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エピローグ前
くしゃっと潰されたビールの空き缶が二、三転がっていて、脱ぎ散らかされた二人分の服が椅子だったりベットだったりに張り付いている。カーテンの隙間から差し込む朝日と点けっぱなしだったテレビがあっても、目を凝らさないと足の踏み場も分からない。遠目から見ても、空気が淀んでいることがわかる部屋に、僕の青春があった。そこに彼女がいることが道理で、そこは彼女がいることで完成していた。曖昧で分かりにくい僕の主観的な青春を、彼女が形作っていた。そんな溺れるほどに心地いい空間だけど、そろそろ行かないといけない。