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バハムート装備

 ダンジョンの最奥に眠る神のカケラを手に入れるために、『ダンジョン攻略をがんばろう!』とは言ったものの、私の装備はボロボロだった。

 見かねたアイカが口を開く。


〈マスター、その恰好のままで行くのはちょっと……〉


 ということで、部屋からリオを追い出してお着換えタイム!

 早速アイカと二人でアイテムボックスの中にある防具を引っ張り出す。


「アイカ、何か良い装備ないかな?」

〈そうですね、スピードスターシリーズはどうでしょうか?〉


 スピードスターシリーズ。

 MMORPG──ドラゴンズリングのプレイヤーからは金属ビキニと呼ばれる剣士用の軽鎧である。


「うーん、とりあえず着てみるよ」


 この世界にきてすぐの頃だったら絶対にこんな装備を切ることは嫌がっていたであろう遥香だったが、長い間コスプレ生活をしているせいか、そういう感覚が麻痺し始めていた。


 アイカは、私の着替えを手伝った後、アイテムボックスから姿見を取り出す。


〈いかがでしょうか?〉

「有りか無しかで言ったら有りかな」

〈ではまだ一着目ですがこちらにしますか?〉

「たまにこんな感じのヘソ出し装備の人もいるよね……でも、そういえば、なんか男の人に絡まれていたような……」


 めんどくさいことになりそうだし、やめておこう。


「やっぱ無し!」

〈えー、とっても似合ってましたのに……残念です〉

「もう少し控えめなのないかな? 黒系とか」


 その後、アイテムボックスに大量にしまってある装備を片っ端から試着。

 何着目か数えるのが面倒になってきたあたりでアイカが提案する。


〈こちらのバハムートシリーズはいかがでしょうか?〉

「バハムートかあ!」


 バハムートシリーズ。

 遥香がハマっていたオンラインゲーム〝ドラゴンズリング〟の装備である。

 名前の通り、バハムートの素材から作られる装備なのだが、よい意味で見た目と防御性能が比例していないと言われていた。


 黒を基調としたデザインで、肩当てと足のグリーブは魔法金属製だが、ワンピースドレスは丈も短く胸元にスリットもある。腰のベルトやグローブも革製のため決して頑丈そうな見た目ではない。

 だというのに、数値上の防御力はトップクラスだったため、ファンが騒ぐのも無理はない。特に男性ファンの間では「強さと可愛さとカッコよさを兼ね備えている」と高く評価されていた。


 そうして私がいろいろと思い出しているうちに着替えは終了。

 私は姿見の前でくるりと回ってみせる。


「うん! 結構いい感じ!」

〈素敵です!〉

「ゲームでは、ぱっとしなかったからあまり着てなかったけど、自分で着るには丁度いいかも!」


 装備が決まるまで随分とかかったが、ようやく決まった。

 自分の部屋で待たされているリオは、さぞ首を長くしているだろう。


「よし! 装備も新しくなったし、リオと合流してダンジョンに行こ!」

〈了解ですマスター!〉


 ◇


「それじゃ改まして、ダンジョン攻略がんばろー!」

〈おー!〉


 ノリノリなアイカと対照的にリオが小さな声で同意の意を示す。


「ああ」

「ノリわるー!」


 突然着替えると言い出した遥香に部屋を追い出され、そのまま長時間待たされたリオはご機嫌斜めでテンションも低かった。


 しかしダンジョンに入り、哀れなモンスターたちがサンドバッグ代わりになってくれたおかげで、今日の目的の第九層にたどり着く頃にはリオの機嫌はすっかり回復していた。


 第九層は第一層とよく似た洞窟型のダンジョンである。

 だが、壁掛けの松明がかけられているせいで雰囲気は別物だ。


〈不気味な階層ですね〉


 一部の松明の火が消えてしまっているせいで、所々に影がありモンスターに気づきにくいところがある。今までの階層にはない松明という人工物があることにより、独特の雰囲気がある階層だ。

 と言っても私は、アルベル率いる攻略パーティー〝金色の獅子〟と共に一度この階層にきている。来たことがあると言うよりも、今日の午前中に来たばかりなので、記憶は新鮮である。


〈マスターはどのあたりまで進んだのですか?〉

「たいして進んでないよ。ここの敵が地味に強いから、そいつらにやられたフリをして足を引っ張っていたからね」

「どんな奴らなんだ?」

「うーんとね、一人は獅子人族のアルベル、両手剣を背負っていたキンキラ鎧の人ね。あの剣って魔剣らしいんだけど、それっぽい能力は一度も見せなかったかな。まあ、実力かくしてた私が言うのもなんだけど」


 私は金色の獅子のメンバーを簡単に説明していく。

 リーダーは獅子人族のアルベル。

 メンバーとしては、虎人族のフォーディ、豹人族のノット、黒毛の猫人族のベルダ(本名はベルダーナ)、同じく猫人族だが白毛の垂れ耳のセレーヌの4人である。

 といった感じで私が説明するとアイカは熱心にメモをしていた。

 一方、リオはあまり興味がなさそうな様子で先頭を歩いていた。


「そいつらの事もだが、モンスターの情報を教えてくれ」

「あー、ごめんごめん。そっちね」


 リオはこの層に出現するモンスターのことが知りたかった模様。


「えっと、出てくるのは豚の頭をしたオークっていう人型モンスターで私たちみたいに──」


 私が説明を始めたところでリオが遮るように言う。


「いや豚頭の説明はもういい」

「えー、ひどい!」


 私がせっかく説明をしていたというのに、リオが私の話を途中で遮る。


「この先にいるからな。気をつけろ」

「え! 敵!?」

次回『第九層 その1 ~オーク~』


************************** 


読んでくださってありがとうございます!


なんとか更新!

そして、予告詐欺でしたごめんなさいorz

遥香の着替えに手間取りました……

ですが、納得いく装備に着替えられました!(次は大事にしてくれるといいなあ)



さてさて、ブックマーク御新規様!

ありがとうございます!!!(*´ω`人)感謝


ぜひぜひ小説評価の☆☆☆☆☆もその勢いでクリックしてみてください!

月之木ゆうって人がとーーーっても喜びます!

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