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そんな話をしながら支度を終えると。
「お、噂をすれば」
「出掛けられるんですか」
その声にぎくりとする。
出てきたのはたった今話ししていたカイの妻・タチノだった。
「少しお待ち下さい」
そういって奥に引っ込んだかと思うと、包みを持ってきて二人にそれぞれ持たせる。
そういえば先程から良い匂いがしていたが、成る程これを作っていたのだなと得心した。
「ありがとう。助かるよ……そういえばトキは」
「今はぐっすりと。よく眠っておられます。とってもお利口さんなんですよ」
ふふふ、とタチノが悪戯に笑う。
今年の春に生まれたトキはあまり夜泣きをせず、よく笑う。子育てが初めてなタチノは大助かりだとよく言っていた。
「そうか、悪いな。少しの間出掛けてくるよ。行ってきます」
「後は頼んだぞ」
「はい、二人とも気をつけて行ってらっしゃい」
タチノが笑顔で見送ってくれた。




