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審問開始

「では、これより審問を始める」


 審問官はふてぶてしい態度で椅子に座り直し、名乗ることもなく審問を始めた。

 私は審問官の無礼な態度に眉一つ動かさず、代わりにうやうやしくうなずいて審問開始を了承した。


 サラリーマン時代に培ったスキルをフル活用して審問に臨もうと心に決める。


「営業OLなめんなよー!」


 内心でそう叫ぶ私。

 審問官は不快だけど、長ったらしい名乗りも説明も省いてくれるなら、嫌な時間も早く終わってこっちにとっても好都合だし。


 私がそうして、脳内に蓄積する不快感の置き場を用意していると、審問官が何やら占いに使いそうな水晶玉を取り出した。


「最初にこれに触れてもらおう」


 あ、あれ?

 いきなり想定に無いもの来ちゃった!?

 スーパー聴力による音だけの情報だとこういう部分を見落とすこともあるのかと身にしみて感じたが、今は後悔している時間はない。


 ここで怪しまれたらこの後の審問が難しくなる。

 そう思って腹を括り、差し出された水晶玉に躊躇わずに手を伸ばす。


 ええい! どうにでもなれっ!


 私が触れると、水晶の色がパーッと青くなった。

 驚いて手を離すとすぐに元の透明な色へと変わる。


 マジックアイテムだったのかな?


「ではいくつか質問をする。正直に答えろ」


 審問官がそう言った脇で書記官が羊皮紙に何やら書き込んでいる。


 え、もう終わり!?

 今の何だったんだろう。


 気になるけど聞ける雰囲気じゃない。

 その後すぐに、質問が始まった。


 アイカと打ち合わせた通りに、田舎娘を演じながら答えていく。

 性別や犯罪歴などについての型通りな質問の後、目的に関する質問に移った。


「街に入る目的は何だね?」


 決めていたセリフで端的に答えていく。


「ダンジョンです」

「つまらん答えだ。どうせ田舎の家族のために出稼ぎに来たのであろう?」

「え、どうして……?」

「二人目の田舎娘だからな。それにその薄汚れた服を見ればひと目で分かる。村からの贈り物か、親からかは知らんが、田舎の村で作ったにしてはマシな出来だが見るに耐えんよ。

 ふん。それでは目的はダンジョン探索とする」


 よくある話なのか、目的についての質問は思いの外あっさりというか、勝手に色々と納得してくれた。


(女神様が言っていたのは攻略だったはずだけど、この人が言ったのは探索だったよね。ここで言うと面倒そうだし、せっかく順調に進んでるのに水さす理由も無いよね。黙っていよう。そもそも、探索と攻略の違いも良くわかんないし)



 次に出身地についての質問が始まる。


「それで、ポルクス村出身のようだが、それを示すものはあるのかね?」


 私は、わざとぎこちなく笑って見せて、申し訳無さそうな態度で説明をする。


「ごめんなさい。途中で魔物に会ってしまって、お見せできるものはこれくらいしかないんです」


 私は、アーシェが作ってくれたお守りを首から外す。

 ポルクス村での思い出が詰まった大切な品なので、取り上げられたりしないように手の平に乗せて、審問官に見せる。


「何だ、そのみすぼらしいガラクタは?」


(は?)


 腹の底から湧き出すように怒りがこみ上げてくるが、グッと抑え表には出さない。

 落ち着け私! ここで騒ぎを起こしたら、街の中には入れないぞ。


 私はそうして気を鎮めようとしていたのだが、一方のアイカは残念ながら爆発寸前だった。


〈この人許せません! マスター、攻撃許可を!!!〉


 頭に直接響くように、アイカの声が届く。

 その声音は怒りで震えていた。

 イヤーカフスも震えていて、変身が解けそうになっちゃってるよ!


(ダメだよ! アイカ抑えて!)


 私は耳元のイヤーカフスを軽く撫でて、アイカを必死になだめた。


「汚いものをお見せして申し訳ありません」


 街に入るためだ……我慢だ私! がんばれアイカ!


「田舎娘が身につけるものはどれもみすぼらしくてかなわん。先程の女も貧相な……」

「コホン……」


 審問官が余計な話を始めそうになったところで、書記官の男性がわざとらしく咳払いをして止めた。


「ふん。証明する物が無いのならせめて、別の物で誠意を見せてはどうかね? なんなら先程から気にしているその耳飾りで手を打ってやっても良いぞ。

 なかなか精巧な作りじゃないか」


 審問官がにやりといやらしい笑みを浮かべる。


(賄賂の話きたー!)

次回、『賄賂』。


**************************


読んでくださってありがとうございます!


ご報告です!

総合評価ポイントが260ptになりました! パチパチパチ!

皆様のおかげで、とても幸せです! 応援して頂きありがとうございました!

これからも、頑張って執筆していくので、引き続き読んで頂けたら幸いです!



今回は、うっかりアイカがブチ切れてドッカーンとやってしまうところでした。

危ない危ない……。綺麗な街並みと人々の生活は守られました!

さて、次回は賄賂です。お楽しみに!


もし、『無事に街に入ってほしい!』『いっそアイカがブチ切れるのもあり!』とか

思っていただけていたら、嬉しいです! ぜひ小説評価☆☆☆☆☆や感想で聞かせてください!




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