パーティー登録
ギルドマスターの部屋を出て、ローラが待つ部屋へと向かう。
部屋のドアを開けると、ローラが持っていた書類の束を置いて出迎えてくれた。
「あ、リオさん。早かったですね」
ローラは「ギルマスの話はいつも長いですから」と困り眉を浮かべて苦笑していた。さっきのギルドマスターのお説教だけど、あれでも早い方だったみたい。
「それで、手続きってなんだ?」
リオがそう尋ねるとローラが首をかしげる。
「ギルマスから聞いていないんですか?」
「ああ」
ローラが「話が長いのに肝心なことは言ってくれないんですから」と軽くため息をついてから、手続きの説明をしてくれる。
「冒険者証の更新ですよ」
ローラが言うには、ギルマスから内密に私たちのランクをAランク〝ダイヤ級〟にしろと言われているらしい。そう言われてみるとランクの話をしていたような気もする。
本来ならランクアップ手続きは一階のカウンターで申請や審査が行われるが、今回は特別とのこと。そもそも、登録したての冒険者が数日でAランク〝ダイヤ級〟になること自体が異例中の異例らしい。
「分かった。頼む」
「お願いします」
私たちはそう言って冒険者証をローラに預ける。
するとローラは、成れた手付きで冒険者証の上部にはめ込まれている宝石の交換作業を始めた。まあ、私のはまだ宝石ですらなくて原石なんだけどね。
リオが「器用なもんだ」と言うと、ローラがちょっとだけ頬を赤く染めていた。
そんなローラが照れ隠しに、言葉足らずのギルマスの説明を補足してくれたんだけど、階層主を倒した時──つまりダンジョンの深層が開放された時は貴族や王族たちが出席する会議でギルマスが報告しなければならないらしい。その際に低ランク冒険者が攻略したとなると、貴族派閥が難易度を過小評価し、無茶な攻略を推し進めようとするのが目に見えている。だから、ギルマスは私たちのランクを一流と言われるAランク〝ダイヤ級〟まで上げさせたみたい。
でも、こんなランクの上げ方なんてしちゃったら、周りの冒険者にどう思われるか心配だよ。
「終わりました」
私はローラから渡された冒険者証を、腰のベルトへと取り付ける。
宝石の交換が完了すると、手続きとしてはそれでおしまいらしい。本来ならそのランクに相応しいことを示す書類を色々と書く必要があるみたいなんだけど、今回は異例なので冒険者ギルド側がそのあたりの事はやってくれるとのこと。どこの世界でも書類ってのは面倒だからね、やらないですんでラッキー。
と、そこまで考えてパーティー登録をしようという話をしていたことを思い出す。
「えっとローラさん、パーティー登録をしたいんですが」
「それでしたら、私が承りますね。リーダーはどなたですか?」
ローラの問に私、ではなくリオが即答する。
「ハルでいい」
「私!?」
「ああ、俺はそういうガラじゃない」
リオの発言に、ローラが「確かにその方が良いですね」と言って、くすっと笑った。リオが「どういう意味だ」と言い出す前にローラが言葉を続ける。
「いえ、何でも無いです。それで、パーティー名はどうしますか?」
その問いに私たち3人は一斉に答える。
〈遥香様ファンクラブが良いです!〉
「お宝発掘隊!」
「妖精の剣だ」
誰が何を提案したのかは言わなくても分かるだろう。
アイカが誰かのファンクラブとか言っているけど論外。もちろんアイカの発言は魔法でローラには聞こえないんだけど、本人としてはそれでも主張したいらしい。しかし、リオが意外なネーミングセンスを発揮したのには驚いた。ゴロも良い上にコンセプトがわかりやすい。
要するに「妖精様を守りたい」ということだろうと思案していると、ローラがリオの方を見ていたずらっぽく笑う。
「妖精……ぷぷっ!」
「なんだ?」
「いえ、似合わないなって」
「ふん!」
……この二人っていっつもこんな感じだけど本当は絶対仲いいよね。
なんて私が思っているとローラがコホンと咳払いをして私たちに判断を仰ぐ。
「えーっと、それでどちらにしますか? 私の立場としては、お宝発掘隊のほうは……その、ギルドマスターの手前、避けていただくと……」
「ですよね。ごめんなさい、言ってみただけです! 妖精の剣にします」
私たちは〝妖精の剣〟という名のパーティーを結成し──
──ダンジョン攻略に向けて新たな一歩を踏み出すのであった。
──え?
攻略はダメなんじゃって?
バレなきゃ大丈夫!
何処からか聞こえた天の声に心の中で返事をしておいた。
次回『第七層 その1 ~攻略~』
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読んでくださってありがとうございます!
さらっと一流と言われるダイヤ級にランクアップしちゃいました!
パーティー登録もして、攻略の準備は万端です!
※ギルドマスターはこの先も苦労しそうですね笑
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