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第2話 無事転生することができました

 浮遊感がなくなり、大地を踏み締める感触が足に伝わってくると目を開けた


 目の前には広大な大地が広がっており、少なくともここが日本ではないことが理解できた。


 崖の上から見下ろした光景はどこまでも森が広がっており、遠くには鳥のような飛行生物の姿が移るのだが、これだけ遠いにも関わらず姿をはっきり見える時点で地球上に存在している生物ではないだろう。


「どうやら、無事に転生できたようだな?」


 自分の身体をチェックしてみる。手や身体に変化はない。鏡がないので容姿までは分からないが、永遠の童貞である俺に希望はないので気にしないことにする。


「一見すると、ペナルティらしきものはないようだが……?」


 身体が極端に重かったり、呪いや病いに掛けられていたり、はたまた性別が逆転していたりなどということはなかった。


「本当にチートは貰えたのだろうか?」


 だとすると、そもそもの話、チート能力の方も嘘だった可能性がある。

 まずはその点について調べなければならないだろう。


 俺はそう考え意識を集中すると、頭の中に様々な情報が浮かんできた。


 これまでの人生で経験を積んできたかのように、勇者としての経験が、賢者としての魔法知識が、精霊使いとしての精霊との触れ合い方がわかった。


「良かった、どれもこれも強力な能力だぞ」


 文面に嘘がなかったことにホッとする。それと同時にペナルティが存在することもはっきりしたのだが……。


「まあ、そのうちわかるだろう」


 もしかすると、レベルアップや熟練度の上昇が一般人よりも百倍遅いとかの可能性もある。

 その場合の対策はウェブ小説の知識で得ているので問題ない。むしろ想定内だったことに喜ぶことになる。


「とりあえず今の内に色々試しておきたいところだな……」


 俺は右手を前に出すと思うがままに念じてみせた。


 すると、目の前に剣が浮かび上がる。綺麗な宝石が嵌め込まれた格好良い剣だ。


 目の前に伝説の勇者が扱っていたと言われる剣があり、俺は喉を鳴らすとその剣【ブレイブソード】を手に取った。


「凄いぞ! まるで重さを感じない!」


 持ってみると羽毛のように軽く簡単に振り回すことができた。


「説明によると、注ぎ込む体力によって切れ味が変化する。さらに、召喚時に効果を付与することができるんだっけ?」


 一度に付与できる属性は今のところ一つだけなのだが、これから先、成長することで二つ、三つ、四つと扱うことができるようになるようだ。


「取り敢えず、今回は敏捷度を上げる効果を付与したわけだが……」


 離れた場所に岩があったので斬ってみることにする。

 地を足で蹴ると岩に向かうのだが……。


 ーースパッーー


 一瞬、意識が追いつかず、気が付けば岩を通り越していた。

 夢中で振るった剣は岩を通り抜けており、刀身はキラキラと輝いている。


「まさか、こんな簡単に斬れるなんて……」


 岩がズズズと音を立て崩れる。

 斬れた断面は滑らかで、今の一振りで真っ二つにしてしまったことがわかった。


「勇者の力、やばすぎだろ……」


 流石は世界を救うことを運命づけられた職業だけある。転生直後からこの強さは反則と言える。


「問題は……はぁはぁ」


 岩を切るときに体力をごっそりと持っていかれた点についてだ。

 こめる力次第で何でも斬れる反面、利用には体力を消耗してしまうので使い方に気をつけなければならない。


「通常時の斬れ味で戦えば済むか?」


 強敵相手でない場合はそれで十分な気もするのだが……。


「ああでも、付与できる効果が割と沢山あるからな。これと組み合わせればいけるかも?」


 伊達に現代でウェブ小説を読み漁ってはいないのだ。

 俺は体力を回復させると、次の実験を行うことにした。




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