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邪神と戦士 1
靄が立ち込める森の中にある小さな村。
陰気漂うその場所は活気が無い。行き交う人影は疎らで、皆鬱屈した面持ちで下を向いて歩いている。顔には怯えと疲労の色が滲んでいた。
この村がそこまで暗い影を落としているのには理由がある。
昔の先人達が持ち込んだ禍が原因だ。
***
この村はかつて実り豊かな自然に囲まれ人々も栄えていた。
ある日村の若い衆が少し遠くにあるの山の方まで遊びに出掛けた時の事。
そこで朽ち果てた廃村を見つけたのだ。
途中から酒が入っていた若い衆はつい気が大きくなって、そこら中の民家の中を物色して回った。
それは崩落しかけた神殿にも及んだ。
本殿の中で何かめぼしい物は無いかと彷徨いていると、台座に掲げられた赤い宝玉が目に入った。
宝玉は中心部分がどす黒く、崩壊しかけた壁や天井の隙間から差し込む日の光を受けて妖しく輝いている。その様は滴る血を思わせた。
これを見た彼等は欲に目が眩み、売って金にしようと企んで持ち去ってしまった。




