表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/72

第七層 その3 ~新たな力~

 第七層の階層主〝キングタートル〟を倒した後、世界の声が響く。


《涼風遥香がレベルアップしました》


 ……え!? レベルアップ!?


 唐突に聞こえてきた〝世界の声〟に私が脳内で驚いていると、アイカが私の様子を訝しむように下から覗き込んでくる。どうやらアイカの耳には、この世界の声は聞こえていない様子。


〈マスター? どうかされましたか?〉

「えっと、レベルが……」


 そう言いかけるが、世界の声はまだ続いていた。


《レベルアップにより、能力ギフト『魔と心を通わせる者』が『魔を従える者Lv1』に進化しました。能力ギフト『肉体強化Lv1』を獲得しました》


 ……え、魔と心を? 何!? 私、そんな能力持ってたの!?


 初めから持っていたみたいな表現だったけど『魔と心を通わせる者』なんて能力聞いたことも無い。それに『肉体強化Lv1』って何?

 驚く私を畳み掛けるように、世界の声が続く。


《『魔を従える者Lv1』の効果によりアイカが貴方に従属します》


 困惑と混乱。

 聞き慣れない単語を続けざまに言われ、何が何やら分からなくなってきた。


《続けて……》


 ……まだ続くの!?


《アイカがレベルアップしました》

「えっ、アイカも!?」


 私が驚いていると、アイカは何度か瞬きした後、明るい笑顔で答えた。


〈マスター! 解析が使えるようになりました!〉

「解析!?」


 ◇


 ──アイカ視点──


 私のマスターである遥香様──この世界ではハルと名乗っています──が『魔を従える者Lv1』を獲得した直後、私にしか聞こえない〝世界の声〟が響きました。


《涼風遥香の能力ギフト『魔を従える者Lv1』の効果が発動。候補にあなたが選定されました。涼風遥香に従属しますか?》


 唐突に聞こえてきた声に私は一瞬だけ驚きましたが、頭の中で反芻してみると──マスターに仕えるか聞かれているではありませんか。そんなの、答えは生まれた時から決まっています。


 ……YES!


《肯定と確認。『魔を従える者Lv1』の効果により涼風遥香に従属します。恩恵を受け取りますか?》


 恩恵──マスターからの贈り物ですか? 私がそれを断るはずがありません。私はもちろん〈YES〉と応えました。すると、再び世界の声が聞こえてきます。


《アイカがレベルアップしました》

「えっ、アイカも!?」


 なんと、私はレベルアップしてしまったようです。マスターにもこの〝世界の声〟が聞こえているのか驚きの声をあげています。

 しかし、だからといって私の身体に何か変化があるようには感じられませんでしたが、その直後に続く言葉でそれには大きな意味があることに気づきました。


《既申請のスキル『解析』の獲得条件を満たしました。代価を支払ってスキル『解析Lv1』を獲得しますか?》


 スキル『解析』。

 それは私が以前、女神に取得を申請していたスキルでした。申請と言っても直接連絡が取れる訳ではなく私書箱にメッセージを送るような一方通行の形式で、それを魔力を使って行っているのです。

 その連絡がようやく実を結んだようです。女神の説明通り、代価である〝エーテル〟を支払う必要があるようです。エーテルとは私の身体を構成するエネルギーのことで、この世界では補充することはできないと聞いています。お優しいマスターは心配してしまうので絶対に内緒ですが、このエーテルが枯渇すると私は身体を保てなくなり、消えてしまいます。

 しかし、今回の世界の声への私の答えは最初から決まっています。


 ……YES!


 私が心の中で念じると、代価であるエーテルが身体から少し減ったのを感じました。


《代価〝エーテル〟の受理を確認。スキル『解析Lv1』を授けます》


 マスターに代価のことを知られるわけにはいかないので、私は一瞬で世界の声とのやり取りを終わらせました。そして、マスターが心配しないように精一杯の笑顔で答えます。別に無理している訳ではないのです。

 マスターが喜んでくれれば、私はそれで満足なのですから──。


〈マスター! 解析が使えるようになりました!〉


 アイカはスキル『解析Lv1』を手に入れた!


 ◇


 畳み掛けるように続いた世界の声がようやく止まると、困惑でせき止められていた嬉しさが遅れてやってくる。


「解析!? すごいじゃんアイカ!」

〈フフフ、マスターの要望に答えるのが私の役目ですから!〉


 私たちはレベルアップして、能力ギフトやスキルまでゲットした。この世界に来て色々あったが、ようやく一つ成長できた気がする。

 私が手に入れた能力ギフトについて、効果の説明は無かったが、持っていて損はしないだろう。しないよね?


 私が今回手に入れた能力ギフトは『魔を従える者Lv1』と『肉体強化Lv1』の2つ。前者はどんな効果かよく分からないけど、いかにも魔王種らしい能力名だとは思う。後者の『肉体強化Lv1』は名前から察するに身体が頑丈になるとか、身体能力が上がるとか、そういう効果だろう。

 アイカが手に入れたスキルは『解析Lv1』らしい。以前アイカに、解析を取得できないか聞いていた事を思い出す。私のお願いをアイカはしっかり覚えていてくれたみたい。でもまさか、レベルアップでスキルを手に入れられるようになるとは思わなかった。


 そういえばリオはレベルアップしなかったのだろうか。


「リオはレベルアップした?」

「は? れべるあっぺ? なに言ってんだ?」


 リオの口から出てきた茨城弁のような言葉がツボに入ってしまったアイカは、プププッと口を抑えて笑っているが、私はそれを尻目に思案する。

 どういうことなのか、リオには〝世界の声〟は聞こえなかった様子。考えられる事としては、リオはこの戦いでレベルが上がらなかったのか、それとも私に従属していないからなのか。そもそも私に従属ってどういうことなのかもよく分からないのだけど。


「えーっと、レベルって知らない? 聞いたこともない?」

「無い。美味いのか?」

「いや、美味しくはないっていうか、食べられないよ」


 リオの話を聞くと、レベルという概念はやはりこの世界には存在しないようだ。ということは、つまりこの世界の人間は成長しないのか──いや、強くはなるけど単純にレベルという概念がないだけだろう。

 冷静に考えると、生身の人間が住む世界でレベルとかある方が違和感がある。能力ギフトなら女神様が与えたということなら分からなくもないけど。


「うーん、レベルってのは簡単に言うと成長や強さを表す単位かな」

「よくわからんが、お前はさっきの戦いで強くなったってことか?」


 私がレベルについてリオに説明をしていると、笑いから復帰したアイカが割って入ってくる。


〈リオさん! 私とマスターは成長したのです!〉


 ……おっと。これは妖精様パワーで納得しちゃいそうな予感。


「そうか! さすが妖精様だ……!」


 一秒で納得。

 さすが妖精様。


 私はリオが納得しているうちに、サラッと話を変えることにした。


「アイカ、解析を使えるようになったんだっけ?」

〈そうですマスター!〉

「おお! 妖精様はスキルまで使えるようになったのか」

「アイカ、さっきドロップした鉱石を試しに解析してくれない?」


 私はダンジョンにまだ転がしたままになっているドロップアイテムの一つである鉱石を指差す。


〈了解です!〉


 アイカが自分より大きな鉱石の脇にフワリと降り立ち、両手をかざす。私も隣にしゃがんでその様子を横から見守る。リオも少し離れた位置から、こちらを観察している。


〈いきます!〉


 ──解析


 アイカがスキルを発動させるが、傍からだと見た目の変化は全くなかった。しかし、効果はきちんと発動したようでアイカが嬉しそうにニコニコしながら鉱石の説明をしてくれる。


〈マスター、解析は成功しました。これはやはりアダマンタイト鉱石でした。スキルの説明によると『高い硬度を持つ鉱石』だそうです〉

「えーっとそれだけ?」

〈はい〉

「説明文みじかっ!」

〈ですね。もしかしたらまだLv1なのでこれから説明が増えるのかも知れません〉


 アイカが言うには、このスキルにもレベルの概念があるらしく、まだ成長見込みがあるとのこと。

 楽しみである。



 そんなこんなで、私たちは第七層の階層主〝キングタートル〟を討伐し、大量のドロップアイテムと──

 ──新しい〝力〟を手に入れたのであった。

次回『シェリオの新武器』


**************************


読んでくださってありがとうございます!


レベルアップ&能力GETです!

アイカがGETしたスキルはお待ちかねの解析でした!

遥香の能力が役立つのはもう少し先です!


次回は、アイカが頑張って考えたシェリオ専用武器です!



いつも応援して頂きありがとうございます!

皆様からの応援が、執筆の励みになっております!

面白いと思って頂けた方は、ぜひ小説評価☆☆☆☆☆や感想をお願いします!

もちろんブックマークも大歓迎です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ