鶏から揚げの恐怖
昨日は3食すべて唐揚げ弁当だった。
しかも野菜は大根の壺漬けだけだ。
鶏の唐揚げ、大根の壺漬け、ごはん。3種類のものしか昨日は食べていない。
こういう日は私には普通によくある。
今朝は冷凍の竜田揚げを2つ、解凍してごはんに乗せて食べた。他にははわさびふりかけのみ。
さすがに野菜が欲しいなと、千切りキャベツをタッパーに大量に詰めて持って来て、今、唐揚げとそれと白飯で昼食を済ませたところだ。
一昨日は何を食べたっけな? と記憶を辿る。
そうだ、鶏の唐揚げだった。その前も、その前も。
その前がようやくスーパーで天ぷら盛り合わせを買って来て食べたのを思い出したが、ついでに鶏の唐揚げも買っていた。
鶏の唐揚げがそれほどまでに好きなわけではない。
好きっちゃー好きだが、どちらかというと色んなものを楽しみたいほうで、鶏の唐揚げは単に好きなもののひとつでしかない。はずだ。
これがカレーなら、9食も続けば、さすがに嫌になっているだろう。
ハンバーグとかでも、見た瞬間に頭に浮かぶ言葉は『またハンバーグかよ……』であるに違いない。
唐揚げはそれを思わせないのである。気づかせない、と言ったほうが正しいだろうか。
さりげない存在感で、白飯がいくら続いても『また白飯かよ』などとは思わぬように、『また唐揚げかよ』などとは思わせない。少なくとも、私にとっては。
なんだろう。メインディッシュというには存在感が重たくないのである。佃煮とか、ふりかけのように。あるいはスナック菓子に近いのかもしれない。
ご飯も食べられる。お酒も飲める。車を運転しながらそれだけをつまようじで口に運ぶのにも向いている。食事というよりはアイテムのような存在感なのだ、唐揚げというやつは。
今までの人生で1番多く食べたおかずは? と聞かれたら間違いなく私は自信をもって『鶏の唐揚げ』だと答えるだろう。
恐ろしいことである。
自分の身体はもはや鶏の唐揚げで出来ているのではないかとすら思えて来る。
『いつの間にか連続してる』
これが鶏唐揚げの恐怖である。
『気づかぬ間に入り込まれている』
まるで宇宙からやって来た寄生生命体のようである、鶏の唐揚げは。
恐ろしい。
今夜のおかずも鶏の唐揚げを予定している。