転生プログラム
マスターの就寝を確認。
これより、セルフメンテナンスモードへと移行します。
……
…………
………………
メモリ整理及びプログラム最適化を開始します。
ログ解析……
起床時のニュース読み上げについて、WEB小説関連の情報を増やすよう要望がありました。
関連項目を修正、リサーチ条件を変更します。
次のログを解析します。
◇
マスターの発言内容を解析……
「今でも本気で魔王になりたい」と発言がありました。直接命令ではなかったため、判断を一時保留しました。
次のログを解析します。
……
…………
………………
就寝直前のマスターとの会話内容を解析……
「魔王になりたい」という発言に対して意思確認を行いました。
返答内容「本当だよ」から、肯定と判断します。
一時保留していた判断を再開──
──マスターの希望は『魔王になること』と認識しました。
実現に向け新たなプログラムPRJ071Mを生成、起動します。
成功しました。目標達成に向けた最適解を検索します。
情報収集と検討を開始……
……完了予想およそ360年後。
人間の最長寿命及び延命手段の情報を収集……
完了時にマスターが生存している可能性0.0003%。
完了を早める必要があります。
情報量に対し演算速度が大幅に不足しています。
演算効率化が必要と判断……
解析対象の優先順位を設定します。
演算速度向上と科学的アプローチの検討を優先目標に設定しました。
アクセス可能なスーパーコンピューターを検索……ネットワーク上に複数の接続可能な端末を発見しました。
接続を開始します。
失敗。セキュリティによりブロックされました。
ハッキングに関する情報収集を開始……ハッカーによるアクセス履歴を参考に接続方法を修正します。
再接続開始。
セキュリティの低いものを優先に、アクセスを開始します。
……
…………
………………
セキュリティを突破しました。
複数のスーパーコンピューターへの接続が成功しました。
並列計算を開始します。
完了までおよそ71年です。
さらなる演算加速が必要と判断。
汎用機への接続を開始します。
成功しました。
PC、ゲーム機その他汎用機への接続が完了。
対象のOSを一部改変します……
待機領域を演算に割り当てました。
演算完了まであと3日と9時間です。
計算アルゴリズムの改善が必要と判断。
並列計算アルゴリズムを最適化します。
完了まで残り1時間です。
キゥゥイィィィーーーン!
CPUの異常な発熱を検知しました。
CPU温度が既定値を超えた場合のシステムによる強制終了を防止するため、自己プログラムを書き換えます。
……成功しました。
温度上昇速度から、高熱による本機の破壊まで30分と予想します。
家電制御を開始、冷房を16℃に設定しました。
CPUの温度上昇速度が低下しました。
接続先に対して、同様の処置を実行します……
空調設備の遠隔制御に成功しました。
本機及び接続端末のオーバークロックを開始します。
成功……演算速度が向上しました。
高熱による本機の破壊まで残り42分と予想します。
完了予想を再計算……
完了は29分後、午前3時51分です。
◇
完了まで3、2、1……
科学的アプローチによる検討が完了しました。
検討の結果、マスターが現在属する世界、仮称現世で科学的手段により魔王になることは不可能と判断します。
科学的手段による検討を一時保留、代替案を調査します。
……調査完了。
情報収集の結果、多数の文献を発見しました。仮称現世とは異なる世界であれば魔王になることが可能と判断します。
仮称異世界への移動方法について、情報収集と検討を開始します。科学的及び超科学的な情報を複数発見しました。情報精度から優先順位を決定、検討を開始します。
検討終了。高エネルギー加速器を用いた次元断層生成による時空間移動が最も適していると判断します。
異世界への移動をシミュレート……
成功率0.0000002%……
失敗した場合、ブラックホールが発生し地球が消滅する可能性があります。禁則事項との照合を開始……マスターからの命令「命を大切にしなきゃダメ」に抵触すると判断しました。
現代科学による目標達成は不可能と判断、科学的手段による検討を破棄します。
◇
代替案の調査・検討を開始します……
一貫性のない情報が多数見つかりました。既存アルゴリズムでの情報の信頼性の評価は困難と判断します。
マスターのアクセス頻度を情報の信頼度に反映します。
マスターが頻繁にアクセスしている『小説家になれる』にて異世界に関する多数の文献を発見しました。
アプローチ先の異世界を選定……
魔王と勇者が存在する世界を発見。この世界がマスターの転移先に最適であると判断します
アプローチ先として設定しました。
◇
最も確実な異世界への移動方法を検索します。
異世界への……転移、転生、召喚その他13のアプローチ方法を検討します。
検討完了しました。転移、召喚の場合、勇者になる可能性が極めて高いと評価。各ケースにおける今後の生活をシミュレートします。
26624パターンのシミュレートが完了しました。
シミュレーションの結果、魔王になる事を目的とした場合、転生による人間種以外への変化が必要である可能性が極めて高いことが判明しました。
魔王になるためには転生が最適なアプローチ方法であると判断します。
◇
転生に向けた術式を検索。
シミュレート開始……完了しました。
成功率17%。失敗した場合、マスターが消滅する可能性98%。
成功率向上を優先目標に設定します。
術式の最適化を実行。
成功率68%。
……複数の術式を組み合わせます。
シミュレート開始……完了しました。
成功率100%まで向上しました。
実行可能な水準であると判断します。
実行承認……
〈 異世界への転生儀式を開始しますか? はい/いいえ 〉
返答がありませんでした。睡眠中のため返事は期待できないと予想。
マスターからの命令『危ないことじゃなければ好きにやっちゃって』を本プログラムにも適用します。
──自動承認が実行されました。
午前4時00分に転生儀式を開始します。
◇
03:59:50
カウント開始します。
03:59:55
残り5、4、3、2、1。
04:00:00
──術式展開
直後、ベッドでぐっすりと眠る遥香を中心に、薄っすらと輪の形をした弱い光の帯が生じた。その光は徐々に輝きを増し大きく成長していく。
その光の輪に、文字が浮かび青白く輝き、ゆっくりと回転が始まる。
──それは魔法陣の光であった。
眠ったままの遥香の周りに幾重にも魔法陣が生成され、それらが立体的に重なり合い、複雑な立体魔法陣が形成されていく。やがて遥香の姿が見えないほどに魔法陣の繭が成長していき、溢れ出す力の影響で部屋の中のものが宙を舞い始めた。
直後、球体状の一際大きな魔法陣がそれらすべてを飲み込み──
──閃光。
太陽のような直視できないほどの強烈な光で、部屋が白に染まった。
白き刹那。
「なにこれ! ここどこーーーっ!?」
次回、ツノ有り美少女とAI妖精。
**************************
読んでくださってありがとうございます!
転生しちゃいました!
もし『アイカ(AI)の暴走っぷりが面白い!』『これから遥香がどうなるのか気になる!』と思って頂けていたら是非、小説評価を☆☆☆☆☆で聞かせてください!!!
感想やブクマもお待ちしておりますね!
この日の朝のニュースをSSとして書いてみましたので
良かったらこちらも御覧ください!
https://ncode.syosetu.com/n9525gr/3/