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アーシェ

本日は3話連続投稿です!

獣人村→魔王種→アーシェ(今回)の順に投稿しております!

「ところで、お主の種族はなんだったかの?」


 そんな村長の問いが頭の中をぐるぐると巡る。

 なにか答えなきゃっ!


「えーっと私の種族は……」


 口を動かしつつ、必死に頭を回転させる。

 ツノツノツノ……角がある生き物……鹿、ヤギ、サイ、ユニコーン……

 人型が出てこないよ~!


 村長を名乗った老獣人は、私の顔をじーっと見つめてくる。

 こういう時に目をそらすと疑われるから、私もじっと見つめ返す。

 だめだ。思いつかないよぉおおお!


 アイカに助けを求めよう。

 私がそう思った直後。


「私知ってるよ!」


 足元の方から声がした。


「ひぃあ!?」


 私は驚いて変な声が出てしまった。


 視線を下げると、獣人の幼女がハーイと手を上げてアピールしている。

 その子の栗色の髪の毛はとても柔らかくふんわりとしていて思わず触りたくなる。パッチリとした目はなんにでも興味を示す幼い性格をよく表しており、その活発な様子からは園児服が似合いそうな印象を受けた。


 私はコホンと咳払いをしてごまかしつつ、膝を折ってその子の目線に合わせた。


「私の種族なんだと思う?」


 もはや私が、この先魔王種として暗い異世界生活を歩むことになるかどうかは、この子に掛かっているのだと、祈るような思いで答えを待った。

 ちなみに、この子は村でも大切に育てられてるようで、村人は暖かい眼差しで見守っていた。


「お姉ちゃんはね──牛人族ミノタウロスさんだと思うの!」


 幼女は褒めてほしそうな瞳で私を見つめてくる。

 牛人族ミノタウロスってモンスターだったはずじゃ……でも、ここは乗っかるしかない。

 ええい、どうにでもなれ!


「せいかーい!!! よく分かったね! お名前は?」

「私はね、アーシェっていうの!」

「アーシェちゃん、偉いねぇ~」


 私は自分の窮地を救ってくれた女の子の頭を全力でなでた。

 ふわふわの髪の毛と、耳の周りの感触がたまらない。



「えへへ。私すごいでしょー!」

「アーシェちゃん、すごいよ~。どうして分かっちゃったんだろうね~」

「んっとねー、角が生えてるから!」


 うんうん。そのままだね。

 でも可愛いからおっけー!


「そっかそっかー!偉いよぉ」

「じつはね、お姉ちゃんのがね、ママよりもちっちゃいから迷ったの。でも当たって良かった」


 何が小さいか分からないが、私は村長に向かって改めて答えた。


「この子も言ったとおり、私は牛人族ミノタウロスだよ」

「ほう、牛人族ミノタウロスとな」


 私がそう言うと再び村人の中に会話が広がる。

 内緒話好きだねー。


「おい! あの女、牛人族ミノタウロスらしいぞ」

「それにしては小さくないか?」

「ああ、おれも若い頃に見たことがあるがあれは別物だぞ」

「だが、牛人族ミノタウロスなんだとしたら、隠したかった理由も納得だ」

「そりゃーアレじゃなぁ。恥ずかしくて言えないよなぁ」


 私は彼らの目線が自分の胸部に向かっている事に気づいたが、深く考えると不愉快な気分になりそうだったので、そこで思考を打ち切った。

 ちっちゃくないし。


「アイカ? さっきから静かだけど……ってどうしたの?」


 アイカを見ると小刻みに震えていた。


〈いえ、マスターなんでもありません〉


 そう言ってアイカは大きく深呼吸し、それからは落ち着いた様子だった。

 後で聞いた話だが、このときはアイカも必死で言い訳を考えてくれていたのだが、獣人幼女に先を越されたことで心底悔しがっていたという。

 幼女に負けてぐぬぬーってなってたってことね。


「ふむふむ、牛人族ミノタウロスの娘や、名は何というのじゃ」

「え、私はハル……」


 色々と思うところはあるけど、いったん牛人族ミノタウロスってことで納得してもらえて一安心。

 警戒が緩んだところで思わず本名を答えそうになったけど、ここで遥香って答えたら絶対怪しまれるしそれっぽい名前でいこう。

 そう考えたが、既に遅かった。


「では、ハル殿、ここまで妖精を守ってきてくれたお主は村を上げて歓迎するぞい」


 ってあれ、全部言う前に話進んじゃったよー!

 という私の突っ込みが言葉になる前に、村長が畳み掛けてくる。


「アイカ殿も名をきいてよいかのぉ?」

〈アイカです〉

「アイカ殿にハル殿! さあ歓迎の準備じゃ!

 我が家に招待するでのぉ。ついてくるのじゃ。」

(あ! ちょっと待って〜)


 私たちは獣人村で歓迎を受けることになり、村長宅に向かうことになった。

 名前を否定する間もなく、村長宅への移動が始まる。

 村長はあるきながら、村人と歓迎の打ち合わせを始めてしまった。


 どうせならもっとかっこいい名前が良かったけど、ネトゲでもハルだし。

 分かりやすくていいよね。うん。


 こうして、私は若干投げやりな気持ちで、ハルという名の旅人としてこの世界でやっていくことに決めた。


 この時のアーシェという名の獣人の存在が、巡り巡って後に私たちの助けになるのだが、その事に気づくのはまだ先の話である。

次回、迷宮(ダンジョン)とは。


**************************


読んで下さり、ありがとうございます!


評価・ブクマ・感想を頂きありがとうございました!!!

本当にすごく嬉しくて、執筆の励みになっております!


本日は、1周間で100pt突破のお礼も兼ねて、3話目連続投稿させて頂きました! 

がんばっちゃいました!笑 楽しんで頂けていたら幸いです!


そして、評価がまだという方もしよろしければ小説評価を☆☆☆☆☆で聞かせてください!

『ここが面白かった』『ここがもっと知りたい』など有りましたら一言二言でも良いので

ご感想ご意見をいただけると嬉しいです!

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