表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/72

審問官

 賄賂も準備できたし念の為の宝石も持った。他にもアイカには耳飾りに変身してもらったりと、二重三重に備えてある。


 私たちは、万全の体制を整えて城門前の列に加わった。


 旅人っぽく見えるように、外套を身に付け革袋を背負い、腰には賄賂となる予定のロングソードと短剣を装備している。

 これで見た目もしっかりと周囲に溶け込めていると思う。


(アイカもちゃんと隠れてるね)


 私は妖精風のデザインのイヤーカフスを触る。


 このアクセサリーはアイカが変身した姿である。

 イヤーカフスは耳に引っ掛けるタイプのイヤーアクセサリーだ。本来なら、耳たぶから上のあたりに引っ掛けるだけなので、激しい運動をすると外れてしまうことも有るのだが、これは変身したアイカなので簡単に外れることはない。


 妖精の羽をモチーフにしたシルバーのデザインで、落ち着いた感じと華やかさがちょうど良いバランスで両立している。

 宝石が着いている訳でも無いし、周囲を見てもちょっとしたイヤリングやネックレスなどのアクセサリーをつけている者は居るので、それほど目立つことも無いだろう。

 それでもアイカは心配なようだったので、用心の為に外套を深くかぶって周りからは見えないようにしている。


 そうして私が耳飾りを気にしていると、城門前の列は思いの外早く進んでいた。


 次が私の番だ。

 軽く深呼吸をして気持ちを整える。


(アイカ、聞こえる?)

〈感度良好ですマスター〉


 アイカの声が脳内に直接届く。これはアイカの通信魔法で、魔力を通して会話ができる思念通話のようなものらしい。

 口を動かさないし声も出さないで会話ができるので、周囲から見ても会話しているようには見えないだろう。


(じゃあ、ここから先はいざって時以外は喋らないでね!)

〈了解です! マスターご武運を!〉


 高性能な思念通話とはいえ、どこでバレるか分からないから会話は最低限にする。

 ポルックが言っていた感の鋭い獣人が居るって話も気になるし。


 アイカとの確認を終えると、いよいよ私の番だ。

 最後に、2人で話し合って決めたことを頭の中で反芻する。


 アイカと決めたのは3つだ。

 1つ目は、相手の目を真っ直ぐ見て話すこと。やましい事がないと相手に伝えるため。実際はどうでも相手がそう思ってくれればオーケー!

 2つ目は、端的に話すこと。余計なことは言わない。この世界の常識に疎いから、どこで怪しまれるか分からないし。

 最後の3つ目は、嘘はつかないこと。言い回しを工夫して嘘にならないように表現する。これは嘘を見破ることができる何かがあったときのための、念の為の対策だ。でも優先度は低いから、どうしても切り抜けられなそうなら、多少の嘘は必要になるかも知れないけど。


(よし、大丈夫!)


 私が心のなかで気合を入れていると、門番の兵士が城門前独特の喧騒の中、声を張り上げた。


「次! お前だ! 通行証はあるか?」


 アイカと打ち合わせした通りに、真っ直ぐに相手の目を見て言う。


「ありません」

「では身分証は?」

「それもありません」

「ふむ。では名前と、どこから何のために来たのか話せ」

「ポルクス村から来ましたハルです。目的はダンジョンです」


 大丈夫、嘘はついていない。


「ポルクス村? お前知っているか?」


 質問をしてきた門番は、ポルクス村に聞き覚えが無いようでもう一人の門番に聞いている。


「ポルクス村って確か麦の産地だろう。ここからずっと東に行った所にそんな村があったはずだ。しばらく前にもポルクス村出身の者が居ただろう?」

「お前は相変わらず良く覚えてるな……

 よし、ポルクス村のハル! そちらへ行って審問を受けろ」


 よし、うまくいったね!

 小さくガッツポーズをする。


 ◇


 私は門に隣接して建てられた側塔の中の一室につれてこられた。

 窓がなくて薄暗い部屋に入ると、扉には外から鍵がかけられる。兵士も入れて3人で審問を行うようだ。


「そこに座れ」


 そう言って来た審問官は、横柄な態度で席につく。腹にたっぷりと贅肉を蓄えている太った狸獣人の男性で、身なりの良い格好をしている。


(王族? いや、貴族かな)


 その脇に座ったのが書記官なのか、羊皮紙を持った男が座る。左目にモノクルを着用した高身長で痩せ型の狐顔、じゃなくて狐獣人の男性だ。こちらの方が整った身なりで落ち着いた印象を受ける。

 そんな彼らの後ろにもう一人、扉の脇に兵士風の男が立ち、こちらを注視しているが視線から敵意は感じられない。単純に仕事だから警戒しているだけなのだろう。見た目は犬か狼獣人で、金属鎧の間から見える服は、お世辞にも綺麗とは言えない物だ。こっちの人は平民なのかな。


(審問官と書記官と兵士かあ)


 密室で3対1ってだけで不快なんだけど、審問官のいやらしい目つきが一番いやだなあ。

 いざとなったらアイカが居るけど、さっさと終わらせよう。


「では、これより審問を始める」

次回、『審問開始』。


**************************


読んでくださってありがとうございます!


門前払いはされずに審問を受けることになりました!


もし、『うまくいくといいな』『私もアイカのイヤーカフス欲しい』とか

思っていただけていたら、ぜひ小説評価☆☆☆☆☆や感想で聞かせてください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ