<番外編>とある研究員の記録(1)
前回のあらすじ(本編)
「なんか来た!」
実験体プロトタイプ"No.0"の観察記録…
個体名:仮称、プロトタイプNo.0
仮称とはいえ一々長ったらしい名称なので被検体ナンバーを文字って"レイ"とでも呼んでおく事にした。
この観察記録は所長の思い付きと気まぐれで作られた"生物兵器"、プロトタイプのレイを観察し記録した物と私個人の日記も兼ねて記録する事にした物である。
本来こういった事は余り許された事では無いが、この実験体レイは失敗する事を前提で作られたモノの、奇跡の連続と偶然の座物で一応は表面的に成功してしまったモノだとと記録しておく。
そもそもこの研究所の所長は美貌と知識を持った云わばバケモノのような存在だと私は思う。
神が居るか居ないかは分からないが、もし居るとするならば知識が有るだけでも相当だと言うのにあろう事か神は彼女に圧倒な美貌までも彼女に与えてしまうという大失敗を犯してしまった訳だ。
愚痴もソコソコにして、本題に入っておく。
ある日所長がルンルン気分で私の元へやって来ては蔓延の笑みでこの実験体を私に管理させるという旨を遠回しに言われた事がこの子との最初のきっかけである。
元々生物兵器の話は上がっていたが、所長はある日手に入ったであろう"材料"で閃いてしまったのだろう。
閃いたらすぐさま行動してしまうのは研究者の業とでも言うべきか所長はその材料ですぐさまレイを造り上げてしまったのだ。
困った物である…
更に困った事に所長は言わばマッドサイエンティストと言うモノを体現した様な女で、彼女に造られてしまったこの子には同情を抱かずには居られないのは未だ私の心が残っていたという証明なのだろうか…
私は一先ず生物兵器レイの現状を確認しておく事にした。
驚いた事にレイは、一目見て失敗作だということが分かってしまった…
意識が無いのである。
意識が無いのは生物兵器としては問題無いのだと思われるが、この実験体は動く事すら出来ないのである。
幸い生きてはいるので可能性はあると思われる。
何日かこの子の世話をする羽目になったのは大変であったが、この子が生きていてくれている事に喜んでいる自分がいるのは気の所為なのだろか…
数日がたった後ある日所長が私の元へやって来て「プロトタイプ(レイ)の調子はどうだ」と聞かれたので私は
「生きてはいますがとても生物兵器としては未だ活用不能と思われる」といった旨をレイが破棄されないように配慮しながら伝えると所長は生きているだけで動く事が出来ないのではどうしようも無いと思ったのか、この子への興味が彼女から離れた用に見えた。
彼女からこの子への意識が離れた事ではいい事ではあるが、失敗作として成功作との比較例として扱われる事になったのは目に見えて分かった。
レイが少しでも長く生きられるようになった事に安堵している事に気が付いたのは所長が私の元から去った数時間後である。
仮とは言え名前を付けたこの子に愛着を感じていたのだと内心驚いている私は、何を思ったのかレイの様子を確認する為に画面を覗くと、寝かせてあったレイの様子がおかしい事に私は気が付いたのである。
最初は気の所為かと思われたがあからさまに様子が可笑しいと感じたのは私がレイを写している画面に入り込まんと言う程食い付いていた数時間後の事であった。
よく見なければ分からないがレイの口が動いているのである!
残念な事に音声まで分からないのでそこら辺手抜きだと思われるが、口が動いているので何か呟いていると思われる事は容易に想像ができた。
何にせよレイが口から音声を発している所を確認した私は目から涙が溢れ出るばかりに感動していた事を記事しておく。
番外編だぜ!!