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第九層 その4 〜従魔召喚〜

〈レベリングです!〉


 と宣言したアイカの作戦、もとい無意識下のスパルタ指導のもと私たちは第九層を高速で駆け回っていた。


「この先、オーク5体がいます」

「ああ、いるな」

「やっつけるよ」

「俺が先に仕掛ける」


 リオが瞬足を駆使して、目にも止まらない速さでオークの集団めがけて突撃する。そしてリオの攻撃に動揺したところに私とアイカが追い討ちをかける形で切り込む。何度もやってきた作戦でオークを次々に倒していく。倒し終わったら次のオークを探して移動する。

 それを繰り返す。


「それにしても、モンスターっていったいどこから湧いてくるんだろうね」

「天井とか地面からじゃないか?」

「それって突然上から降ってくるかもしれないってことじゃん! 怖いこと言わないで!」


 そんなやりとりをしながら駆けていると次のオークの集団を発見。

 即座に殲滅。

 まさにサーチ&デストロイといった感じでオーク狩りを続けていく。

 数十匹以上のオークを倒してきたが、モンスターがこの階層から居なくなる気配はない。


 倒した数がわからなくなってきたあたりでレベルが上がった。


《涼風遥香がレベルアップしました》


「やっぱりオークって経験値美味しいね!」


 ◇


 その後も私たちは第九層を駆けながら、出会ったオークを片っ端から倒していった。

 アイカのマッピングを駆使して、マップ全体をうめるように階層主も探しているが、そちらに関しては一向に出会わないまま、レベルだけが上がっていく。


(ダンジョンって階層によって広さが違うけど、この層はどれくらいの広さがあるのかな)


 そんな思案を続けながらも作業のようにオークをサーチ&デストロイ。

 そうしていると、この階層に来て3度目の世界の声が聞こえる。


《涼風遥香がレベルアップしました》

「レベルアップきた!」

《レベルアップにより、能力ギフト『肉体強化』がLv4になりました。続けて、『従魔召喚』Lv1を獲得しました》

「おお! 新しい能力(ギフト)じゃん!」


 これまでかなりの数のオークを倒してきたが、久々に新しい能力(ギフト)を覚えたのだった。遥香たちが今回のレベル上げで習得した能力(ギフト)は下記の通りである。


 遥香:肉体強化Lv4、魔を従える者Lv3、従魔召喚Lv1

 シェリオ:悪意感知Lv5、瞬足Lv3

 アイカ:解析Lv5


「従魔召喚か、なんか凄そうだね……」

〈ですね〉


 新しく獲得した能力(ギフト)、従魔召喚。


 魔獣とか使い魔を召喚して使役する能力なのかな。

 それともやっぱり私って魔王種だし、悪魔とか不死の軍勢とか禍々しいのが出てきちゃうのかな。


 そうしてアニメや漫画で見てきた召喚魔法をイメージしたところで、ふと不思議な力の存在に気づく。それは、とても遠いようでそれでいてとても近い、自分の中にあるようにすら感じる存在だった。


 ――あれ? なんか、この感じって知ってる――?


 もちろん召喚魔法なんて使った記憶はない。それどころか、この世界に来てすぐの頃に試した魔法はまるでダメだった。なのに、召喚ならできる。そんな根拠のない、感覚から生じる奇妙な確信があった。教えられたことはもちろん、どんな力か説明を受けたことすらないはずなのに、当然のように使えることが分かる。


 ――うん。できる。


 遥香は知らないはずの召喚魔法のやり方を確かめるように、ゆっくりと右手を前に突き出し、手のひらを地面に向ける。


「呼び出せる……」


 小さく呟いた後、目を瞑って意識を集中し、ゆっくりと体内の魔力を練り上げる。初めてやるのにまるで久しぶりにするような不思議な感覚で自然に魔力が掌に集まってくる。

 この世界に来てすぐの頃に魔法の発動を試した時の雲を掴むような手応えのない感覚とはまるで違っていた。


〈マスター?〉


 唐突に魔力を練り上げ始めた主人にアイカが疑問の声を上げる。その声に目を開けると、いつの間にか地面に魔法陣が浮かび上がっていた。

 その魔法陣に私の魔力がじわじわと吸い出されていく。まるで、何かに導かれるように。何かに呼ばれるように。

 私が魔力を注げば注ぐほど、地面の魔法陣が放つ光が輝きを増していく。


(なんか、めっちゃ魔力吸われるんだけど……)


 私が不安を感じ始めたあたりで、魔法陣に注ぎ込んだ魔力が臨界に達したことを示すように、パッと強く瞬いた。


 ――サモン・レッサー・デビル


 次の瞬間、黒い小さな影が魔法陣からピョンと飛び出してきた。


〈わっ!〉

「何だこいつ!」


 アイカとリオが現れた影に驚いてはいるが、その影はやけに小さかった。


 ――あれが従魔?


 召喚が完了すると、魔法陣の光は溶けるように消失する。

 眩しかった魔法陣の光が消えたことで、そこから飛び出してきた影の正体があらわになった。


「悪魔?」


 それはモフモフな体をもっていた。そこからは黒い翼と先端が尖った悪魔の尻尾、額からは2本の角。

 その姿は()悪魔人形だった。

 いや、人形というよりも、ぬいぐるみといった方が良いかもしれない。


 かわいい!


 そう思ったら従魔(ぬいぐるみ)に抱きつかずにはいられなかった。気づいた時には身体が勝手に動いてしまっていた。

 激しいレベル上げでむさ苦しいオークたちを倒し続け、疲労していた遥香の心は無意識のうちに癒しを渇望していたのである。


 抱きつく直前に従魔は可愛らしくお辞儀をして、子供のような甲高い声で挨拶的な鳴き声を上げようとしていたのだが、モフモフに夢中の遥香の目には入っていないし、耳にも届いていなかった。


「もふもふ……気持ちいい……」


 従魔の触り心地は最高だった。

 むぎゅっと抱き寄せて撫でると、毛並みの感触が指に心地よく伝わってくる。うさぎくらいのちょうど良い長さの毛が、指と指の間にも心地よいもふもふ感をもたらす。

 尻尾とかツノとか悪魔っぽい要素があるのは、関係ない。いやむしろ、硬いツノのゴツゴツ感と尻尾のプニプニ感が丁度良いアクセントだった。


 ――よし、決めた。


「アイカ、この子うちのペットにしよう!」

〈はい、素晴らしいお考えです!〉

「でしょ!?」

〈お名前はどういたしましょうか?〉

「名前はね、デビルン!」

〈素敵な名前ですね!〉

「でしょ!」


 主人とAI妖精のコントが始まった。


「いや、ペットじゃなくて従魔だろ……」


 傍でリオがポツリと小さな声でツッコミを入れるが、当然遥香の耳には届かない。


「モフフワ天国……良いっ! もっと呼び出しちゃおっ!」

〈マスター! ぜひ飼いましょう! もっといっぱい飼いましょう! 作戦上は最低7匹は欲しいです!〉


 アイカの口から作戦などという物騒な単語が聞こえた気がするが、遥香はこれもスルーして、早速2匹目の召喚を開始。


「あ、次の子はさっきより楽に呼び出せそう」

〈マスター、私もサポートしますね〉


 ――カスタムマジック――ブーステッド・サモン・サークル


 直後、次から次へとデビルンとそっくりな見た目の小悪魔人形が次から次へと飛び出してくる。

 まるでクレーンゲームマシーンにぎゅうぎゅうに押し込まれていたぬいぐるみが扉を開けた途端に溢れ出すように。


「いや、7匹じゃなかったのかよ」


 と、リオが呆れ顔で見つめる先には20匹以上のデビルンたちに囲まれて幸せそうに頬を緩ませている少女(遥香)の姿があった。


 そんなこんなで、遥香たちは新しい能力(ギフト)を手に入れたのであった。

次回『第九層 その5 〜モンスタートレイン〜』


**************************


読んでくださってありがとうございます!


お久しぶりです。月之木ゆうです。

いつも応援して頂きありがとうございます!


デビルンは攻撃力は低いですが、小さくてとてもすばしっこいです。

次はアイカ先生のご指導の元、もっとスパル……ゴホンゴホン、高効率で無駄のないレベル上げをしちゃいそうな予感!


面白いと思って頂けた方は、ぜひ小説評価☆☆☆☆☆や感想をお願いします!

もちろんブックマークも大歓迎です!

今後とも応援よろしくお願いします。

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