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第七層 その1 ~攻略~

 私たちはダンジョンの第七層を攻略していた。


〈マスター、階層主(お宝)いませんね〉

「うん、階層主(お宝)いないね」

「いないな」


 今は第七層の階層主(お宝)を探し求めているところである。

 ちなみにギルドマスターへのアピールのために、忘れずに通常依頼も受けている。


 まあ、とーっても簡単なスズナリキャベツ30個の納品なんだけどね。


 第一層で道すがらキャベツを討伐(収穫)してサクッと完了である。リオが「そんなんで良いのか?」と心配していたが、真面目にクエストなんて受けていたらそれだけで一日が終わって、お宝さが──じゃなかった、女神様のミッションである攻略が進められなくなってしまう。

 この攻略には戦闘が付き物だが、それもだいぶ慣れたもので、大した苦労をすることもなく勝てていた。特に第七層は拍子抜けなほど通常モンスターが弱かった。しかし、この前戦ったばかりの第六層の階層主〝キングポルチーニ〟と比べてしまうと、どうしても弱く感じてしまうのは仕方ないのかもしれない。

 今いる第七層の敵はトカゲやイグアナ、亀なんかの爬虫類系がメインで、中には恐竜のような敵もいた。アイカ曰く、〈ヴェロキラプトルに近い種のようですね〉とのこと。ドロップアイテムは皮系の素材が中心で、防具の材料になりそうなものばかりだった。


 そんなこんなで第七層に降りてきてから、かれこれ1時間くらいは彷徨っていた。彷徨っていると言っても、アイカのマッピングと付与魔法ありの快適ハイスピード攻略である。途中罠もあったが、そこはリオの能力〝悪意感知〟で事前に気づくことができるので安心である。


〈マスター! 宝箱を見つけました!〉

「やった! でもちゃんと罠が無いか見ておかないとね。リオお願い」

「ああ、罠はない。だが……」

〈開けてみましょう!〉


 リオが歯切れ悪く言うが、アイカは気にせず宝箱の蓋をあける。


〈むむ……中身が空っぽです……〉

「あ、ホントだ……」


 しょんぼりと肩を落とす私とアイカ。


「もしかしたら他の攻略パーティーが先に開けたのかも知れない」


 リオが私たち以外もこの階層の攻略を進めていることを示唆する。確かに攻略をしている人がいるという話を耳にしたことはあった。


「うーん、それじゃ私たちが狙っている階層主も、そのパーティーに倒されちゃったとか?」

「流石にそれはないと思うが……」




 そんな会話をしながら進んでいくと、薄く光る大部屋に出た。


「ここ、なんだろう?」

〈地面が盛り上がっているようにも見えますが……〉


 しかし──それはリオの悪意感知に反応した。


「あれはっ! 地面じゃない敵だ!」


 リオが叫んだ瞬間、目の前の地面が動き出す。

 否、それは地面ではなく──、


「甲羅……⁉」


 ──家より巨大な甲羅だった。


「大きいぞ! おそらくこいつが階層主だ!」

〈お宝です!〉

「お宝!」

「お前ら緊張感を持てよ」


 リオが階層主(お宝)と断定した巨大な陸亀型のモンスターは、甲羅からトゲトゲした水晶のような結晶を生やしており、その巨体を支える太い手足は恐竜のそれに近かった。頭には立派な角が生えている。

 階層主の周囲には取り巻き(ソルジャー)である小さい亀が今にも突進してきそうな様子で、前足で土を掻いている。小さいと言っても階層主と比べたらの話で、人間の子供が上に乗れそうなくらいの大きさである。


〈階層主をキングタートル、その周りにいるソルジャーをラッシュタートルと名付けます!〉


 第七層以下のモンスターは全て未確認のため、こうしてアイカが命名しているのである。本人曰く、〈パズルみたいで楽しいです〉とのこと。

 ラッシュタートルがそんなやり取りを待ってくれるはずもなく、そのうちの一体が私たちめがけて突進してくる。それに続いて他の亀軍団も突進してくる。


 めっちゃ速い!


 その動きは地球にいる亀とは比べ物にならない速さだった。チーターとか馬と競争しても勝てるのではないかと思えるほどの速度だったのである。

 一気に最高速度に達した亀が、私たちに到達する直前で硬い甲羅に手足を引っ込めて、まるで砲弾のように飛んでくる。

 私はとっさに身を翻し最初の一体を躱す。しかしそこを狙って別のラッシュタートルが飛んでくる。


「うわっ! 避けても避けても突っ込んでくるよ!」


 動きが直線的なので一体だけなら避けるのは簡単だったが、見えている範囲だけでも30体以上いるラッシュタートルの連続突撃は少しだけめんど──いや厄介だった。一体を避けても、その直後に他の個体が突っ込んでくるのでキリがない。


「これは剣じゃ斬れないな。蹴るか」


 そう言ったのはリオだった。

 硬い甲羅に隠れる敵を短剣で切れるはずもないと判断したリオは、早々に〝斬る〟ことは諦めて〝蹴る〟ことにしたらしい。リオが短剣を鞘に戻して、身体をほぐすようにその場で数回軽くジャンプをする。

 そして次の瞬間、突進してくるラッシュタートルめがけて回し蹴りを叩き込んだ。

 タイミングよく弾き返されたラッシュタートルは空中を回転しながら飛んでいき、ダンジョンの壁面にぶち当たる。その一撃は通常のモンスターであれば致命傷を与えるほどの威力だった。

 しかし、


「くそ。頑丈だな」


 リオの目線の先には、土煙を上げる中、甲羅に隠していた手足を素早く伸ばし地面を踏みしめるラッシュタートルの姿があった。リオの言葉通り、ダメージがほとんど通っていない様子で、再び突撃を仕掛けてくる。

 リオがその攻撃を再び受け止めようとしたが──、


「ここは私の出番だね!」


 私はリオの前に躍り出て、突進してくるラッシュタートルを横薙ぎに一閃。するとそのラッシュタートルはあっさりと真っ二つになり瞬時に赤い光へと変わっていく。

 私がやったことはとってもシンプルだった。


 避けるのをやめて剣で切っただけ。


 ──まあその剣がチート性能なんだけど。


 アイカの魔法が付与された圧倒的切断能力をもつミスリルソード。

 私は剣を両手で構え、次々に突撃してくるラッシュタートルの機動に合わせて振り抜く。バッティングセンターの要領で、飛んでくる亀型モンスターをボールに見立てて剣を振り抜くだけの簡単な作業である。ボールの大きさがバスケットボールより大きいので当てるのはとーっても簡単である。


「お前、その剣の切れ味おかしいだろ……」


 リオが私の姿を見て、というより私の剣を見て、呆れ混じりの声でため息をつくが、いままで散々一緒に戦ってきたので今更である。



 そうして私とリオがラッシュタートルの相手をするのに手一杯になっていると、アイカが声を張り上げる。


〈マスター、リオさん、警戒を! キングタートルが力を溜めています〉


 アイカに言われてキングタートルを見ると、何かの衝撃に備えるように姿勢を低くしている。背中の甲羅にある結晶も青白く輝き始めている。観察しているとキングタートルが巨大な顔をゆっくりとこちらに向け、瞑っていた目を開ける。

 その瞬間、確実に目があった。


 ──ちょっ! あれってやばいんじゃない⁉

次回『第七層 その2 ~レベルアップ~』


**************************


読んでくださってありがとうございます!


キングタートルとラッシュタートルは、陸亀を怪物っぽくした感じです!

次回のサブタイトル、ワクワクしますね!

作者もワクワクです!


いつも応援して頂きありがとうございます!

面白い!楽しい!続きが気になる!と思って頂けた方は、ぜひ小説評価☆☆☆☆☆や感想をお願いします!

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皆様からの応援が、執筆の励みになっております!

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