝拾いをしている。

「海、きれいですね」

「うん。夏になったら、泳ぎにこようか」

「待ってます!」

(はあ…飽きた…)

そんな黒い想いを募らせていると、走って純がやってきた。

「はあ…っ、はあっ…、見てみてまつり!わかめ!」

「何でそんなの持ってくるんですか…!」

少し、可笑しくて笑ってしまった。

「笑うことないでしょー?わかめって可愛くない?」

「どこが…っ、ねえ、そう思わない?」

女の子に話しかけると、苦笑いで返される。

「うーん……私には難しくてよく…」

難しくて、という言葉を聞いた純が、得意気に話す。

「つるつるしてて、尚且つウェーブしてて、あとわかめって響き?」

「あははは!純先輩独特すぎっ…!」

本気で大笑いしてしまった。

「まつり君、本当楽しそうですわ」

「え、そうかな?」

「さっきからずっと、笑ってらっしゃいますよ」

微笑まれ、少し笑いを控えた。

ちょっと制限しないと、キャラが崩壊する。

「あれ、そろそろ集合時間だ」

純が腕時計を見ながらそう言った。

「そろそろ戻りましょっか、さあ、貴女も」

女の子の手を取り、まつりは華奢な体で歩き出した。

純も仕方なくわかめを置いて、他の女の子を呼びに行った。






「まつり、海はどうだった?」

帰るなり、湊が訊ねてきた。

「楽しかったよ、ちょっと焼けちゃったかなー…」

「ははっ、健康的!あ、そうそう、朽先輩歩くの好きなんだってさ」

他愛もない話をしながらホテルに着く。05,は別室だったが、部屋割が重要。

「じゃんけんにする?」

純が言うと、万が否定。

「部屋は三つある。まつりが一人の方がいいだろう」

あとは朽と万、純と湊のペアになった。





「親睦旅行って、三泊四日もあるのか…」

一人まつりが呟くと、無駄に広い部屋に響き渡る。

沖縄に来たことは何度もあるけれど、一人の夜は初めてだ。

ちょっと寂しい気もするが、しょうがない。自分が女であることに苛立ちを感じてしまった。


そろそろ夕食の時間だ。

部屋を出ようとすると、丁度いいタイミングでノック音。

扉をあけると、そこにいたのは意外にも朽だった。

「…万先輩が呼んで来いって。下の食堂で、女子とご飯だってさ」

(なんだ、それだけか)

何を期待したわけでもないが、的外れな感じがする。

「分かりました、行きましょう」

微笑むと、朽も少し照れ笑い。

それを不覚にも、可愛いと思ってしまったり。


一階のロビーを奥に進み、"銀縞高等学校様"と書かれた大広間に入る。

「広すぎないですか?」

「別に。一年全員と俺らと教員で丁度いいくらい」

大広間というより、巨大広間がふさわしい。

冗談抜きで広いし、明るさも半端ない。

よく見れば、もう万も湊も純も女の子達に囲まれ、食事を始めている様子。

「あ、まつり君!朽様!」

「…見つかっちゃったな」

朽がぼそりと呟いて、自らの足で女の子達の元へと歩いて行った。

(朽先輩が自ら……あ、歩くの好きなんだっけ)

そう気味悪く思っていると、まつりの元にも女の子が集まる。

「今日は沖縄の民族料理ですっ」

(可愛いなあ、女の子は)

自分は劣ってしまうけど。

と考えつつ、女の子に誘導され席に着く。

「美味しそう!早く食べよっか!」

「はいっ」

温泉に入って高級なベッドで眠る。こんな日の繰り返しが続く。

非日常的な05,でよかった。生徒だったらつまらなくて、途中で帰ったかもしれない。

「まつり君、明日も一緒に周りません?」

「あ、ずるいです!私も一緒に!」

「皆で周ろ?明日は純先輩と行動しないと思うし」

すっ、と口からでた言葉。

いつもなら、ちょっと考えてから言うのに。

「そうですわね」

慣れてきたな、非日常に。

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