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 わー、さすが大きいな。


 


 目の前に大きくそびえる王城を見上げる。


 今日からわたしはこの王国の王城で働くことになっている。


 心配するお父様とバロンをなだめ、家族お揃いの銀髪をポニーテールに結い、気合十分でやってきた。


 紹介状を手に持ち、門番に声をかけると、案内の騎士さんが別でやってきた。


 まずは更衣室に案内され、メイドのユニフォームに着替えた。足首まである白いワンピースに、ワンピースより少し短い丈の濃い茶色のエプロンだ。いかにもメイドさん、というようなフリルの装飾ははなく、すごくシンプルな作りだ。腰回りからすこしふんわりとスカートが広がっているのがなんだかかわいい。




「それにしてもエバンズ様部屋担当になるのか…大変だな」




着替えが終わって、長い城を歩きながら案内役の騎士さんに同情的に言われた。




「ええと…どんな感じ、なんですか?」




「この前も、メイドがすぐに辞めていったな。その前のメイドは1週間、その前は4日、ここ1年間、ひと月もったメイドはいなかったな」



「あらまあ」



軽い噂話は聞いていたけどそれまでとは。




「いやでも、心配するな!?詳しくはわからないが、暴力とか、そういう傷を負わされるようなことはないらしいからな!」




騎士さんが慌ててフォローをする。




 わたしも暴力の噂は聞いたことがないな。


 フィンレー・エバンズ様は由緒正しい伯爵家の次男様。年齢は確か23歳で、わたしが17歳だから6個歳上の方。これは誰でも知っている彼のプロフィールで、それとは別で噂があって。


 わたしが聞いたことのある噂は、すごく禍々しいオーラを纏っていて、常に黒装束、お顔は真っ黒の髪でほとんど見えないというもの。そして陰湿で、一度の間違いをネチネチしつこく何度も掘り返されて耐えきれなくなる、気分を損ねたら呪われる、なんていうものもあった。


 そして何より1番多いのは、怖い、というもの。


 エバンズ様はこの国の数少ない魔法使いであり、研究を中心になさっているらしい。希少な魔法使いというだけで敬遠されやすいのに加え、よくわからない研究が、気味が悪い、怖い、と思われてしまうようで。


 王城の部屋付きメイドはわたしみたいな貴族令嬢がやることも多いから、メイド業に不慣れっていうことも原因にありそうだけど。


 色々とフォローしてくれている騎士さんに適当に返しつつ歩いていると、大きな木製の扉の前で立ち止まった。




「さ、ついたぞ。大変なこともあると思うが、頑張るんだ。また城の食堂とかで会えるといいな」




騎士さんにお礼を言って扉と向き合う。




 さあ、とうとうきたぞ、ここまで。色々と悪い噂も聞いたけど、本当でも本当じゃなくてもどっちでもいい。


 実は人が辞めやすいせいで給料はすごく高いし。どんな人であれ、高いお給料がもらえるうちは働き続けるのみ。最低でもバロンの学園卒業まではなんとかしないと!さあ行くよメイベル!!



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