表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/7

貴婦人を描いた一枚の肖像画がある。



正面を向く女性の、上半身を描いた絵だ。白絹のベールを頭にかぶり、青いドレスを纏っている。ベールによって顔の右半分が隠されているが、彼女の手にある扇がベールをめくり、左半分をのぞかせる。


人物画を得意とした、ある老画家の手による作品だ。



透き通るような膚に、琥珀色の髪と瞳。頬はわずかに紅潮し、赤い唇には初々しい微笑みが浮かぶ。ベールの下で少し首を傾げながら、ためらいがちな視線をこちらに寄越している。美しいが愛らしくもある、そんな表情だ。どこか恥ずかしげに、鑑賞者へと微笑みかけている。


ベールによる顔の隠し加減が絶妙で、見えない部分がミステリアスな魅力となって人の心を惹きつけた。つまらないただの肖像画とは一線を画しており、構図を凝らした画家の勝利と言えた。


印象的な構図に、この上なく魅力的なモデルの表情。

誰しもこの絵の前では目を引き寄せられ、足を止めてしまう。


モデルとなった女性だが、実際の彼女の容貌も確かに麗しかった。それは彼女の他の肖像画が証明する。


しかし――この肖像画はこう呼ばれる。いや、この肖像画に限らず、歴史は彼女をこう名付けた。


『悲劇の王妃』。

または『不幸せなリディアーヌ』、あるいは『首なし王妃』。


描かれているリディアーヌ王妃は、ガリア国史上、最初で最後に首を刎ねられた王妃である。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ