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査定結果★

「お客さーん、起きてください! 査定終わりましたよー」


 呼ばれた声を聞いて顔を上げると、スーニアが兎耳をへにょんとさせて困った顔になっていた。


(あ! 寝ちゃってた)


 ハーブティーが美味しくて、陽の光も心地よかったせいか私はすっかり寝入ってしまっていたようだ。


「ごめんなさい。寝てしまって……」

「いえ、こちらもおまたせして申し訳ありませんでした」


 「この世界に来てからよく寝てるなあ」と思いつつ軽く伸びをしてから、査定結果を聞きにカウンターの方へと向かいつつ、手で隠しながらあくびをする。


 寝起きのぼんやりとした頭で、先程出したアイテムを思い返す。


 剣と盾が1つずつ。私がゲーム内で職人レベルを上げるためにたくさん作った武具のうちの1つだ。

 それと赤ポーションが10本、スクロールを15本。これもゲーム内でアイカがレベル上げ用に作った低位のアイテムである。


「査定結果を聞いてもらっても良いですかー?」


 このほんわかしたスーニアの口調も眠気を誘う要因の1つだと思う。


「お願いします」

「それではまずこの剣が400ベルです」


 おばあちゃんと呼ばれていたレニーアは店の奥へと戻ってしまったようで、スーニアが買取価格を説明してくれる。


「盾が500ベル、ローポーションが10本で600ベル、スクロールが15本で1500ベルです」


(あれ、ローポーションって言った? 赤ポーションじゃないの?)


 ふと脳裏に浮かんだ疑問を声に出しそうになってしまった。


 ドラゴンズリングでは、赤ポーションや黄ポーションなど、ポーションを色で呼んでいた。しかし、先程スーニアの口から出てきたのは"赤"ではなく"ロー"だった。


 私は自分でも無意識のうちに、ゲームで得た知識がこの世界でも通用するんじゃないかと思ってしまっていた事に気づく。そして、ポーションのように極一般的なアイテムですらゲームの常識がこの世界では通じない事に内心で愕然とする。


(まずい……! この世界の知識が全然足りない!

 これじゃいくらでも、ぼったくられちゃうよね……)


 幸いにしてこの店では、私のことを常連さんの紹介って思ってくれているみたいなので大丈夫だと思うけど。


「全部で3000ベルなのでちょうど銀貨30枚分ですが、どうでしょうか?」


 スーニアの言葉で私は思考を打ち切り、彼女の目を見た。不正な額を言っているような感じはこれっぽっちも無い。


(大丈夫そう)


 提示額については、相場も分からないから文句のつけようもないし、言われた額に同意しておく。


「それでお願いします」

「では、すぐにお金を用意しますね」


 スーニアはそう言うと、間違えの無いように丁寧に銀貨を数え始めた。

 一生懸命な姿が微笑ましくて見ていると癒やされる。


 でもお金を前もって用意しておかないところを見ると、基本的には交渉ありってことだったのかもしれない。


(やっぱり最低限の常識は知っておかないとなあ。アイカもそのあたりは知らないし)


 元の世界だったらネットで何でも検索できたけど、この世界にそんな物があるとも思えない。せめて本屋か図書館でもあれば良いんだけど……。


(うーん、でもまずは今夜泊まる所が先かな。もうお昼過ぎちゃったし)


 私がそうして思案している間に、スーニアが銀貨を数え終わったようで袋に入れて銀貨を差し出してきた。


「こちら銀貨30枚です」


 私は手渡された袋ごと銀貨をアイテムボックスにしまった。もちろん、魔法袋と思われている背負い袋の中に入れるふりをして。


 袋の口をきゅっと締めてスーニアに向き直る。すると、私を見ていたスーニアが目を見開いて驚いた顔をしていた。


(げっ! もしかしてアイテムボックスのことバレちゃった!?)


 私がそう思って内心であたふたしていると、スーニアの表情はすぐに柔らかくなった。


「枚数を確かめないんですね! 信用してもらえて嬉しいですー!」


 スーニアはそう言って嬉しそうに微笑んだ。

 一瞬何を言われているか分からなかったけど、きっとお金のやり取りはお互いにしっかりと確認するのが、この世界の常識なのだろう。


(なんにせよアイテムボックスの事がバレたわけじゃなくてよかった)


「また来てくださいね!」

「うん。ありがとうございました」


 笑顔で見送ろうとしてくれるスーニアに対して、私も笑顔で返事を返した。



 店を出る前に、これから宿を探すことを思い出しスーニアに質問をしてみる。


「ひとつ聞きたいんだけど、この街のおすすめの宿ってある?」

「そうですねー、良い宿はいくつかありますが、どんな感じのところが良いですかー?」

「うーん、綺麗でご飯が美味しいところかな」


 そう言ってみたけど、ご飯を出してる宿屋ってこの街にあるのかな。

 ちょっとだけ不安になりつつも、うーんと顎に手を当てて考えるスーニアの返事を待つ。


「それでしたら、月夜のペガサス亭が良いと思いますー。もともと貴族様のお屋敷で働いていた方が出したお店なので、部屋も綺麗で、料理も美味しいって評判なんですよー!」

「月夜のペガサス亭……素敵な名前ですね」


 その宿までの道順を教えてもらっている間に、お礼と思って手持ちのアイテムからスーニアの白くて綺麗な毛色に映えそうな薄桃色のリボンを選ぶ。


「お礼にコレあげるね」

「わわ、かわいい! もらっちゃって良いんですかあ?」

「うん。飴とお茶も美味しかったし。また来ます」


 最後に丁寧に礼を言ってから店を出た。

 店員の女の子も可愛かったし、また来ようと思う。


「よし、街を見て回ろっか!」

〈マスター、楽しみです!〉


 こうして宿も決まってお金もできたところで、私は街へと繰り出すのであった。

次回、『月夜のペガサス亭』。


**************************


読んでくださってありがとうございます!


なんとスーニアと遥香&アイカのファンアートを黒杉くろん先生から頂きました!

3人共すごくかわいいくて、とても素敵なファンアートです! ありがとうございました!

挿絵(By みてみん)


さて今回は、お金を作るための寄り道でしたが、素敵な出会いもありました!

遥香はスーニアと仲良くなりたくて、アイカは今度こそ猫に触るべく、また来たいと思っているようです!


もし、『またこの店に来てほしい!』『猫とアイカが戯れるの見てみたい』と

思っていただけていたら、ぜひ小説評価☆☆☆☆☆や感想で聞かせてください!


ブクマ追加もありがとうございました! 

引き続き二人の旅を暖かく見守ってください!

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